「使い捨てプラスチックを減らします」という宣言の下、マクドナルドが紙ストローを全国導入。
しかし、ドリンクの蓋には相変わらずプラスチックを使用し、ネットでは「紙ストローだけ変えても意味ない」「ただコスト削減のためでは?」という声があがっています。
しかもこのファストフード王者には、環境対応の裏で“添加物・衛生問題”という健康面での批判も君臨
環境アピールと実態のギャップ、そして深まる消費者の疑問――今回はこの矛盾に迫ります。
目次
紙ストロー導入、その目的とユーザーの反応
マクドナルドは日本で2022年10月7日から全国約2,900店舗でプラスチック製のストローやスプーン・フォーク・ナイフ類を“紙&木製”のものへ切り替えると発表しました。
これにより年間約900トンのプラスチック削減を目指すとされていました。
Time Out Worldwide
一方、欧米でも例えば英国・アイルランドで紙ストローへの切り替えが2018年に行われており、当時マクドナルド自身もその動きを「プラスチック使用低減の一環」と説明しています。
ザ・ガーディアン+1
しかしネット上では、紙ストロー導入に対する不満の声も目立っています。たとえば、ニューヨークポストの記事では、紙ストローが「ミルクシェイクに使えない」「ドリンクの味が変わった」といったユーザーの苦情が報じられています。
ニューヨーク・ポスト+1
また、リディットでは次のような投稿もあります:
“It’s absolutely not just you… the paper straw actually causes sodas to fizz in the straw and becomes less carbonated by the time it gets to your mouth.” reddit.com
このように「紙ストローになったけどプラスチック蓋はそのまま」「味や使いやすさに影響が出た」というユーザー体験が、企業の“環境対応”に対する信頼を揺るがしています。
蓋や容器にプラスチック依存――環境対応としての矛盾
さらに指摘されるのは、紙ストローへの切り替えだけでは“根本的なプラスチック使用削減”になっていないという点です。
たとえば、米国ではマクドナルドがストローを紙に替える一方で、蓋の素材を見直しつつも依然としてプラスチック素材を使用しており、2023年には“ストロー無し蓋(プラスチックを減らすため)”をテストする動きもありました。
Business Insider+1
また、WIREDの記事では「紙ストローは素材として“リサイクル可能”であっても、現行の廃棄・リサイクルインフラでは回収・再利用が困難」という実態も報じられており、結果として「紙に切り替えたけれど一般廃棄ごみに回された」という事例もあります。
WIRED
つまり、環境宣言としては前進しているように見えても、「プラスチック削減の全体像」から見ると部分対応にとどまっており、顧客や消費者が感じる“実感”としては乖離が生じているのです。
添加物・衛生問題とも重なるファストフードの信頼課題
環境対応の話題だけでなく、マクドナルドは食品の中身にも過去から批判にさらされてきました。
例えば、The Independentはマクドナルドの英国店舗においてバーガー1つあたり平均7種以上の添加物(E-ナンバー)が使用されていると報じ、「子どもの行動や健康に影響を及ぼしうる」とする見解を掲載しています。
The Independent
その一方で、フォーブスは2018年、マクドナルドが米国で定番バーガー7種から人工保存料・人工香料・人工着色料を除く方針を発表したと報じています。
フォーブス
近年でも、2024年12月5日にはマクドナルドUSAが「食の安全・衛生が最優先」とし、米国保健機関による大腸菌(E. coli)発生の調査が終了したとの声明を出しています。
corporate.mcdonalds.com
これらの報道は、マクドナルドが表向きは「健康・環境対応」を打ち出しているものの、実際には「部分的な改善」「宣言先行」との印象を生む材料ともなっています。
企業方針が“見える化”される時代に
こうした状況を受け、消費者・ネットユーザーの反応には次のような声が多く見られます:
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「紙ストローに替えたけど、ドリンクの蓋もストロー使用の構造も変わっていない。意味あるの?」
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「味が劣化した/ストローがすぐふやける」
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「添加物の話が出ている企業が、環境だけ強調しても説得力がない」
これらは、環境・健康・信頼が複合的に問われる時代において、企業が“持続可能宣言”を行う際のハードルが上がっていることを示しています。
今後マクドナルドが取るべき対応
マクドナルドに求められるのは、表面的な「素材切り替え」だけでなく以下のような全体設計です。
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ドリンクのストロー・蓋・カップ・容器まで一貫した低プラスチック・低廃棄設計を示すこと。
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切り替えによる“味の変化”“使い勝手の低下”など消費者体験に対してフォロー・改善を行うこと。
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添加物や衛生に関しては、過去の批判を受けた後でも「改善済み」とするだけでなく透明な情報開示と第三者検証を伴うこと。
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環境/健康両面を統合した“社会責任ロジック”を持ち、消費者に分かりやすいストーリーを伝えること。
企業が持続可能性を語る時代、単なる“紙に替えました”では済まされない。マクドナルドの今回の事例は、環境対応・健康対応が“総合的・実証的・体験的”でなければ消費者の信頼を勝ち得ないことを示しています。
参考リンク集
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McDonald’s lame ‘sustainable’ straws won’t save the planet — New York Post ニューヨーク・ポスト
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McDonald’s new sustainable straws ruining drinks, customers complain — New York Post ニューヨーク・ポスト
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McDonald’s Japan to replace plastics with paper straws & wooden cutlery — Time Out Tokyo Time Out Worldwide
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Recycling challenges for McDonald’s paper straws — Food Packaging Forum Food Packaging Forum
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McDonald’s Tests Strawless Lids Not Paper Straws in the US — Business Insider Business Insider
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On the menu at McDonald’s: 78 additives (some may be harmful) — The Independent The Independent
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McDonald’s removes artificial ingredients from hamburgers — Food Dive フードダイブ