ツール・ド・フランス2026 第15ステージは、7月19日(日)にシャンパニョル〜プラトー・ド・ソレゾン間の183.9kmで行われました。第2週の締めくくりとなる超級(ちょうきゅう)山頂フィニッシュで、レムコ・エヴェネプールがタデイ・ポガチャルとの一騎打ちを制し、ツール初の山岳ステージ優勝。一方でヨナス・ヴィンゲゴーが落車によりリタイアするという、大会の構図を一変させる一日となりました。
・ステージ優勝:レムコ・エヴェネプール(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
・マイヨ・ジョーヌ(総合首位):タデイ・ポガチャル 保持
・ヴィンゲゴーが落車リタイア、総合2位以下が大きく再編
・イサク・デルトロがマイヨ・ブラン(新人賞)を奪取
第15ステージ コース紹介
ジュラ地方のシャンパニョルをスタートし、レマン湖(Lac Léman)の南に広がるオート・サヴォワ地方へ向かう183.9km。獲得標高は約4,100m(メディアによっては約4,700m表記)に達する、第2週最大の山岳ステージです。
前半はゆるやかな登り基調で始まり、コート・デ・ルース(Côte des Rousses)を越えたあとは約50kmにおよぶ長い下りが続きます。勝負どころは残り約53kmから始まる1級山岳ル・サレーヴ/コル・ド・ラ・クロワゼット。距離こそ短いものの、最大勾配(こうばい)12.5%という激坂(げきざか)で、ここで逃げ(ブレイクアウェイ)も総合勢も一気に選別されました。
そしてフィナーレは、ツール初登場となる超級山岳プラトー・ド・ソレゾン。11.3km/平均勾配9.1%、序盤の4kmは10%超という容赦のない登りで、最後の1kmだけがわずかに緩みます。クリテリウム・デュ・ドーフィネ(現ツール・オーヴェルニュ・ローヌアルプ)でも最終ステージの舞台となってきた、実力差がそのまま出る「純粋な登坂力」勝負のコースです。
区間:シャンパニョル → プラトー・ド・ソレゾン/距離:183.9km
主要山岳:コート・デ・ルース、ル・サレーヴ/コル・ド・ラ・クロワゼット(1級・4.7km 平均11.2%)、コート・デュ・モン(3級・約2.1km 8%超)、プラトー・ド・ソレゾン(超級・11.3km 平均9.1%)

ステージ優勝者:レムコ・エヴェネプール
ベルギーのレムコ・エヴェネプール(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が、4時間23分09秒でフィニッシュしステージ優勝。ツール・ド・フランスでの区間勝利はこれまで個人タイムトライアル(ITT)で2勝を挙げていましたが、ロードステージ、しかも超級山頂フィニッシュでの勝利はこれが初めてです。
五輪王者にして世界選手権TTを制してきた「時計との戦い」のスペシャリストというイメージが強い選手ですが、この日は最後の11kmでポガチャルのペースアップに唯一食らいつき、スプリント(ゴール前の加速勝負)でも上回りました。フィニッシュ後には感極まった様子で喜びを語っており、キャリアの中でも大きな意味を持つ1勝となりました。
この勝利で総合成績も2位へ浮上。ポガチャルとの差は5分00秒ちょうどとなり、最終週へ向けて表彰台争いの主役に躍り出ました。
レースハイライトと注目ポイント
24名の大逃げが成立
序盤は激しいアタック合戦となり、レース中盤で24名の大きな逃げグループが形成。アダム・イェーツ、クイン・シモンズ、マウロ・シュミット、トム・ピドコック、エガン・ベルナル、ケヴィン・ヴォークランらが乗り、メイン集団(プロトン)に対して約3分のリードを築きました。
ヴィンゲゴーが落車リタイア
残り約24km、下りのコーナーでヴィンゲゴー(チーム・ヴィスマ|リースアバイク)が縁石に接触して落車。腕を吊った状態で救急車に運ばれ、そのままリタイアとなりました。最終週を前に総合2位のライバルが姿を消し、レースの構図は大きく変わりました。デルトロも同じ場面で落車していますが、こちらはレースに復帰しています。
クイン・シモンズの独走と、UAEの誤算
コル・ド・ラ・クロワゼットを先頭で通過したクイン・シモンズ(リドル・トレック)は最終登坂に単独で突入。しかし残り約4.8kmでポガチャル、デルトロ、エヴェネプールに捕まります。ポガチャルはチームメイトのデルトロに勝利を取らせるべく先頭を牽引(けんいん=ペースメイク)しましたが、残り700mからのデルトロのアタックにエヴェネプールが完璧に対応。最後はスプリント勝負となり、UAEのプランは崩れました。
タイム差が一気に拡大
先頭3名はポール・セイシャスとフロリアン・リポヴィッツに約1分、フアン・アユソには約2分の差をつけてフィニッシュ。これまで僅差でひしめいていた総合上位が、この1本の登りで明確に序列化されました。
各賞ジャージの状況
ステージ2位でリードをさらに拡大。2位に5分00秒差。
マイヨ・ア・ポワ(山岳賞/水玉):タデイ・ポガチャル(67ポイント)
総合首位との兼任のため、実際に着用するのは2位のヴァランタン・パレペントル(スーダル・クイックステップ/45ポイント)。
マイヨ・ヴェール(ポイント賞/緑):マッズ・ピーダスン(リドル・トレック/417ポイント)
この日の中間スプリントを制したヤスパー・フィリプセンが386ポイントまで接近。
マイヨ・ブラン(新人賞/白):イサク・デルトロ(UAEチームエミレーツ XRG)
ステージ3位の走りでポール・セイシャスを逆転し、25秒のリードを獲得。
敢闘賞(かんとうしょう):クイン・シモンズ(リドル・トレック)
逃げに乗り、山岳での独走で観客投票による敢闘賞を受賞
第15ステージ 結果(トップ10)
| 順位 | 選手 | チーム | タイム |
|---|---|---|---|
| 1 | レムコ・エヴェネプール | レッドブル・ボーラ | 4:23:09 |
| 2 | タデイ・ポガチャル | UAEエミレーツ XRG | +0:00 |
| 3 | イサク・デルトロ | UAEエミレーツ XRG | +0:06 |
| 4 | ポール・セイシャス | デカトロン CMA CGM | +0:58 |
| 5 | フロリアン・リポヴィッツ | レッドブル・ボーラ | +0:58 |
| 6 | レニー・マルティネス | バーレーン・ヴィクトリアス | +1:57 |
| 7 | マティアス・スケルモース | リドル・トレック | +1:57 |
| 8 | フアン・アユソ | リドル・トレック | +2:00 |
| 9 | アダム・イェーツ | UAEエミレーツ XRG | +2:00 |
| 10 | クイン・シモンズ | リドル・トレック | +2:16 |
総合成績(第15ステージ終了時・トップ10)
| 順位 | 選手 | チーム | タイム |
|---|---|---|---|
| 1 | タデイ・ポガチャル | UAEエミレーツ XRG | 55:41:31 |
| 2 | レムコ・エヴェネプール | レッドブル・ボーラ | +5:00 |
| 3 | イサク・デルトロ | UAEエミレーツ XRG | +5:58 |
| 4 | ポール・セイシャス | デカトロン CMA CGM | +6:23 |
| 5 | フロリアン・リポヴィッツ | レッドブル・ボーラ | +6:48 |
| 6 | フアン・アユソ | リドル・トレック | +7:28 |
| 7 | マティアス・スケルモース | リドル・トレック | +9:38 |
| 8 | レニー・マルティネス | バーレーン・ヴィクトリアス | +10:28 |
| 9 | トム・ピドコック | ピナレロ Q36.5 | +10:59 |
| 10 | ジョルダン・ジェガ | トタルエナジー | +19:26 |
チーム総合成績(トップ5)
| 順位 | チーム | タイム |
|---|---|---|
| 1 | リドル・トレック | 167:15:39 |
| 2 | UAEチームエミレーツ XRG | +3:19 |
| 3 | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +47:39 |
| 4 | デカトロン CMA CGM チーム | +1:36:54 |
| 5 | 💬確認中 |
※チーム総合5位は複数ソースで確認が取れなかったため、公式リザルトでの確認をおすすめします。
山岳賞・ポイント賞・新人賞(トップ3)
山岳賞(マイヨ・ア・ポワ)
| 順位 | 選手 | チーム | ポイント |
|---|---|---|---|
| 1 | タデイ・ポガチャル | UAEエミレーツ XRG | 67 |
| 2 | ヴァランタン・パレペントル | スーダル・クイックステップ | 45 |
| 3 | リチャル・カラパス | EFエデュケーション・イージーポスト | 39 |
ポイント賞(マイヨ・ヴェール)
| 順位 | 選手 | チーム | ポイント |
|---|---|---|---|
| 1 | マッズ・ピーダスン | リドル・トレック | 417 |
| 2 | ヤスパー・フィリプセン | アルペシン・プレミアテック | 386 |
| 3 | ビニアム・ギルマイ | NSNサイクリングチーム | 361 |
新人賞(マイヨ・ブラン)
| 順位 | 選手 | チーム | タイム |
|---|---|---|---|
| 1 | イサク・デルトロ | UAEエミレーツ XRG | 55:47:29 |
| 2 | ポール・セイシャス | デカトロン CMA CGM | +0:25 |
| 3 | フアン・アユソ | リドル・トレック | +1:30 |
第16ステージ コース紹介(7月21日)
7月20日(月)の第2回休息日をはさみ、最終週は個人タイムトライアル(ITT=選手が1人ずつ走るタイム勝負)で幕を開けます。区間はエヴィアン・レ・バン〜トノン・レ・バンの26.1km。レマン湖畔の2つの温泉保養地を結ぶルートですが、湖沿いをまっすぐ走れば11kmしかないため、コースはあえて丘陵地帯へ迂回します。
スタート直後からコート・ド・ラランジュ(9.6km 平均4.2%)で標高約800mまで登り、そこから7kmの下りで湖岸へ。残り9kmはフラットという「登り・下り・平坦が3分の1ずつ」の構成で、獲得標高は約500mです。
今大会唯一の個人TTが第3週に置かれているため、純粋なTTスペシャリストよりも「まだ脚が残っている選手」が有利になる可能性があります。ステージ15を制したエヴェネプールにとっては最大の得意種目であり、総合3位デルトロや4位セイシャスとの差を広げる絶好の機会。逆に登坂力で戦ってきた選手にとっては、表彰台がこぼれ落ちかねない一日です。
日程:7月21日(火)/区間:エヴィアン・レ・バン → トノン・レ・バン
距離:26.1km(個人タイムトライアル)/獲得標高:約500m
山岳:コート・ド・ラランジュ(9.6km 平均4.2%)


J SPORTS 放送予定
| 日付 | 番組 | 放送時間 |
|---|---|---|
| 7月21日(火) | 第16ステージ 生中継 | 午後9:00 - 深夜2:50 |
| 7月21日(火) | 第16ステージ 英語コメンタリー版(オンデマンド限定・スタート〜フィニッシュ) | 午後7:45 - 深夜2:50 |
| 7月22日(水) | 第17ステージ 生中継 | 午後9:00 - 深夜2:30 |
| 7月23日(木) | 第18ステージ 生中継 | 午後9:00 - 深夜2:30 |
※放送日程・チャンネルは変更になる場合があります。最新情報は J SPORTS 公式サイトでご確認ください。
まとめ
第15ステージは、エヴェネプールのツール初山岳勝利と、ヴィンゲゴーのリタイアという2つの大きなニュースが同時に起きた一日でした。ポガチャルのマイヨ・ジョーヌはさらに盤石になった一方、2位から6位までは2分半以内にひしめいており、表彰台争いはこれから。第16ステージの個人TTは、その勢力図をもう一度描き直す最初の一撃になりそうです。