自民党総裁選を前に、候補のひとりである小泉氏がTikTok公式アカウントを使って支持拡大を狙う戦略を打ち出しました。
しかし、中国発アプリという特性から来るセキュリティリスクや、批判コメントを大量削除する“愚行がネット上で炎上、さらに自民党はこれまで SNS規制の必要性 を口にしており、政治家が「SNSをどう利用し、どう制御するか」という問題が改めて注目されています。
本稿では、TikTokと政治家の危うい関係、日本の民主主義に与える影響について掘り下げます。
目次
TikTokでアピールする小泉候補──若者票狙いの戦略
小泉氏は総裁選に向け、TikTok公式アカウントを開設。動画を通じて若年層への訴求を狙いました。
SNS、とりわけTikTokは10〜20代へのリーチが強く、選挙戦略としては理解できます。
しかし一方で、中国発アプリを政治活動の主要なプラットフォームにすることへのセキュリティリスクは無視できません。
米国や欧州では政府機関でのTikTok使用が禁止される例もあり、日本の政治家が公的発信に利用することは「甘い」との批判を受けています。
コメント削除で炎上──「批判封じ」の逆効果
小泉氏のTikTok投稿には当初、支持だけでなく厳しい批判や疑問のコメントも寄せられました。
ところが、批判的なコメントが大量に削除されたとの指摘がユーザーから相次ぎ、「言論封殺」「透明性欠如」と逆に炎上を拡大させました。
SNS時代では「批判をどう受け止めるか」が政治家の資質を示すリトマス試験紙。
コメント削除は短期的には“きれいな見せ方”ができても、長期的には信頼の失墜につながるリスクを孕みます。
自民党によるSNS規制論と政治のダブルスタンダード
自民党はこれまで、SNSにおける誹謗中傷やフェイクニュースの拡散を理由に「規制の必要性」を主張してきました。ところが、いざ自党の候補が批判されるとコメントを削除してしまう姿勢は、**「規制を盾にした自己保身」**との印象を強めます。
SNSは民主主義における「双方向の議論の場」であり、政治家がそれを単なるプロパガンダ媒体にしてしまえば、市民の声を封じ込める独善的な構造が生まれかねません。
SNSと政治家──世界の事例から
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米国ではトランプ前大統領がTwitter(現X)を駆使し、賛否両論を巻き起こしながらも政治的影響力を拡大。
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欧州では政治家がTikTokを利用すること自体に慎重で、規制強化の動きも見られます。
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日本ではまだSNS活用は途上ですが、小泉氏の事例は「政治とSNSの距離感」を問い直すきっかけとなるでしょう。
まとめ:SNSを“規制”ではなく“共生”の道具に
今回の小泉候補の炎上は、SNSを単なる選挙ツールと見なす危うさを示しました。透明性のある議論を恐れず、批判も受け止めた上で政策を説明する姿勢こそ、政治家に求められる態度です。
一方で、自民党がSNS規制を進める場合、その真意が「市民保護」なのか「批判封じ」なのかを厳しく監視する必要があります。民主主義にとってSNSはリスクであると同時に、市民の声を届ける重要なインフラであるからです。