2026年5月8日、米国防総省は「かつて公開されたことのない」UFO関連ファイル161件を一斉公開した。トランプ大統領が2月に指示した「PURSUE(大統領機密解除・UAP記録報告システム)」計画の第1弾だ。しかし期待に反し、地球外生命体の存在を「決定的に証明する」資料は含まれていなかった。「真実を国民が自分で判断せよ」——トランプの言葉とは裏腹に、謎は謎のままである。
PURSUE計画とは何か——161件の機密解除の全容
今回の公開は「Presidential Unsealing and Reporting System for UAP Encounters(PURSUE)」という新設ポータルサイト(war.gov/UFO)を通じて行われた。国防総省(現・Department of War)、FBI、NASA、国務省など複数の機関から集められた資料で構成される。
| 機関 | 件数 | 主な内容 |
| 国防総省(Pentagon) | 82件 | 軍事センサー映像、赤外線動画、目撃報告書 |
| FBI | 56件 | 民間目撃報告、尋問記録、西部米国の発光体写真24枚 |
| NASA | 12件 | アポロ11・12・17号の乗組員報告書、月面写真 |
| 国務省 / その他 | 11件 | 外交公電、海外事例報告 |
| 合計 | 161件 | PDF120点、動画28本、画像14枚 |
資料の時代幅は1940年代から2026年にまで及ぶ。公開は「ローリングリリース(順次公開)」方式で、今後数週間ごとに追加公開が予定されている。
公開ファイルの衝撃的な中身——月面の謎から90度旋回まで
今回の公開で最も注目を集めたのはNASAのアポロ計画関連資料だ。
🌕 アポロ計画の宇宙飛行士たちが目撃した未確認現象
- アポロ11号(1969年):バズ・オルドリン飛行士が月軌道上で「かなりの大きさ」の物体を目撃。「レーザーの可能性がある」と報告した「非常に明るい光源」を確認。
- アポロ12号(1969年):月面着陸地点から撮影された写真に、月の地平線付近に複数の未確認物体が写り込む。今回5枚が初公開。
- アポロ17号(1972年):月の空に三角形の陣形を組む3つの光点が写った写真を公開。NASAは「この異常性の正体について合意は得られていない」と注記した。
現代の事例も含まれている。2023年にギリシャ上空で撮影された赤外線動画では、時速約130kmで飛行しながら速度を落とさず「90度旋回」を繰り返す物体が記録されている。2023年には複数のFBI捜査官チームが独立して、内部から小さな赤い球体を放出する「オレンジ色のオーブ」を目撃した記録も含まれている。さらに米インド太平洋軍は2024年、日本近海でフットボール型の未確認物体を赤外線センサーで9秒間追跡したと報告している。
アメリカ合衆国政府の公式ウェブサイト UFO
U.S. DepartmentofWar
トランプ大統領の「約束」と現実の落差
トランプ大統領は2026年2月19日、自身のSNS「Truth Social」に以下のように投稿した。
「示された莫大な関心に基づき、私は戦争長官および他の関係部署や機関に対し、異星人および地球外生命に関する政府のファイルを特定し公開するプロセスを開始するよう指示する」
— ドナルド・トランプ、Truth Social、2026年2月19日
公開当日もトランプはTruth Socialで「(過去の政権が透明性を欠いていたのに対し)国民が自ら判断せよ。楽しめ!」と投稿した。国家情報長官トゥルシー・ギャバードも「最大限の透明性を確保するため、インテリジェンス・コミュニティの機密解除作業を積極的に調整している」と声明を出した。
しかし専門家たちは冷静だ。UAP動画の多くは「軍事技術に不慣れな者が誤解・誇張しやすい」と指摘されている。AARO(全領域異常解決オフィス)は今回も「地球外生命体の技術や存在を裏付ける明確な証拠は確認されていない」という公式見解を崩していない。多くの文書は依然として大部分が黒塗り(リダクション)されたままだ。
米国主要メディア・関係者のコメント
| 人物・媒体 | コメント・論評 |
| トランプ大統領 | 「国民が自分で判断せよ。楽しめ(Have Fun and Enjoy)!」と投稿。公開を政治的な透明性アピールに活用。 |
| ギャバード国家情報長官 | 「今日の公開は継続的な機密解除作業の第一歩」と評価。「国民は長らく政府の知識への透明性を求めてきた」と強調。 |
| CNN | 「数十年にわたる目撃調査が含まれているが、地球外生命体の証拠はない」と冷静に報道。 |
| CBS News / NBC | アポロ写真の具体的内容を詳報しつつ、「専門家はUAP動画が誤解されやすいと警告している」と付記。 |
| Scientific American | 各画像を詳細分析。「多くは赤外線センサーデータ不足により未解明のまま。未解明≠宇宙人」とする科学的立場を堅持。 |
| バラク・オバマ元大統領 | 「宇宙に生命が存在する可能性はある」と発言後、「在任中に宇宙人の証拠は見ていない」と釈明。 |
日本政府の見解と防衛省のUAP対応
今回公開されたファイルには、日本近海が目撃地点として複数含まれていた。2024年には米インド太平洋軍が日本近海でフットボール型UAPを追跡した映像も公開されている。では、日本政府はこの問題をどう扱っているのか。
🇯🇵 日本政府・防衛省の公式スタンス
2020年以降の動き:防衛省は「自衛隊パイロットが不明な飛行物体を目撃した場合の報告ガイドライン」を策定した。ただしアメリカのような年次報告書の公開制度は存在せず、情報は非公表のままだ。
国会での議論:UAP対策について国会質疑が行われており、政府の問題意識は高まりつつあると言われている。しかし公式に集計・公表された事例は現時点では存在しない。
公式見解:「地球外起源の証拠はない」という立場を維持している。一部の未解明ケースの存在は認めているが、「宇宙人の技術である」という結論には至っていない。米国と情報共有はしているが、独自の公開計画は発表されていない。
日本では目撃報告は存在するものの、公式に集計・公開されていない。今後、日米同盟の枠組みの中で、日本側がどこまで情報公開に踏み込むかが問われることになる。自衛隊が実際に何を目撃し、どのように対処しているのか——国民には知る権利があるはずだ。
「宇宙人の証拠」はあるのか——専門家の冷静な評価
今回のPURSUEファイルをめぐり、専門家や研究者の反応は概して冷静だ。以下の点が繰り返し指摘されている。
| 論点 | 内容 |
| 未解明≠宇宙人 | 説明できないケースの多くは、センサーデータの不足・誤作動、気象現象、未公開の軍事技術が原因とみられる。 |
| 黒塗りの多さ | 「機密解除」とは名ばかりで、重要部分が黒塗りのまま公開された文書も多い。完全な透明性とは言い難い状況だ。 |
| AAROの公式見解 | 全領域異常解決オフィス(AARO)は「地球外技術であるという明らかな証拠は見つかっていない」という立場を変えていない。 |
| アポロ写真の既出性 | 月面写真の多くはすでに数十年前から公知の事実であり、「新証拠」とは言えないとする専門家も多い。 |
| 政治的文脈 | 「UFO開示」は支持基盤へのアピールとしての側面も強く、エプスタインファイル公開と同様の「透明性パフォーマンス」との見方もある。 |
まとめ——「Have Fun」の裏にある問いかけ
今回のPURSUEによるUFOファイル公開は、確かに史上最大規模の政府主導による機密解除だ。しかし「宇宙人の証拠」という意味では、期待をはるかに下回るものだった。月面写真、赤外線動画、FBI報告書——いずれも「謎が深まる」資料ではあるが、決定的な証拠ではない。
トランプが「楽しめ」と言う一方で、本当に重要な問いは残り続ける。日本近海で目撃された未確認物体は何なのか。自衛隊は何を知っているのか。そして日本政府はいつまで沈黙を続けるのか。
PURSUE計画の第2弾、第3弾が公開される中で、何かが明らかになる日は来るのだろうか。それとも「黒塗り」は永遠に続くのか——引き続き注視が必要だ。
U.S. News & World Report (2026.5.8) / NBC News / CNN / CBS News / Fox News / Fortune / Scientific American / Al Jazeera / EarthSky / 日本経済新聞 / 大紀元(エポックタイムズ日本語版)公式ポータル:war.gov/UFO