「おうちで楽しむ週末映画」第3週は、
「日本のいちばん長い日」2015年の平成版です。
岡本喜八監督のモノクロ版もあるのですが、昭和30年代生まれの自分は、こちらのほうができが良いと感じた。
Amazonの批評では、結構評判が悪い書き込みがあるけれど、映画は、娯楽作品なのですから、史実が云々は、別問題
ストーリーの見せ方は、こちらのほうがわかりやすく、作品として楽しむことができた。
ストーリー
戦争の幕引きを丁寧に表現したドラマで題名のように「長い一日」を中心に描かれている。
一億玉砕、本土決戦で戦争継続を望む、陸軍の若い将校たち
対して
戦争の幕引きを天皇陛下から任された、鈴木貫太郎首相を始めとする、長老たちのポツダム宣言受託に向かっての準備の物語である。
陸軍の戦争継続の意気込みは、若い将校たちだけで、同じ陸軍でも長老たちは、戦争終結を考えていたと思われる。
御前会議において戦争終結を天皇陛下から事実上言い渡されたわけですが、それを受けて若い将校が暴走、クーデターのような状況に陥るのだが、戦争終結を願ういろいろな人々によってギリギリで回避される。
注目は、陸軍大臣に任命された阿南大臣
戦争終結を進める鈴木貫太郎首相や他の閣僚との対決が、この物語の中心の話である。
結局は、戦争終結を認めるわけですが、閣議決定のあとに鈴木貫太郎首相や外相に対しての言葉が、この人の人格が表れている。
このシーンを見逃すべからず。
感じたこと
戦争は、起こしてはならないものだと思いますが、そうならなければ生き残れない日本の状況もあったと思っている。
問題は、どうやって終わらせるか
年寄りこそ こういう場面で動かなければなりません。
もちろん 汚れ役ですが、自分の使命を完了して、自ら身を引いてゆく。
明治の男たちは、戦後でも中心になって日本復興の中心になるわけですが、戦争終結にも大きな役割を演じたわけです。
この映画に出てくる若い将校たちをみて
「馬鹿じゃない」
「勝てるわけないのに」
なんて今の日本のわたしたちは、言うかも知れませんが、それは、その時代にならなければ彼らの心情は、わからない。
そして、決して嘲笑してはいけない。
彼らは彼らなりに精一杯生きていたわけです。
まとめ
昭和の時代、夏になると戦争映画がテレビで放映されることが多かった。
最近は、「面倒くさい人たちが騒ぐ」ので あまり放送されない。
この映画は、戦争賛美とか戦争の悲惨さを強調しているわけではありません。
日本の大きな分岐点で何が行われていたかを知ることは、意味があると思うのでぜひ観て欲しい。
「戦争反対とプラカードを持っている人」には、わからないと思うけど、戦争に巻き込まれない保証はどこにもない。
そうなってしまったとき、どうすればよいのか どうしたら終わらせることができるのか?
この映画をみていろいろと考えるきっかけになればと思う。
監督・脚本:原田眞人
製作総指揮:迫本淳一
主要人物
阿南惟幾(陸軍大臣) - 役所広司
昭和天皇 - 本木雅弘
鈴木貫太郎(内閣総理大臣) - 山崎努
迫水久常(内閣書記官長) - 堤真一
畑中健二(陸軍少佐、軍務課員) - 松坂桃李
本木雅弘の昭和天皇は、素晴らしい演技だった。
アマゾンプライム会員なら無料で観ることができるのでぜひ御覧ください。