どこまでも続く並木道に飽きたころ、バスが停車!
「州境なので停車します」
畑の真ん中に下り立つ。
オレンジの女の子
ここにはお土産やもなく、日本の昔の農村風景が広がっていた。
オレンジが山のように詰まれている屋台があった。
昨日の州越えと同じように、トラックの運転者などを相手にしているのだろう。
誰もいないと思っていたら、遠くから子供たちがやってきました。
お金を要求するわけでもなく「ニコニコ」笑っています。
「日本人が珍しいのかな?」
同じツアーに参加している「群馬の先生」が写真を撮ると、我先にと集まってくる。
「さすが先生! 子供の扱いは慣れている」
と感心。
先生はビデオカメラなどを子供たちに覗かせながら、異様な盛り上がりを見せている。
あまりにもオレンジが美味しそうなので一袋購入。
1Kg(だいたい5個)で30ルピー(約100円)2人で食べるには多いので、ツアーの人と半分こする。
すると、5才ぐらいの女の子がズボンの裾を掴んできた。
「オレンジ、オレンジ」
ビー玉のようなキラキラする目で訴えてきました。
身振り手振りで「オレンジ頂戴」ズボンをはなさない。
「でも、これ、おねぇちゃんのだからあげられないのよ」
とうちの奥さんが言った。
この子はいつもこうして州境の手続きをする観光客から、オレンジをもらっているのであろうか?
ふと「インドについて書いてあった本」に書かれていることを思いだす。
「むやみに子供に施しをすると、その子は‘おもらいさん’になってしまう」
女の子には、悪いけど「むやみに物をあげるのはいけない」と判断して、ここではオレンジをあげないことにした。
エジプトに旅行に行ったとき、日本人の女性ガイドさんが言っていたことを思いだす。
「ものをあげるなら、そこにいる全員にあげて下さい。それができなければ、あげないで下さい」
我々はこの意見を尊重しています。女の子には悪いけど、オレンジはあげないことにしました。
再びバスに乗り込みオレンジを食べる。
日本の蜜柑とオレンジの中間のような味でした。
埃っぽい懐かしい味がした。
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