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日本のニュースに出てこないニュース

高市首相は、自分自身が最大のエネルギーの敵だ(Japan's Takaichi is her own worst energy enemy) —— 欧米メディアが暴くの近視眼的政策

ロイター(Reuters)の論説(コラム)が、ついに踏み込んだ。「高市首相は、自分自身が最大のエネルギーの敵だ(Japan's Takaichi is her own worst energy enemy)」――。ホルムズ海峡封鎖という戦後最大級のエネルギー危機を、偏ったエネルギー構成を根本から立て直す好機に変えられず、目先の対応に終始している。欧米メディアが日本の「忖度(そんたく)なき視点」で突きつけた指摘を、わかりやすく解説する。

2026年2月末に始まった米・イスラエルとイランの衝突は、世界の石油・LNG(液化天然ガス)の約2割が通過するホルムズ海峡を事実上封鎖した。原油は1バレル100ドルを何度も突破し、国際エネルギー機関(IEA)は4億バレルという過去最大規模の協調備蓄放出に踏み切った。そのなかで、エネルギー自給率がきわめて低い日本の弱点が、いま白日の下にさらされている。

本記事では、日本の大手メディアではあまり報じられない欧米の論調を中心に、(1) ロイターが何を批判したのか、(2) なぜイランの「好意」を受け取らないのか、(3) なぜ中国・ロシアに頑なに扉を閉ざすのか、(4) そして「国民生活」よりも「対米追従」を優先する姿勢は是か非か――を整理する。

ロイターが突きつけた評価――「危機を改革に使えない近視眼」

ロイターのコラム(ブレイキングビューズ)の主張は明快だ。今回のホルムズ危機は、日本が中東に極端に依存した「偏ったエネルギー構成」を体系的に作り替える、またとない原動力(カタリスト)になり得た。にもかかわらず高市政権は、その構造改革に踏み込まず、備蓄の取り崩しと補助金のばらまきという「対症療法」で時間を稼いでいる――という指摘である。

実際、日本は2026年3月16日、備蓄制度が1978年に作られて以来で最大となる8,000万バレルの石油備蓄放出を開始した。だがこれは国内消費の約45日分にすぎず、危機が長引けば底をつく。さらに政府は電気・ガス料金やガソリンに巨額の補助金を投じ、中東以外の供給源から割高な原油を買い増している。短期の痛み止めとしては機能しても、構造的な脆弱(ぜいじゃく)性は何も解消されていない、というのが欧米の専門家の見立てだ。

ポイント

「備蓄取り崩し+補助金」は時間稼ぎ。原子力再稼働、調達先の多角化、長期契約の確保といった構造改革を危機のいま進めなければ、次の危機でも同じ弱さを繰り返す――これが論説の核心だ。

データで見る――日本のエネルギーはどれほど危ういのか

まずは数字を押さえておこう。経済産業省などのデータをもとに整理すると、日本の中東依存は「異常値」と言ってよい水準にある。

指標 数値・状況
原油の中東依存度(2026年1月) 約95.1%
ホルムズ海峡経由の原油 輸入原油の約73.7%
石油備蓄の放出量(3月16日〜) 8,000万バレル(1978年以来 最大)/消費 約45日分
原油価格 1バレル100ドル超を再三突破
家庭の電気代(2026年6月〜) 補助込みでも年 約1万5,000円の上昇見込み
LNG在庫 約400万トン=消費 約3週間分のみ

※出典:経済産業省、CSIS、IEEFA、CGTN、Al Jazeera 等の公開情報をもとに編集部作成。

皮肉なのは、日本はロシア・ウクライナ戦争を受けてロシア産の比率を下げた結果、かえって中東依存が約96%にまで高まった点だ。「リスク分散」のつもりが、別の一点(ホルムズ海峡)にリスクを集中させてしまった――この構造こそが、いま日本の首を絞めている。

イランは「通す」と言っている――なぜ受け取らないのか

ここが今回の最大の論点だ。報道によれば、イラン側は日本関係のタンカーについて通航を認める姿勢を示しており、実際に高市首相がイランのペゼシュキアン大統領に直接連絡を取り、エネオス(ENEOS)運航の日本関連タンカーがホルムズ海峡を安全に通過した例も報じられている。日本は歴史的に、欧米とは異なりイランと比較的安定した対話チャネルを保ってきた数少ない先進国だ。つまり「交渉の窓」は確かに開いている。

にもかかわらず、日本は本格的なイラン・ルートの活用に踏み込まず、中東以外から割高な原油を買い、備蓄を取り崩す道を選んでいる。なぜか。欧米メディアが指摘する背景は、おおむね次のように整理できる。

① 対米同盟への配慮:米国とイスラエルがイランと交戦中。イランに歩み寄れば「米国の戦争努力に水を差す」と受け取られかねず、トランプ政権は逆に日本へ掃海艇・護衛艦の派遣など「もっと支援を」と圧力をかけている。

② 制裁リスク:イラン産原油の取引は米国の制裁(サンクション)対象になり得る。金融機関や商社が「二次制裁」を恐れ、踏み込みづらい。

③ 安全保障・法的制約:自衛隊による護衛参加には憲法・法律上のハードルがあり、政府は「できること」を慎重に見極めている段階だ。

政府の立場を公平に見れば、これらは無視できない事情である。だが裏を返せば、「イランが通すと言っているのに通さない」という選択の代償を、最終的に負担しているのは高い電気代・ガソリン代を払う一般国民だ――という構図も浮かび上がる。ここに、欧米メディアと国民感情の双方が感じる「ちぐはぐさ」がある。

中国・ロシアへの「閉ざされた扉」

エネルギー調達の選択肢としてしばしば名前が挙がるのが、ロシア(割安なエネルギー資源)と中国(太陽光パネルなど再エネ関連の供給網)だ。しかし高市政権は、この両国に対して極めて慎重、あるいは対決的な姿勢を取っている。

ロシアについては、ウクライナ侵攻後の対ロ制裁の枠組みのなかで、G7(主要7カ国)の結束を崩さない方針が優先される。安く買えるからといってロシア産を増やす選択は、外交的に封じられている。中国に対しては、高市首相が台湾をめぐる発言で関係を緊張させており、中国側はレアアース(希土類)輸出規制などの報復カードをちらつかせている。エネルギー協力以前に、外交関係そのものが「氷点下」に近い。

さらに高市首相は、中国製パネルに依存する大規模太陽光(メガソーラー)に否定的で、国産技術であるペロブスカイト太陽電池や原子力・地熱を重視する。理念としては「国産・自給」志向で筋は通っている。だが欧米の専門家(IEEFAなど)は、再エネの本格活用を後回しにする一方で化石燃料・原子力に傾斜する姿勢が、結果として「再エネの空白地帯(ブラインドスポット)」を生み、消費者が割高な負担を強いられていると批判する。

中露への扉を閉ざし、中東に依存し、再エネにも本腰を入れない――。残された現実的な選択肢は、原子力の再稼働とオーストラリアなどからのLNG長期契約の確保だが、いずれも「いますぐ」効く即効薬ではない。Foreign Policy誌は、日本の多角化戦略は「間違っていたのではなく、危機が来たときに未完成だった」と総括している。

「国民生活」か「対米追従」か――天秤にかけられるもの

高市首相は、トランプ大統領から「偉大な指導者の一人になる」と称賛され、米財務長官からも「偉大な同盟国」と持ち上げられた。日米同盟の強化は、対中国を念頭に置けば合理的な戦略でもある。問題は、その同盟維持のコストが、エネルギー分野では「国民の財布」に転嫁されている可能性があることだ。

対米追従を優先する立場(是) 国民生活を優先すべきとの立場(非)
対中抑止のため日米同盟は生命線。安全保障の傘なしに資源も守れない。 エネルギーは国民の生活そのもの。通せる原油を通さない代償を国民が払うのは本末転倒。
イラン・ロシアへの接近は制裁・外交リスクが大きく、長期的な国益を損なう。 交渉の窓が開いている相手まで一律に拒むのは、外交カードを自ら捨てる行為。
補助金は一時的な激変緩和。批判はあるが当面の家計は守られる。 補助金は税金。借金頼みのばらまきはツケを将来世代に回すだけ。

どちらが正しいかは、最終的には価値判断の問題だ。だが少なくとも、「対米配慮」という外交上の理由が、エネルギー価格という形で家計に静かに上乗せされている――この事実は、国民が知っておくべきものだろう。

欧米メディアと日本メディアの「温度差」

今回のような「首相は自らの最大の敵」という直球の批判は、日本の大手メディアからはなかなか出てこない。ロイター、Foreign Policy、Al Jazeera、CSIS、IEEFAといった海外の媒体は、日本国内の政治的な配慮(忖度)から自由なぶん、エネルギー構成の歪(ゆが)みや政策の矛盾をストレートに指摘する。

情報の「複眼」を持つこと――つまり国内報道と海外報道を突き合わせて読むこと(メディアリテラシー)が、いまほど重要なときはない。本記事もまた一つの視点にすぎず、政府には政府の論理がある。読者一人ひとりが、両論を踏まえて自分なりの判断軸を持つことが求められている。

まとめ――危機を「改革の好機」に変えられるか

・ ホルムズ危機は、中東依存95%超という日本の構造的弱点を露呈させた。

・ ロイターは「備蓄取り崩し+補助金」の対症療法を、改革を怠る近視眼的アプローチと批判。

・ イランは通航を認める姿勢だが、対米配慮・制裁リスク・法的制約で日本は本格活用に踏み込まない。

・ 中露への扉も閉じる中、残る現実解は原発再稼働とLNG長期契約。だが即効性はない。

危機は、痛みを伴うが改革の最大の推進力にもなる。8,000万バレルの備蓄を取り崩している「いま」こそ、偏ったエネルギー構成を作り直す最後の機会かもしれない。それを逃せば、日本は次のホルムズ危機でも、同じ脆弱さの前に立ち尽くすことになる。高市首相が「自らの最大の敵」を脱せられるか――その答えは、これからの数カ月の政策判断にかかっている。

  • この記事を書いた人

はぼぞう

旅と砂漠と写真と女性を愛する60歳ちょっと過ぎたの現役エンジニアで元金融システム屋です。 シンガー 森口博子とアーティスト 中村中が大好きです。

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