米国大統領選挙が、弾劾裁判騒動で急展開となってきました。
最初に有力候補だったサンダース候補は、健康状態悪化のため候補を取り下げてしまいました。
そして、「トランプ大統領」の弾劾裁判問題が浮上
これでトランプ大統領失脚か・・・
ところが以外な展開になりそうな大統領選挙となりそうです。
今回の日本のニュースに出てこないニュースは、
【2020年米国大統領選レポート】その4 弾劾裁判で得するのは、トランプ? それとも民主党候補?
と題して、米国大統領選挙レポート第4弾です。
最後まで読んでいただけたら幸いです。
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目次
ウクライナ・スキャンダル
2019年9月24日
ナンシー・ペロシ下院議長は、ドナルド・トランプ大統領の弾劾裁判に向けた調査を正式に開始すると表明
下院の6つの委員会(司法、情報、歳入、金融、監視、外交)に弾劾決議に向けた調査を命じた。
弾劾の対象は「ウクライナ・スキャンダル」である。
では、「ウクライナ・スキャンダル」について解説しまう。
2019年7月25日
トランプ大統領は、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と電話会談を行った。
内容は以下の通りである。
前アメリカ副大統領、現在、民主党から2020年大統領選に向けて立候補しているジョー・バイデンと彼の息子であるハンター・バイデンについて不正調査の依頼をウォロディミル・ゼレンスキー大統領にもちかけ、その見返りに対ロシアの軍事支援(4億ドル相当)の約束した。
簡単に言ってしまえばこれだけなのですが、問題は、対立候補に対しての「大統領権限の乱用」という疑いです。
宣誓、国家安全保障、そして選挙の清廉さに対する裏切り行為だ!
と民主党が騒ぎ立てています。
そもそも なぜ ウクライナに調査依頼をしたのか?
そこを説明しよう。
ハンター・バイデン
ハンター・バイデンは、民主党 元ジョー・バイデン副大統領の息子でウクライナの天然ガス企業であるプリスマの役員である。
2016年 当時ジョー・バイデンは、バラク・オバマ政権下の副大統領です。
ハンター・バイデンの不正疑惑を払拭するためにジョー・バイデン副大統領が、ウクライナの司法当局に圧力をかけたのではないか?
その疑惑をトランプ大統領が、再燃させようとしたわけである。
ウクライナ側は、10月4日の時点で、ハンターに不正はなかったと表明したが、ジョー・バイデン副大統領の関与の有無は、再調査が決定
どちらにしろこの調査結果に問題がなければ、この問題は終了となるはずですが、
ジョー・バイデンの疑惑は、残り続けることになる。
※トランプよりのマスコミは、疑惑報道を続けるだろう。
これは、ヒラリー・クリントンの疑惑と同じような展開になるかも知れない。
弾劾裁判
ここで米国の弾劾裁判について説明します。
米国では、下院は弾劾訴追権、上院は弾劾裁判権を持っている。
つまり、下院は検察、上院は法廷という役割になります。
- 下院は、弾劾決議を行うため、調査権限がを持っている。
- 調査のため召喚状(Subpoena)を発行、調査に必要な情報の提出や証言を求めることができる。
これが、弾劾調査(Impeachment Inquiry)と呼ばれるものである。 - 弾劾訴追のため、下院の単純過半数が必要になり、過半数ならば訴追が成立し弾劾裁判を起こすことができる。
昨年の中間選挙の結果、下院は、定数435議席中、民主党が235議席のため過半数なのでおそらく裁判になるだろう。 - 上院では、弾劾裁判を経て大統領を解任(=有罪判決+罷免)するかどうかを決めるのですが、上院の3分の2(=67票)になれば、有罪判決⇒罷免となり、副大統領のマイク・ペンスが、大統領となります。
しかし、上院は現在、定数100議席のうち、共和党が53議席、民主党が45議席、インディペンデント(無所属のようなもの)2議席となっていて共和党が過半数となっていて、共和党から20人以上の「裏切り者」がでなければ、却下となります。
弾劾裁判の行方
上院の共和党議員の裏切りがなければ、裁判は否決で終了となるでしょう。
あとに残るのは、
「ジョー・バイデン候補の疑惑」だけとなり、最大のライバルの支持急落が考えられます。
では、共和党から20人以上の「裏切り者」が出るかどうかですが、副大統領のマイク・ペンスもウクライナとのやりとりに関わっていたことも明らかになっている。
※トランプの伝書鳩的な役割と言われていますが・・・
ここで考えていただきたい
トランプ大統領が、有罪判決⇒罷免となった場合、継承権は、副大統領ですが、ウクライナとのやりとりに関わっていたとなると弾劾裁判の的となり失脚、そうなると次の継承権は、下院議長のペロシが、大統領となってしまいます。
これを避けたい共和党は、「裏切り者」が出る余地もなく、弾劾裁判になれば罷免は免れるだろう。
その結果、バイデン候補と息子のハンターともども疑惑のままに置いておいて、民主党を分裂させることが成功する。
トランプ陣営がここまで考えていたかどうかはわからないが、どちらにしろこの話題のために
民主党候補の話題など吹っ飛んでしまいました。
ペロシ議長は、このことを予想していたのか、弾劾裁判を起こすことに難色を示していました。
しかし、民主党議員の声に負けて弾劾裁判に踏み込んだと思われます。
この弾劾裁判をやらせることで民主党候補、特にバイデン候補の人気を削ぐシナリオを書いていたとしたら
トランプ陣営の罠に民主党がハマったわけです。
そこまでしてバイデン候補を引きずり落としたい理由は、バイデン候補こそ
五大湖周辺州(=ラストベルト)と黒人票を握っている可能性が高いと感じているからであろう。
バイデン候補を排除できれば、トランプ大統領の再選の可能性が高くなると陣営は考えているはずである。
他の候補はどうした。
前回取り上げた ブティジェッジ候補をはじめ、他の候補は、トランプ大統領に比べれば、知名度がなさすぎます。
バイデン候補が失脚したとしても 弾劾裁判騒ぎのため、彼らが知名度を上げるチャンスは、失われてしまうと想像できます。
トランプ陣営とすれば「トランプ vs バイデン」という図式を作り上げ、ウクライナ疑惑にはめ込み、弾劾裁判の騒ぎで他の候補を消滅させることができる。
共和党よりのマスコミは、この事件を取り上げ、トランプ大統領は、あいも変わらずTwitterで煽っています。
この効果により、民主党候補についての話題を消してしまうことを狙っている。
共和党は、ディベートで呑気に政策論争をしている場合ではなくなり、お年寄りのサンダース候補は、健康問題で外れてしまいました。
ウォーレン候補は、「社会主義者」のレッテルがある限り、米国では勝てないだろう。
つまり 「トランプ vs バイデン」という図式が続く限り、他の候補者が浮上する可能性は少ないし、仮に大統領選候補に出てきてもトランプ陣営には勝てない。
トランプ陣営が、そこまでシナリオを書いていたかどうかは、わからない。
まとめ
10月8日に公表された支持率調査では、ウォーレン候補が、バイデン候補に近づいています。
米国の話題は、トランプの弾劾、トランプvsバイデンの場外乱闘、ウォーレンの台頭となっていて、他の候補者は消えたと言っていいだろう。
そして、あと数ヶ月は、弾劾裁判の話題が中心で民主党候補者のメディア露出は、減り続け 来年2月の予備選開始まで4カ月を切った民主党を封じ込める状況になりつつある。
ペロシ会員議長は弾劾裁判を、サンクスギビングデー(感謝祭) 今年は11月28日を目処に終結させ、クリスマス休暇までに民主党候補に脚光を取り戻せたいと考えているらしい。
はたしてうまくゆくかどうか?
トランプ劇場は、まだまだ 続きそうです。
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