ツール・ド・フランス2026は7月23日、第18ステージ(ヴォアロン〜オルシエール・メルレット/185.2km)を実施。逃げグループ(ブレイクアウェイ)から抜け出したリチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト)が独走で今大会初勝利を飾りました。マイヨ・ジョーヌ(総合首位)のタデイ・ポガチャルは約4分30秒遅れでフィニッシュし、リードを維持しています。
第18ステージのコース紹介
第18ステージは、アルプス3連戦の初日にあたる185.2kmの山岳ステージです。イゼール県のヴォアロンをスタートし、標高1825mのスキーリゾート、オルシエール・メルレットの山頂にフィニッシュします。獲得標高は約3944m。
序盤はフラットですが、まもなくコート・ダンジャン(11.4km・平均5.4%)が待ち構えます。その後もコート・ド・モンテナール(9.7km・平均5%)、コート・デ・テラス、そして残り19km地点のコート・ド・サン=レジェ=レ=メレーズ(2.5km・平均6.9%)と、中級の登りが断続的に続く構成でした。
最終登坂(フィニッシュクライム)
オルシエール・メルレットは7.1km・平均6.7%のカテゴリー1。九十九折り(スイッチバック)が連続し、「ミニ・アルプデュエズ」とも評される、アタックを仕掛けやすいレイアウトです。
この山は1971年、ルイス・オカーニャが60kmの独走でエディ・メルクスに9分以上の差をつけた伝説の舞台。直近では6年前(2020年)にプリモシュ・ログリッチが小集団スプリントを制し、この日プロ2年目のポガチャルが生涯初のマイヨ・ブランを着用した場所でもあります。

区間優勝:リチャル・カラパス
区間優勝を飾ったのは、エクアドルのリチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト)。33歳のベテランクライマー(山岳スペシャリスト)は、最終登坂の残り約3kmで強烈なアタックを放ち、追随したヴァランタン・パレパントルも突き放して単独でフィニッシュラインへ飛び込みました。
カラパスにとってツール・ド・フランス通算2勝目(前回は2024年)。EFエデュケーション・イージーポストにとっては今大会初の区間優勝となりました。今大会は何度も逃げに乗りながら勝利に届かず、粘り強く挑戦を続けてきた末の一勝です。
第18ステージ 表彰台
1位 リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト/エクアドル)
2位 マウロ・シュミット(チーム ジェイコ・アルウラー/スイス)
3位 マッテオ・ジョーゲンソン(チーム ヴィスマ・リースアバイク/アメリカ)
4位 ヴァランタン・パレパントル(スーダル・クイックステップ/フランス)
レースハイライトと注目ポイント
逃げ成立まで約70km/スタート直後からアタック合戦となり、ニコラス・ヴィノクロフ、ヨナス・アブラハムセン、マティス・ルベール、ルイス・アスキー、アーロン・ゲイトの5人がまず先行。しかしポガチャルとUAEが集団前方をコントロールし、有力な逃げはなかなか決まりません。逃げが固まるまでに約70kmを要する激しい展開となりました。
ピーダスンがマイヨ・ヴェールを盤石に/今回は中間スプリント(インターミディエイトスプリント)がコース後半に置かれたため、ヤスペル・フィリプセンは逃げに乗れず。一方、マッズ・ピーダスンは逃げに合流して最大ポイントを獲得しました。この25ポイントでポイント賞の差は7ポイントから32ポイントへ拡大。残る集団スプリントの機会は最終日を含めごくわずかで、マイヨ・ヴェールはほぼ決着に近づいています。
山岳賞争いが最終盤で急接近/逃げを容認した結果、山岳ポイントは前方の選手たちへ。パレパントルが複数の山頂を先頭通過し、山岳賞(マイヨ・ア・ポワ)首位ポガチャルとの差はわずか1ポイントに。区間優勝のカラパスも3位63ポイントまで詰め寄り、アルプデュエズ2連戦で決着する構図となりました。
UAEに広がる不安/このステージでブランドン・マクナルティ(UAEチームエミレーツ・XRG)がリタイア。アダム・イェーツも体調不良が続き、ティム・ウェレンスも早々に遅れました。総合4分32秒差で首位を走るポガチャルにとって、山岳アシストがほぼ不在という状態で残り3ステージを戦うことになります。ポガチャル自身は「第3週で、どのチームも消耗している」と語り、警戒を緩めていません。
総合争いは動かず/GC勢(総合争いのグループ)は最終登坂でもアタックを見せず、そのままフィニッシュ。上位陣のタイム差に変動はありませんでした。一方、逃げに乗った唯一の総合上位候補だったカラパスが4分30秒以上を稼ぎ、総合10位へ浮上しています。
各賞ジャージ・敢闘賞
| 賞 | 選手/チーム |
|---|---|
| マイヨ・ジョーヌ(総合) | タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG/スロベニア) |
| マイヨ・ヴェール(ポイント賞) | マッズ・ピーダスン(リドル・トレック/デンマーク) |
| マイヨ・ア・ポワ(山岳賞) | タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG/スロベニア) ※ポガチャルがマイヨ・ジョーヌ着用のため、実走時は2位のパレパントルが着用 |
| マイヨ・ブラン(新人賞) | イサーク・デルトロ(UAEチームエミレーツ・XRG/メキシコ) |
| 敢闘賞(コンバティビティ) | リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト/エクアドル) |
※敢闘賞は現地中継の発表に基づく速報値です。確定情報はJ SPORTS公式リザルトでご確認ください。
第18ステージ終了時点 個人総合成績(トップ10)
| 順位 | 選手名 | チーム | タイム |
|---|---|---|---|
| 1 | タデイ・ポガチャル | UAEチームエミレーツ・XRG | 64h 35' 13" |
| 2 | レムコ・エヴェネプール | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | + 4' 32" |
| 3 | イサーク・デルトロ | UAEチームエミレーツ・XRG | + 6' 51" |
| 4 | ポール・セクサス | デカトロン・CMA CGM チーム | + 7' 11" |
| 5 | フアン・アユソ | リドル・トレック | + 9' 22" |
| 6 | マティアス・スケルモース | リドル・トレック | + 10' 14" |
| 7 | レニー・マルティネス | バーレーン・ヴィクトリアス | + 12' 50" |
| 8 | トーマス・ピドコック | ピナレロ・Q36.5プロサイクリング チーム | + 12' 58" |
| 9 | ジョルダン・ジェガット | チーム トタルエネルジー | + 14' 04" |
| 10 | リチャル・カラパス | EFエデュケーション・イージーポスト | + 21' 00" |
チーム総合成績(トップ5)
| 順位 | チーム | タイム |
|---|---|---|
| 1 | リドル・トレック | 193h 36' 59" |
| 2 | UAEチームエミレーツ・XRG | + 22' 05" |
| 3 | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | + 56' 10" |
| 4 | チーム ヴィスマ・リースアバイク | ※確認中 |
| 5 | デカトロン・CMA CGM チーム | ※確認中 |
※4位・5位は第17ステージ終了時点の順位(4位ヴィスマ/5位デカトロン)を踏まえた掲載です。第18ステージ終了時点の正確なタイム差はJ SPORTS公式リザルトおよび letour.fr での確認を推奨します。
山岳賞・ポイント賞・新人賞(各トップ3)
山岳賞(マイヨ・ア・ポワ)
| 順位 | 選手名 | チーム | ポイント |
|---|---|---|---|
| 1 | タデイ・ポガチャル | UAEチームエミレーツ・XRG | 70 pts |
| 2 | ヴァランタン・パレパントル | スーダル・クイックステップ | 69 pts |
| 3 | リチャル・カラパス | EFエデュケーション・イージーポスト | 63 pts |
ポイント賞(マイヨ・ヴェール)
| 順位 | 選手名 | チーム | ポイント |
|---|---|---|---|
| 1 | マッズ・ピーダスン | リドル・トレック | 477 pts |
| 2 | ヤスペル・フィリプセン | アルペシン・プレミアテック | 445 pts |
| 3 | ビニヤム・ギルマイ | NSNサイクリングチーム | 361 pts |
新人賞(マイヨ・ブラン)
| 順位 | 選手名 | チーム | タイム |
|---|---|---|---|
| 1 | イサーク・デルトロ | UAEチームエミレーツ・XRG | 64h 42' 04" |
| 2 | ポール・セクサス | デカトロン・CMA CGM チーム | + 0' 20" |
| 3 | フアン・アユソ | リドル・トレック | + 2' 31" |
第19ステージのコース紹介:ついにアルプデュエズ
7月24日の第19ステージは、ギャップからアルプデュエズまでの127.9km。距離は今大会屈指の短さですが、内容は極めて濃い一日です。
スタート直後の25km以内に、コル・バイヤールとコル・デュ・ノワイエという2つの本格的な登りが連続。この序盤の厳しさが、強力な逃げグループの形成を後押しする可能性があります。その後は長いバレー(谷間)区間を経て、残り39km地点のル・ペリエで中間スプリント、残り28km地点で終わるコル・ドルノン(5.4km・平均6.4%)へ。
フィナーレ:アルプデュエズ(HC/超級)
13.8km・平均8.1%。21のヘアピンカーブと熱狂的な観客で知られる、ロードレース界で最も有名な登りです。短距離ステージのため、選手たちは高いW/kg(体重あたり出力)で登り切ることが予想され、総合争いに大きな差が生まれる可能性があります。
注目は、ポガチャルがまだ手にしていない「アルプデュエズでの区間優勝」を狙うかどうか。ただしUAEはマクナルティのリタイア、イェーツの体調不良で山岳アシストが手薄になっており、逃げを容認する可能性も十分にあります。山岳賞ジャージを狙うカラパス、区間勝利を狙うピドコック、ジョーゲンソンやセップ・クスといったステージハンターにもチャンスが巡ってきそうです。
なお翌7月25日の第20ステージは、クロワ・ド・フェール峠、ガリビエ峠、サレンヌ峠と超級を3つ含む「クイーンステージ」。第19・第20ステージの2連戦が、今年のツールの最終的な決着をつけることになります。


J SPORTS 放送予定(第19ステージ)
| 放送日時(日本時間) | 番組 |
|---|---|
| 7月24日(金)20:45 〜 翌2:45 | 第19ステージ【限定】【スタート〜フィニッシュまで】(英語コメンタリー版) |
| 7月24日(金)20:50 〜 翌2:30 | 第19ステージ(日本語実況・生中継) |
| 7月24日(金)20:50 〜 翌1:30 | 第19ステージ(放送枠) |
※現地スタートは14:00(現地時間)、フィニッシュ予定は17:24(現地時間)。放送枠は他番組の都合で変更となる場合があります。最新の放送予定はJ SPORTS公式サイトでご確認ください。
残り3ステージ。ポガチャルの総合5勝目はほぼ手中にありますが、山岳賞はわずか1ポイント差、そしてアルプデュエズ2連戦が待っています。最後まで目が離せません。