これまでのお話
今から、40年ほど前 池袋のアパートに住み始めた私は、部屋の片隅に髪の毛が落ちているのを発見した。
掃除しても翌日には、同じように髪の毛が落ちている。
僧侶の息子である友人Y氏と検証したところ 事象を確認することができた。
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目次
髪の毛が増える部屋 昭和アパート物語 前編
今から、40年ほど前のお話です。 大学生だった自分は、東京池袋に住んでおりました。 今週も怖いというか不思議な話を共有します。 最後まで読んでいただけたら幸いです。 スポンサーリンク 八 ...
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心霊研究会
あいつのアパートに霊が出るらしいぞ
同じ教室で噂が広まりました。
「お前 よく そんな部屋で平気だな」
と言ってくる男友達
「一度、見に行きたい」
と言う女性陣
※これは大歓迎
とある日
「あの 霊が出るって聞いたんだけど 調査に行っていいですか?」
ひょろっとした体型のメガネ男と健康的な笑顔が似合う女性に声をかけられた。
彼らは、心霊研究会なるメンバーでよかったら部室で話を聞きたいという
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実地調査
心霊研究会の部室で彼らにことの経緯を話す。
- 髪の毛を捨てなければ 何も変化なし
- 髪の毛を捨てると 翌日に髪の毛が落ちている。
- 髪の毛は、一定量
- 幽霊はみていない
部員は、男3人 女2人で 机の上にお菓子とか散乱していて、ムーという雑誌が目立っていた。
結局、ひょろっとした体型のメガネ男と健康的な笑顔が似合う女性が検証に来るということになった。
ひょろっとした体型のメガネ男は、A君
健康的な笑顔が似合う女性は、Yさん
と呼ぶことにした
緊張の一夜
近所のコンビニ(本当に7/11だった時代)で夜食とお酒を買い込みアパートの一室で男女3人でそのときを待つ
Yさん、壁に向かって写真を撮りだした。
フィルムカメラの時代なので、現像するまで何が写っているかわからない。
静かな部屋の中でシャッター音が響く
午前3時 Y氏のとき、ここで照明が消え、髪の毛が落ちていたという現象が起きた。
何も起きなかった。
「今日は、なにも起きないね」
A君が、言ったとき Yさんが悲鳴をあげた
「髪の毛が落ちている」
北の壁 いつものところに長い髪の毛が落ちている。
あわてて 髪の毛まで近寄る2人
恐る恐る髪の毛に触れて 持ってきた 和紙のなかにしまい込む。
二人は、収穫があったと喜んで帰って行ったのだが、
「髪の毛を持って帰って大丈夫か?」
と心配になった。
写っている?
「ちょっといいですか?」
心霊研究会のYさんに呼び止められました。
「この前の写真ができあがったんで見てもらえますか?」
心霊研究会に部室に入ると この前の部員があつまって 興奮気味に話している。
「これさ まちがいなく霊だよな」
写真をみるとYさんが撮影した10枚の写真の内 4枚だけ 白い壁に影が映っていた。
よくみると 女性の姿にも見えなくはない。
「すごい はっきり写っている」
心霊研究会のメンバーは興奮していますが、自分は、ちょっと違和感を持った
「なんかの影じゃない? 幽霊には見えないけどな」
「いや まちがいない 幽霊だよ 今度 みんなで検証に行っていい?」
「まぁ いいけど」
「ところで A君がいないようだけど」
ちょっと暗い顔をしてYさん
「Aくん 体調を壊して 学校にきていないんだよね」
「あの髪の毛は?」
「Aくんが持ち帰ったんだけど」
嫌な予感がした。
怯えるAくん
Aくんが、学校に出てきたことをYさんから聞いた。
心霊研究会に出向くとAくんが座っていた。
ひどくやつれたような気がする。
「これ 返す」
かれが手にしていたのは、和紙に包まれた髪の毛だった。
「これを持ち帰ってから 毎晩 金縛りと 変な夢を見るんだよね」
Aくんが続ける
「金縛りにあうと 足下から長い髪の女の人が近づいてきて 顔の前までくると 返して と言って消える」
Aくんは、真っ青な顔で続ける。
「最初は、夜だけだったけど そのうち 耳元で 返して って声がずっとっきこえるんだ」
自分は、Aくんから和紙を受け取るとアパートに持ち帰って髪の毛の落ちているところに戻した。
疑問
自分は、髪の毛を週に一度ぐらいでかたづけてゴミとして捨てているけど変な夢とか金縛りにはあったことはない。
もちろん白い壁に幽霊などみたこともない。
心霊研究会のメンバーもAくんのことがあってから 検証とか言わなくなった。
心霊研究会とは、名ばかりだな と思いながら、彼らとは話さなくなった。
終焉
月日は流れ 幽霊騒ぎも収まった冬のある日
卒業論文を書くために 毎晩明け方まで原稿用紙に向かっていた。
ラジオでオールナイトニッポンを聞くのが日課となっている。
5時くらいかな 番組が終わろうとしたとき ラジオにナイズが入り 音が聞こえなくなった。
「あれ? 電池切れ」
と想いふと北側の壁をみると
真っ白な壁に 女性の影が映っている
「え? まさか」
女性の影は、こちらをみているのか、揺れている。
やがて
お辞儀をするように影が動き 消えていった。
その間 10秒ぐらいの出来事で 不思議なことに「怖い」という感情はなかった。
影が消えたああと ラジオから音楽が流れ始める。
夢だったのだろうか?
壁には、シミもなく影らしきものもない。
昨夜、掃除したところに髪の毛も落ちていなかった。
その出来事が以後、髪の毛は落ちていないし、影を見ることもない。
後日談
卒業間際に心霊研究会の人達と飲み会をしたときに、アパートで撮影した写真を見せてもらったところ,自分が目撃した女性の姿にもみえなくはない。
正直はっきりわからなかった。
心霊研究会のAくんは、健康を取り戻しているようだ。
結局、原因不明で終わってしまった髪の毛騒ぎだったのですが、Yさんとしばらくお付き合いをすることになったのは、本編とは関係ないので省略させていただきます。
このお話は、事実に基づいて記憶の片隅から取り出したものをまとめました。
次回もお楽しみに