今から40年ほど前の話です。
自分が通っていた大学は、1年、2年生の時、埼玉県の○○村に通っていました。
大学は、最寄りの駅からバスで約30分 鬱蒼とした森の中にありました。
建物は古く周りは、木々に囲まれ森のようになっていました。
大学には、1本の道路だけで、他に交通手段はありません。
ある冬の日、自分は、サークル活動で遅くなり、夜 9:00の最終バスに乗り込みました。
バスは、部活の遅くなった学生など結構混んでいたのですが、幸い自分は一番後ろの席に座ることがでできました。
細い道をバスは進んでゆく。
街灯もなく 対向車もほとんどない。
真っ暗な道を抜け 街の明かりが見え始め、停留所で少しずつ学生が降りてゆく
終点につく頃には、学生が10人ほど残り、小さな私鉄の駅前に到着
自分は、最後部の席から、みんなが降りるのを待って一番最後にたちあがり、料金を払う
すると 運転手さんが、マイクで話し始めた。
「お客さん 終点ですよ」
自分が最後のはずなのにと思い振り返ると後部座席には、
誰もいない
そりゃそうだ 自分が最後の乗客ですから
「お客さん 終点ですよ」
運転手さんは、もう一度 言うと急に表情が変わる。
「学生さん 申し訳ないけど 一緒に席を見に行ってくれるかな」
運転手さんの声が震えている。
「いいですよ でも 誰もいませんよ 自分が最期ですから」
といいつつ 運転手さんと二人でバスの後部座席をのぞき込む
自分が座っていた反対側の席に
白いハンカチが一枚 広がって落ちていた。
「ひひぇー^^^^」
運転手さんは、自分を残して バスの前にかけだした。
私は、落とし物だろううと想い ハンカチを拾って瞬間
右足首に冷たい手の感触が・・・
うううううわぁーーー
あわてて バスを降り 震えている運転手さんの元に行くと
「俺 バックミラーで見たんだよ 親子連れが、学生さんの反対側に座っていた。確かに見たんだ」
「学生さんも見たよな」
恐怖に身体が震えている。
「いいえ 駅に着いたときは、誰もいませんでしたよ」
「だけど・・・」
「だけど なんだい」
と運転手さん
「ハンカチに触ったら 誰かが、脚を触った」
と話すと運転手さんはその場にしゃがみ込んでしまった。
運転手さんの同僚がやってきた。
「どうした」
と運転手さんに問いかける
「出たんだよ ○○村停留所の幽霊」
もうそこにはいられない
私は、その場からすぐに離れたくて急いで駅に向かった。
翌日、オカルト研究会の友人にその話をすると
「そうか 出たのか あの道の途中で交通事故で亡くなった 親子の幽霊が出ると 噂されているんだ」
「親子は、クルマに乗り込んできたり バスに乗っているのを見かけた人も多いときいている」
「きっと 事故で死んだことに気がついていないで 家に帰りたいのかも知れない・・・」
「俺も体験したいので 今日の最終バス 一緒に乗らないか・・・」
「すまん 俺は、早く帰るよ」
私は、その日から最終バスと一番後ろの席には、座らないことにした。
最終バス もしかしたら あなたの隣にこの世に未練を残したお客さんが乗って居るかも知れません。