人間、60年もやっていると 不思議なことをいくつか体験するものでございます。
このお話は、今から約50年ほど前、私が小学生の時に体験した非常に不思議なことを記憶の片隅から蘇らせたものです。
真夏の夢なのか? それとも実際に体験したものなのか? 今では判定できないことも多いのですが、最後まで読んでいただけたら幸いです。
では、後編のはじまりです。
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目次
モギくんの体験
「あの 斧さ 血がついていたんだよ」
斧というのは、通称「船の墓場」から持ち帰ったものである。
今は、モギくんの家の物置にあるはずだ。
「斧を持ってき その夜から熱が出たんだけど 毎晩 変な声が聞こえるんだ」
セキドくんと私は、すでに固まっていた。
『頭が割れるように痛い 痛い 痛い』
「て 聞こえるんだよ」
次の日は、声ではなく夢の中で
「斧を持った 無言で男が立っていて 足元には、女性が倒れている 頭は真っ赤な血が流れていて」
そこまで言ったときモギくんは、
「あの斧 どっかに持っていってくれ」
と叫んで布団を被って震えていた。
預かったその日から
モギくんがあまりにも憔悴しきっているので 私が斧を持ってかえることにした。
「モギくん 斧は、俺が預かるから 大丈夫だよ」
そういうと納屋においてあった 斧を自転車にくくりつけ自宅に戻る。
自宅について 斧を観察した
赤く錆びた斧で別に変なところはない。
ただ 『少し赤くなった』かな。。。
気にもとめず、農機具が収められている物置の済にシートをかけて隠した。
その日 私は夢を見た。
『痛い 頭が割れるように痛い』
見知らぬ女性が、こちらに手を伸ばし 助けを求めている。
思わず目が冷めた 時間は、深夜 2時を過ぎていた。
半端なく汗をかいていたのですが、開けていた窓から
『夏なのに冷たい風が すぅーーーと入ってくる』
その日、私は、一睡もできなかった。
明くる日 その事件が起きた。
猫
自分の家には農機具が置いてある 大きな物置小屋があった。
物置には、野生か迷子猫かわからないけど10匹程度 猫が住んでいる。
勝手に住み着いていたという方が正しいだろう。
「親父は、ネズミを退治してくれるので住まわせておけばいい」
と言っていて放置している。
※今のように地域猫がどうとかいう時代でもないし、まわりに家もないので迷惑にもんばっていないと思う。
「おい 猫が死んでるぞ」
農機具の整備に物置小屋に行っていた親父が戻ってきた。
私も親父の後を追って物置に行くと1匹の白いネコが血を吐いて死んでいた。
「かわいそうに ヘンなモノ 食べたんじゃないのか?」
そう言って物置小屋の脇に穴をほって埋めて 花を1輪捧げた。
しかし、その翌日
「おい 猫が死んでるぞ」
親父の声で再び物置に
今度は、黒い猫と茶色の猫の2匹が口から血を流して死んでいた。
「農薬でも舐めたのかな」
野生化しているような猫ですから これまでも何匹か死んでいることを見かけたのですが、2日続けてのことはなかった。
まさか あの斧では・・・
モギくんの声が聞こえてきた
「あの 斧さ 血がついていたんだよ」
血染めの斧
父親と母親が農作業にでかけたのを見計らって、物置の斧を確認に向かった。
青いシートの下に隠した斧は、あったのだが、立てかけていたはずなのに 倒れている
恐る恐る 斧を手に取ると 柄の根元部分になにやら黒い細い糸らしきものが絡まっている。
「うわぁ 髪の毛だ」
全身がぞわっと鳥肌がたち、髪の毛が逆立つのを覚えた。
斧の部分を見ると赤錆でボロボロのようになっていた葉の部分がキラキラと光っている。
こうなると 赤錆びた斧が、血で濡れているように感じる。
斧を手に持って立ち尽くしていると 背後に何者かの気配を感じた。
「みゃぁぁあぁお」
普段、人に近寄りもしない猫たちが、私の周りに集まってきて斧を見て威嚇している
その数、8匹 子猫まで牙を向いて威嚇していた。
子供ながらに 恐怖が全身を襲い 冷や汗をかいた。
『これは、やばいものを持ってきた』
後編に続く
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呪われた斧 (後編)
前回までのあらすじ モギくんの発案で船の墓場まででかけて、そこで赤錆びた斧を発見する。 自宅の物置に置いた翌日から2日続けて猫の変死体が発見される。 これは斧の呪いでは・・・ と思った私が確認に行くと ...
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