英語ネイティブが話の途中でスッと口を挟む
日本語の感覚では「失礼」に見えるこの振る舞い、実は相手を促す“協調的オーバーラップ”であることが多い。
ここに、英語が「聞けない・話せない」日本人のボトルネックが潜んでいる。
加えて、読み書き偏重の入試や発音・リズムの違い、失敗回避の文化が重なり、実戦の会話力が伸びにくい構造に
本稿はForbes JAPANの論点を出発点に、最新の英語力指標や教育研究を踏まえ、原因→行動に落とす改善法までを一気にまとめました。
目次
日本人はなぜ英語が話せないのか——5つの根本原因
1) 「遮る=失礼」という会話規範のズレ
Forbes JAPANは、英語ネイティブの“会話を遮る”行動を会話を前に進めるための普通の協調行動として解説する。英語圏では短い被りや相づちが「熱心に聴いている合図」になりやすい。
日本語の「黙って最後まで聞く」が礼儀という規範と真逆で、これが聞き取りの不安→発話の萎縮を生む。言語学でも、短い重なりは(協調的重なり)として説明されている。
Forbes JAPANResearchGate
ポイント:英語では重なり・差し込み=敵対ではなく協力になり得る。
2) 入試と授業の「読み書き偏重」構造
文科省は4技能育成を掲げるが、選抜(入試)の評価が産出技能に十分結びついていないため、現場は依然として文法・読解中心になりがちだ、という研究指摘がある。
結果、話す・やり取りの練習量が慢性的に不足する。
文部科学省Cambridge EnglishTeval
3) 国際指標でも“話す力”が弱いシグナル
EF EPI 2024で日本は92位/116とLow Proficiency帯。地域別の詳細でも主要地域は世界平均を下回る。これは「話せない人が多い」現状の外形的裏づけとなる。
ef.edu
4) 音声・リズムの壁(発音は“音”より“リズム”)
/r–l/などの個音も難所だが、会話ではストレス(強勢)とチャンク(意味のかたまり)の置き方が通じやすさを大きく左右する。
情報を短い塊で、結論→理由の順に出す“英語の呼吸”に慣れていないと、相手は割り込んで補完しがちになり、話者は「遮られた」と感じる。
5) 失敗回避文化と発話回避のスパイラル
正解主義・完璧主義は間違い=恥の学習を強化し、沈黙→機会損失を招く。英語ではまず言う→直すのサイクルが普通だが、その第一歩が踏み出せない。
改善の実践:今日からできる“会話を進める”技術
A. 会議・雑談での「フォアハンド」を持つ
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先に結論→要点3つ(10秒):
“My view in a nutshell: A, B, and C.” -
床(floor)を確保する合図:
“If I may finish the point,” “Let me quickly add…” -
差し込みの扱い(被せられた時):
“Great point—just to complete my thought,” と一拍で回収。
(協調的重なりを前提に、怒らず・短く)
B. 聞き手スキル(英語仕様の相づち)
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短い相づちを頻繁に:“Right.” “I see.” “Got it.”
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確認の定型:“Do you mean…?” “So, you’re saying…”(意味交渉の習慣化)
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沈黙は1秒以内を意識(英語では長い空白が話者交代サインになりやすい)
C. 伝わる発音=“強弱×区切り”に集中
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意味単位で切る:
“I’d suggest // postponing the release // by two weeks.” -
強勢を置く語を3つまで(名詞・動詞・数詞)
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シャドーイングは短文×高頻度で。1日2分でも毎日。
D. 学習設計の置き換え(個人・企業)
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読んだ量=話した回数のKPI化(例:1会議で英語3トーク必達)
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ロールプレイは「遮られ対応」込み(差し込み→回収の練習)
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会議ルールを明文化:
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先に結論 2) 30秒で交代 3) 被りは善意 4) 要約して返す
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教育・制度への提案(現場で効くミニ改革)
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スピーキング評価の標準化:簡易ルーブリックで毎週口頭評価(授業のハイライトに)
英検 -
入試の産出技能比率を可視化:大学は4技能配点を公開。高校現場の指針に直結
Cambridge English -
家庭・地域での実使用機会:オンライン交流・読書会よりディスカッション会を
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企業は“会議英語”の定型を共有(シグナル語句・ハンドオーバー文・議事要約テンプレ)
まとめ
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英語ネイティブの“遮り”は協力の合図であり、日本側の沈黙礼儀と齟齬を起こす。
Forbes JAPANResearchGate -
入試・授業の構造が話す訓練を細らせ、国際指標でも日本は低位
ef.eduCambridge English -
処方箋はシンプル:結論先出し・短く切る・被りを恐れない。会話を前に進める技術を、日々の会議と授業に埋め込もう。
ひとりごと
一番 手っ取り早いのは、ピロートーク・・・
というわけではないですが、ネイティブの英語圏の人と友人になることが最有力
あるいは、英語漬けの毎日に自分を追い込むしかない
これは、年齢とか関係なく 環境が最重要
参考・出典
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Forbes JAPAN「英語ネイティブはなぜ会話を遮るのか 日本人が知らない常識」。英語会話の遮り=協力という視点を提示。Forbes JAPAN
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EF English Proficiency Index 2024:日本は92位/116(Low Proficiency)。地域別スコアも掲載。ef.edu
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文部科学省「英語4技能の育成・評価」関連文書(学習指導要領・解説)。文部科学省+1
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Cambridge English Research Notes / JALT等:入試が産出技能に与える影響(読み書き偏重の継続問題)。Cambridge EnglishTeval
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Deborah Tannen ほか:cooperative overlap / conversational style の概念。ResearchGateStanford University