ツール・ド・フランス2026 第16ステージ(2026年7月21日)は、大会唯一の個人タイムトライアル。世界チャンピオンのレムコ・エヴェネプールが2日連続のステージ優勝を飾り、マイヨジョーヌのタデイ・ポガチャルとの差を4分32秒まで縮めました。一方でフロリアン・リポヴィッツが落車リタイア。総合争いは大きく形を変えています。
第16ステージ コース紹介
第16ステージは、レマン湖畔のエヴィアン・レ・バンからトノン・レ・バンまでの26.1km、今大会唯一の個人タイムトライアル(単独で時間を競う個人走行種目)です。今年のコースはタイムトライアル専門家にとって決して有利ではありません。平坦区間が極端に少なく、序盤からいきなり登坂で始まる構成だからです。
スタート直後から約10kmにわたって続くのがコート・ド・ラランジュ。平均勾配4.3%と数字自体は穏やかですが、高速で登り切る必要があるため空力性能(エアロダイナミクス)も同時に問われます。頂上には中間計測ポイントが置かれ、ここまでの走りがそのまま総合争いの明暗を分けました。
頂上を過ぎると高速かつテクニカルな下り。タイムトライアルバイクは前傾姿勢が深く、レースで下りを攻めるのは大きなリスクを伴います。最後はトノン・レ・バンの市街地に入る平坦約8kmですが、直線が短く、ここでも純粋なパワー勝負にはなりませんでした。獲得標高は約470m、フィニッシュ手前の平均勾配は1.5%のわずかな登りです。
■ 第16ステージ 概要
・区間:エヴィアン・レ・バン 〜 トノン・レ・バン
・距離:26.1km(個人タイムトライアル)
・獲得標高:約470m
・主な登坂:コート・ド・ラランジュ(約10km/平均4.3%)
・開催日:2026年7月21日(現地)

優勝:レムコ・エヴェネプール
優勝はレムコ・エヴェネプール(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ/ベルギー)。26.1kmを32分19秒で駆け抜け、2位のポガチャルに28秒差をつける完勝でした。世界選手権・オリンピックの個人タイムトライアル王者が、ベルギー建国記念日にその実力を証明した形です。
エヴェネプールは最初の計測地点でポガチャルに6秒先行すると、登坂頂上では3位のマティアス・スケルモースに55秒差。ポガチャルだけが頂上時点で14秒差に踏みとどまり、勝負を下りへ持ち込みました。エヴェネプールは事前に何度も試走していたテクニカルな下りで攻め、中間計測では15秒差に拡大。最後の平坦8kmでさらに差を広げ、優勝タイムは32分19秒となりました。
これはエヴェネプールにとってツール通算4勝目、うちタイムトライアルでは3勝目。前日の第15ステージに続く2連勝であり、最終週に入ったポガチャルから初めてまとまったタイムを奪った一戦でもあります。
ステージ上位3名
1位 レムコ・エヴェネプール(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)32分19秒
2位 タデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ-XRG)+28秒
3位 マティアス・スケルモース(リドル・トレック)+1分04秒
レースハイライトと注目ポイント
■ リポヴィッツ、まさかの落車リタイア
この日最大の衝撃は、総合5位につけていたフロリアン・リポヴィッツ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ/ドイツ)の落車リタイアでした。下りのコーナーでラインを外して転倒し、肩から激しく落車。数分間路上に横たわったのち担架で搬送され、大会を去りました。第15ステージでヨナス・ヴィンゲゴーが落車リタイアしたのに続く、総合上位選手の連日離脱です。エヴェネプールにとっては最終山岳での貴重なアシストを失う痛手となりました。
■ ポガチャルもヒヤリ
同じコーナーではポガチャルも後輪を滑らせる場面がありましたが、体勢を立て直して転倒は回避。マイヨジョーヌを守りきりました。
■ アレンスマン、スタート遅刻の珍事
ティメン・アレンスマン(ネットカンパニー・イネオス)はスタート台への到着が遅れ、定刻から約13秒遅れて発進。それでも当時トップだったマッティア・カッタネオに5秒差まで迫る走りを見せ、遅刻がなければ上位に食い込んでいた計算になります。
■ 序盤の暫定トップ争い
早い時間帯ではジョシュア・ターリングをブリュノ・アルミライユが上回り、さらにマッティア・カッタネオが34分01秒でホットシートを奪取。そこへ総合勢が到着し、スケルモースがカッタネオを38秒上回って一気に基準タイムを引き上げました。
■ 総合表彰台争いが再編
イサク・デルトロが総合3位を守った一方、パウル・セイシャスとの差はわずか20秒。リポヴィッツの離脱でフアン・アユソが5位、スケルモースが6位に繰り上がり、最終週のアルプス3連戦へ向けて表彰台争いは完全に混沌としています。
各賞ジャージの状況
| ジャージ | 着用者 | 状況 |
| マイヨジョーヌ(総合) | タデイ・ポガチャル | 2位と4分32秒差で防衛 |
| マイヨアポワ(山岳) | タデイ・ポガチャル | 70ポイントで首位維持 |
| マイヨヴェール(ポイント) | マッズ・ピーダスン | 417ポイントで31差首位 |
| マイヨブラン(新人) | イサク・デルトロ | 2位と20秒差に急接近 |
| 敢闘賞 | 選出なし | 個人タイムトライアルのため対象外 |
※敢闘賞は集団走行のステージで選出される賞のため、個人タイムトライアルの日は選出されません。
個人総合 上位10名
| 順位 | 選手 | チーム | タイム差 |
| 1 | タデイ・ポガチャル | UAEチーム・エミレーツ-XRG | 56時間14分18秒 |
| 2 | レムコ・エヴェネプール | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +4分32秒 |
| 3 | イサク・デルトロ | UAEチーム・エミレーツ-XRG | +6分51秒 |
| 4 | パウル・セイシャス | デカトロン・シーエムエー・シージーエム | +7分11秒 |
| 5 | フアン・アユソ | リドル・トレック | +9分22秒 |
| 6 | マティアス・スケルモース | リドル・トレック | +10分14秒 |
| 7 | レニー・マルティネス | バーレーン・ヴィクトリアス | +12分50秒 |
| 8 | トム・ピドコック | ピナレロ Q36.5 | +12分58秒 |
| 9 | ジョルダン・ジェガ | トタルエナジー | +22分50秒 |
| 10 | ヤニス・ヴォワザール | チューダー | +24分18秒 |
※9位・10位の順序は集計元によって表記が分かれています。確定順位はJ SPORTS公式および大会公式リザルトをご確認ください。
チーム総合 上位5チーム
| 順位 | チーム | タイム差 |
| 1 | リドル・トレック | 168時間59分28秒 |
| 2 | UAEチーム・エミレーツ-XRG | +23秒 |
| 3 | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +46分13秒 |
| 4 | ヴィスマ・リースアバイク | +1時間24分14秒 |
| 5 | デカトロン・シーエムエー・シージーエム | +1時間36分56秒 |
山岳・ポイント・新人 各上位3名
山岳賞(マイヨアポワ)
| 順位 | 選手 | チーム | ポイント |
| 1 | タデイ・ポガチャル | UAEチーム・エミレーツ-XRG | 70 |
| 2 | ヴァランタン・パレペントル | スーダル・クイックステップ | 45 |
| 3 | リチャル・カラパス | EFエデュケーション・イージーポスト | 39 |
ポイント賞(マイヨヴェール)
| 順位 | 選手 | チーム | ポイント |
| 1 | マッズ・ピーダスン | リドル・トレック | 417 |
| 2 | ヤスパー・フィリプセン | アルペシン・プレミアテック | 386 |
| 3 | ビニヤム・ギルマイ | NSNサイクリング | 361 |
新人賞(マイヨブラン)
| 順位 | 選手 | チーム | タイム差 |
| 1 | イサク・デルトロ | UAEチーム・エミレーツ-XRG | 56時間21分09秒 |
| 2 | パウル・セイシャス | デカトロン・シーエムエー・シージーエム | +20秒 |
| 3 | フアン・アユソ | リドル・トレック | +2分31秒 |
第17ステージ コース紹介
第17ステージはシャンベリーからヴォワロンまでの174.7km。数字だけ見ればスプリンター向けの一日ですが、そう単純ではありません。スタートから最初の50kmで約900mを登る構成になっており、3つのカテゴリー山岳が待ち構えています。
主要な登坂はコル・デ・プレ(3.5km/平均約7%)。最終週に入り、逃げ(ブレイクアウェイ)に乗りたい選手が急増しているため、序盤の逃げ争いは激しくなる見込みです。強力なメンバーが先行した場合、メイン集団が捕まえきれない展開も十分に考えられます。
フィナーレも一筋縄ではいきません。残り3kmあたりで終わる2.5km/平均4%の登りがあり、その後もフィニッシュまでわずかに上り基調が続きます。純粋な集団スプリントというより、登りを耐えられるパンチャー型のスプリンターに向いた終盤です。マッズ・ピーダスン擁するリドル・トレックは逃げに乗せる戦略、対するアルペシンやNSNサイクリングはスプリント勝負に持ち込みたい、という綱引きが見どころになります。
■ 第17ステージ 概要
・区間:シャンベリー 〜 ヴォワロン
・距離:174.7km
・カテゴリー:平坦〜丘陵(序盤に3つの山岳)
・注目:コル・デ・プレ(3.5km/平均約7%)、残り3km地点で終わる約2.5km/4%の登り
・開催日:2026年7月22日(現地)


J SPORTS 放送予定
日本国内での中継はJ SPORTSおよびJ SPORTSオンデマンドが担当しています。第17ステージ以降の予定は以下の通りです(すべて日本時間)。
| ステージ | 放送日時(日本時間) | 区間 |
| 第17ステージ | 7月22日(水)午後9:00 〜 深夜1:30 | シャンベリー 〜 ヴォワロン(174.7km) |
| 第18ステージ | 7月23日(木)午後9:00 〜 深夜1:30 | ヴォワロン 〜 オルシエール・メルレット(185.2km) |
| 第19ステージ | 7月24日(金)午後8:50 〜 深夜1:30 | ギャップ 〜 アルプ・デュエズ(127.9km) |
| 第20ステージ | 7月25日(土)午後8:00 〜 深夜2:00 | ル・ブール・ドワザン 〜 アルプ・デュエズ(170.9km) |
第17ステージの実況はサッシャ氏、解説は入部正太朗氏、ゲストに元嶋佑弥氏。現地実況・解説番組はJ SPORTSオンデマンド限定で午後8:05から配信されます。またダイジェスト番組「60分 de ツール」は翌7月23日(木)午後2:30から放送予定です。
※放送時間は変更される場合があります。最新情報はJ SPORTS公式サイトの番組表をご確認ください。
まとめ
エヴェネプールが2連勝を飾り、ポガチャルとの差を4分32秒まで縮めました。とはいえ、残り5ステージで4分半を逆転するのは容易ではありません。むしろ注目すべきは、リポヴィッツ離脱によって混沌とした3位以下の争いです。デルトロとセイシャスの差はわずか20秒、アユソ、スケルモースも射程圏内にいます。
この先には第19・第20ステージのアルプ・デュエズ2連戦が控えており、特に第20ステージは獲得標高5600mのクイーンステージ。表彰台の顔ぶれは、まだ誰にも分かりません。
【出典】本記事の順位・タイムはProCyclingStats、Cyclingnews、CyclingUpToDate等の国際メディア報道、放送予定はJ SPORTS公式サイトに基づきます。最終的な確定順位は大会公式リザルトをご確認ください。