「ピザを食べたら幻覚が見えた」
そんな映画のような事件が現実に起きました。舞台はアメリカ・ウィスコンシン州。普通のレストランで提供されたピザやガーリックブレッドを食べた85人が、大麻の有効成分であるTHCにより中毒症状を起こしたのです。
目次
事件の発端は「共用キッチンの油」だった
2024年10月、救急医療サービスはめまい・不安・眠気といった症状を訴える複数の患者を病院に搬送。患者はいずれも、地元レストラン「Famous Yeti's Pizza」で食事をしていました。
一酸化炭素中毒が疑われ調査が行われたものの、原因は別に。なんと、料理に使用された油から大麻成分THCの陽性反応が検出されたのです。
誤使用されたTHC入り食用油(出典:PHMDC)
合法大麻が思わぬ形で「汚染」
調査の結果、Famous Yeti's Pizzaは食用油を切らしてしまい、隣接する合法大麻食品を製造していた店舗の「THC入り油」を誤って使用してしまったことが判明
オーナーはその油が“普通の油”だと思い込み、ピザ生地などに使ってしまったのです。
Tetrahydrocannabinol Intoxication from Food at a Restaurant — Wisconsin, October 2024 | MMWR
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/74/wr/mm7427a2.htm
1歳から91歳まで、85人が中毒
事件に巻き込まれたのは、なんと1歳から91歳までの85人。18歳未満の子どもも8人含まれており、医療機関が対応に追われました。
症状にはめまい・吐き気・幻覚・不安・記憶障害など多岐にわたるTHC中毒の症例が報告されています。
警察は調査の結果、「意図的な混入ではなかった」として刑事告訴は見送りに。Famous Yeti's Pizzaは衛生基準に従って清掃・消毒を行い、営業を再開しました。
大麻合法化の“影”が浮き彫りに
アメリカで進む大麻合法化は、医療・嗜好用と活用の幅を広げていますが、今回のような“誤使用による事故”の危険性も見逃せません。
特に共用設備を通じた“うっかり汚染”や、ラベル管理の曖昧さは重大な健康リスクにつながります。
「合法であっても、管理が杜撰であれば人の命を危険にさらす」
今後への警鐘:「知らずに摂取」リスクに備えよ
THCによる誤摂取は、特に小児・高齢者に深刻な影響を与える可能性があります。レストランや食品製造業者は、
- 仕入れ食材・油類のラベル確認
- THC含有食品の管理区域の分離
- 共用キッチンのルール徹底
など、安全対策の徹底が急務です。
まとめ
今回の事件は、合法大麻の「誤用」がいかに日常に潜んでいるかを突きつけました。善意の飲食店経営者が無意識に違法行為を引き起こし、無防備な子どもまで被害に。これからの「大麻社会」における“教育”と“管理”の重要性を、強く認識すべきタイミングかもしれません。
あなたの食べているピザは、本当に“普通のピザ”ですか?