📜 借金の「元本」ではなく「利息」だけで、これだけかかる
来年度の国の利払いは約16.59兆円に
🟢 財務省が2027年度(令和9年度)予算の概算要求としてまとめた資料によると、国の借金である国債の「利払い費」だけで約16兆5,888億円にのぼる見通しであることがわかりました。これは元本を返すお金ではなく、純粋な「利息」の部分だけの金額です。家で例えるなら、住宅ローンの元金を1円も減らさずに、利息だけで16.59兆円を毎年払い続けるようなものです。
🔵 「利払いなのに、そんなに大きい数字で大丈夫なのか」「予算全体も140兆円を超えているらしいが本当に大丈夫なのか」――今回は、専門用語をできるだけ使わず、この状況を整理していきます。
そもそも「利払い費」とは何か
🔵 国の借金である「国債」を返すためのお金は、大きく2つに分かれます。ひとつは借りたお金そのものを返す「元本の返済(債務償還費)」、もうひとつが借りている間ずっと発生する「利息(利払い費)」です。よく報道される「国債費」という言葉は、この元本返済と利息の合計額を指します。
🟢 2026年度(令和8年度)の当初予算で見ると、国債費全体は約31兆2,758億円で、このうち元本の返済分が約18兆2,086億円、利息分(利払い費)が約13兆371億円でした。
前年比・10年前比でどれだけ増えたのか
🟢 2027年度の概算要求段階での利払い費は約16兆5,888億円。2026年度当初予算の約13兆371億円と比べると、わずか1年で約3兆5,516億円、率にして約27.2%も増えています。単一の経費が1年で2割以上増えるのは、通常の予算では異例のことです。
🟡 さらに10年前の2016年度(平成28年度)当初予算と比べると、当時の利払い費は約9兆8,687億円でした。ここから2027年度概算要求までの増加額は約6兆7,201億円、率にして約68%の増加です。しかもこの10年の途中、日銀の低金利政策のあいだは、国の借金(国債残高)自体は増え続けていたにもかかわらず、利払い費はむしろ一時的に減っていた時期もありました。つまり「借金が増えたから利息が増えた」のではなく、「金利が上がり始めたことで一気に利息が増えた」局面に入ったということです。
| 年度 | 想定金利 | 利払い費 |
| 2016年度(当初予算) | 1.6% | 約9.87兆円 |
| 2026年度(当初予算) | 3.0% | 約13.04兆円 |
| 2027年度(概算要求) | 3.8% | 約16.59兆円 |
※2027年度分は概算要求段階の数字で、年末の予算編成で最終的に変わる可能性があります。

なぜここまで増えたのか──主犯は「借金の量」より「金利」
🟢 利払い費の計算には「想定金利」という数字が使われます。2026年度予算では3.0%でしたが、2027年度の概算要求ではこれが3.8%まで引き上げられました。長期金利(10年物国債の利回り)が市場で急上昇していることを反映した動きです。
🔵 ここが今回のポイントです。国の借金の総額(元本)が急に倍になったわけではありません。ずっと超低金利で借り換えてきた古い国債が、満期を迎えるたびに、今の高い金利の新しい国債に置き換わっていく。これが積み重なることで、利息の負担だけが加速度的に膨らんでいくのです。低い利息で回してきたお財布から、これまでより多くのお金が出ていくようになった、というイメージです。
国債残高は1,000兆円超え──借金そのものも大きい
🟢 財務省自身も、普通国債の残高が1,000兆円を超えている状態で金利が上昇すれば、利払い費が大幅に増えると説明しています。2026年度末の残高は約1,145兆円に達する見通しです。つまり「借金の量そのものが大きい」うえに「金利まで上がり始めた」という、いわば二重の負担がのしかかっている状態です。
予算140兆円超えの中身──利払いが政策のお金を奪っていく
🟢 2027年度予算の概算要求(各省庁が財務省に提出した要求の総額)は約143兆円と、過去最大の規模になりました。このうち元本返済と利払いを合わせた国債費全体は約36兆6,386億円で、前年度から17.1%の増加です。要求総額のうち、国債費だけで4分の1以上を占める計算になります。
🔵 予算というお財布の中で、借金の利息を払う枠がどんどん大きくなるということは、それだけ子育て支援や防衛、社会保障といった他の政策に使えるお金が圧迫されるということでもあります。これは今回の概算要求段階の数字であり、年末の予算編成で削られる部分もありますが、「利払いに割く枠が構造的に膨らみ続けている」という流れ自体は変わりません。
この先どうなる──悪循環のリスク
🔵 懸念されているのは、次のような悪循環です。①財政が悪化しているという不安が広がる→②国債を買う投資家がより高い金利を求める→③長期金利が上がる→④利払い費がさらに増える→⑤財政がさらに悪化して見える、という流れです。低金利で発行された古い国債が今後も次々と満期を迎えるため、金利が高止まりするほど、この負担は時間をかけてじわじわと表面化していきます。
📌 借金の元本は1円も減らないまま、利息の支払いだけで国の予算の使い道が狭くなっていく――これが「金利のある世界」に戻った日本が直面している現実です。
まとめ
🔵 今回のポイントを整理すると、①利払い費は借金の「利息」だけの金額で、元本返済とは別であること、②2027年度概算要求の利払い費は約16.59兆円で、前年度比27.2%増・10年前比では約68%増となっていること、③この急増の主因は借金の量よりも「金利の上昇」であること、④国債残高はすでに1,000兆円を超えており、金利が上がるほど負担が加速すること、の4点です。まだ概算要求の段階であり、年末の予算編成で数字が調整される可能性はありますが、「金利のある世界」への転換が家計と同じように国の財政も圧迫し始めているという構図そのものは、今後も注視していく必要がありそうです。