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私小説

【新宿の恋】第11話「体験・・・」~軽井沢のペンション、満天の星空に揺れる二十歳の夏~

2026年7月3日

父の死をきっかけに新宿のバーで働きはじめた僕は、この数ヶ月で別人のように変わってしまった。夏休み、友人のユウスケ、同じクラスのミキとナツコと連れ立って訪れた軽井沢。満天の星空の下、ナツコが握ってきた手の温もりと、初めてのキス。胸の奥でレイコの面影が揺れる、ほろ苦くも忘れがたい一夜が幕を開ける――。

連載小説「新宿の恋」第11話「体験・・・」、どうぞ最後までお楽しみください。

この物語は、自分が20歳のとき、父親の死によって学費を捻出するために新宿のバーでバイトしたときから始まります。
バーで出会った謎の女性レイコをきっかけに多くの女性と関わるようになることで大人へと成長するというお話です。

実際にあった出来事に多少の演出とエロチックな要素を加味したもので、半分ドキュメンタリー、半分フィクションの奇妙な物語となっています。

最後まで読んでいただけたら幸いです。

これまでのお話

新宿のバーでバイトをはじめた自分(神原タツヤ)は、バーで出会ったレイコという年上の女性と初めての体験を経験。彼女の手ほどきで女性に対しての自信を付けた頃、サトミというペンフレンドと出会い、バイト先のマスターから頼まれてヨウコと関係を持つ。その後、同じ教室のリョウコと悲しくも狂おしい一夜を共にする。

夏休みに入って、友人のユウスケ、同じクラスのミキ、そしてナツコの4人で軽井沢に遊びに行く。

怪しい雰囲気

ナツコのファーストキスを奪い、少し気まずい時間が流れる。

「部屋に戻ろうか」

「うん」

とナツコは自分の手を握り、満天の星空の下、ペンションの明かりを目指して歩く。

ミキとナツコの部屋で、ナツコがドアをノックする。

しばらく待っても返事がない。

部屋の中は「シーン」と物音もしない。

「あれ? いないのかな?」

と言ってナツコが鍵を取り出すと、ガチャリとドアが少しだけ開いて、スキマからミキが顔を出す。

「ええっと 少し 待ってね」

と言ってミキが再びドアを閉める。

5分ぐらい待つとドアが再び開き、気まずい感じでミキとユウスケが出てきた。

私は、二人が中で何をしていたのかを察したが、ナツコは、事態が飲み込めていないようだ。

沈黙に耐えられず、

「なんで ユウスケがここにいるんだよ」

とわざとらしく声をかける。

「俺が具合が悪いので、ミキさんが・・・」

やっとナツコもここで察したらしい。

「カンバラくんの部屋に行こう」

と私の手を引いて隣の部屋に入る。

部屋に入るとナツコが抱きついてきた。

「おい どうした」

「あの二人 してたのね」

と顔を赤くして小さな声で耳元で囁く。

「ああ たぶん」

と言う間もなく、ナツコが唇を押しつけてきた。

やっぱりね 慣れていると思った

とっさに受け止めながら、ナツコの背中に腕をまわし抱き寄せる。

ナツコは、ただ唇を押しつけてくるので、柔らかく受け止めながらキスをリードしてゆく。

ナツコの背中にまわした右手で腰から上に向かってゆっくりとなで上げると、腕の中で身をよじりながらしがみついてきた。

合わせた唇の間に舌を滑り込ませると、ナツコが目を丸くして唇を離そうとあらがうが、それを許さず少しずつ舌で刺激すると、「ヌルッ」という感じでナツコの口内に舌が侵入する。

少し身体を固くしたナツコだが、やがてオドオドと舌で応じてくる。

『このまま 最後までするのだろうか?』

頭の中で、次の行為をシミュレーションしていると、背中に回した手を外して、ナツコが離れる。

「恥ずかしい」

とナツコが囁く。

「そんなことはないよ 大丈夫」

ナツコは、部屋のベッドに座ると、顔を赤くして黙っている。

「ちょっと 強引だった?」

「あの二人のこと考えたら なんか モヤモヤして」

「そうだね 想像したらHな気分になるよな」

「カンバラくんは、経験あるの?」

年上の女性と毎週のようにしてる・・・ なんて言えるわけもなく、

「少しだけ」

とぼそっと答えると、

「やっぱりね 慣れていると思った」

と笑うナツコ。

その笑顔で微妙な空気が和らぎ、私の男の部分も落ち着きを取り戻す。

「なんか 飲もうか ナツコは飲める? ビールがあるけど」

「ううん 飲んじゃおうかな」

冷蔵庫からビールを取り出し、乾杯する。

「セックスって どんな感じなのかな?」

少し酔っているのか、ナツコが少しずつ大胆になってくる。

「男からすると 一瞬だけの快感なんだけど 女の人は、半端なく気持ちがいいみたいよ」

「こら タツヤ 結構 やってるな」

とゲラゲラ笑うナツコ。

「どう 俺としてみる」

「ううんとね さっきまで そうなってもいいかな と想ったんだけど カンバラくんは、他の女の人をみているから やめとく」

『他の女の人をみている』という言葉に、一瞬「レイコ」の顔が浮かんだ。

少し黙っていると、

「ほら 図星だ・・・」

と顔をのぞき込む。

何も言えないまま、思わずナツコにキスをしてベッドに押し倒してしまった。

「こら ダメだって」

と言いながら、キスを受け入れるナツコ。

舌を絡めあいながらお互いの身体をまさぐるようになで回していると、

「コンコン」

とドアがノックされる。

無視しようとしたけど、ナツコが、

「はぁい」

と返事をして私の身体の下から抜けだしてドアを開けると、ユウスケとミキが入ってきた。

「お邪魔だったかな」

とユウスケ。

「お前と違うわ」

と言って二人を迎え入れる。

「4人で飲もうと思ってさ」

その後は、バカな話をしながらビールを飲み倒し、いいかげんできあがって、ミキとナツコは部屋に戻っていった。

「なぁ ナツコとやったのか」

とユウスケがまじめな顔で聞いてきた。

「良い雰囲気だったけど ナツコに怒られたよ 他の女の人見てるって」

「だからできないってさ」

「ふううん そうなんだ ミキが言ってたけど お前 新宿でバイトはじめてから 一気に大人の男っぽくなったらしいぞ」

女性はよくみている。

たしかにここ数ヶ月で、自分でも信じられないほど世界が変わってしまった。

新宿のバイトで多くの大人達と接することと、レイコの出現で、男としての自信をもちはじめていた。

「それより お前は、どうなんだ ミキを大事にしろよ するときは、あれを忘れるなよ」

「おう 大事にするさ」

たわいない男同士の会話が続く。

何事もなかった

翌朝、食堂に向かうと、ミキとナツコが先に来ていた。

「遅いぞ 男ども」

昨夜のことなど忘れたかのように、ケラケラと笑うナツコ。

『女って よくわからないな・・・』

と想う私だった。

次回

【新宿の恋】第12話「嫉妬」

  • この記事を書いた人

はぼぞう

旅と砂漠と写真と女性を愛する60歳ちょっと過ぎたの「元金融系システム屋」です。 現在は、社内SEのアルバイト件システム構築やってます。 シンガー 森口博子とアーティスト 中村中の大ファン

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