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私小説

【新宿の恋】第2話 「年上の女」── 高級住宅街の邸宅、謎の令嬢、そして黄色いRENAULT

2026年3月5日

新宿の恋 第2話「年上の女」

1982年──携帯電話もGoogleマップもない時代。

父親の死をきっかけに新宿のバーで働き始めた20歳の大学生・神原タツヤの前に、一人の女が現れた。

毎週土曜の深夜、ふらりと店に現れ、午前3時になると格闘家のような大男に連れられて消えていく謎の常連客──レイコ。


ある土曜の夜、マスターから一枚のメモを渡された。

住所と時間だけが書かれていた。

〇〇町〇番地 鳴海宅 午後2時

まだ地図を頼りに走るしかない時代だった。俺は本屋で地図を買い、指定された高級住宅街へと向かった。

木々が鬱蒼と生い茂り、道路から家すら見えない屋敷が立ち並ぶ一角。 「鳴海」の表札を見つけたとき、俺は息を飲んだ。高い壁と鉄の門。まるで外界を拒むような威圧感だった。

恐る恐るブザーを押すと、頑丈な扉が開き、見覚えのある男が立っていた。 毎週レイコさんを迎えに来る、あの格闘家のような男だ。

「お嬢様がお待ちです」

男の後をついて森のような敷地を進むと、レンガ造りの大きな邸宅が現れた。

吹き抜けの広々とした部屋で待っていると、ドアが静かに開いた。

「レイコさん……」

そこに立っていたのは、バーで見慣れたレイコさんだった。

しかし、雰囲気がまるで違っていた。

バーではTシャツにジーンズというラフな格好が多かった彼女が、今は真っ白なワンピースに身を包み、優雅に微笑んでいる。かすかに香る上品な香水が、俺の鼻腔をくすぐった。細身の身体のラインが、薄い布地を通して柔らかく浮かび上がっている。

「よく来たわね、神原さん。お待ちしておりました」

挨拶もそこそこに、彼女は俺の目を見つめて言った。

「早速だけど……あなた、運転できる?」

「はい、大丈夫です」

「じゃあ、ついてきて」

レイコさんは俺をガレージへ連れて行った。

そこには黒塗りのベンツが2台。 その奥に、鮮やかな黄色いハッチバックが鎮座していた。

「左ハンドルだけど、平気?」

「たぶん……大丈夫だと思います」

キーを受け取り、運転席に座る。助手席にレイコさんが滑り込むと、彼女の太ももがワンピースから覗き、甘い香りが車内に広がった。

「これ、スポーツカーですか?」

「そう。かなり速いから、気をつけてね」

レイコさんは少女のように微笑んだ。その笑顔が、どこか淫靡に映った。

黄色いRENAULTは、ラリーカーを日常仕様にしたようなモデルだった。キーを捻ると、爆音とともに強烈な振動がハンドルに伝わってくる。200馬力近いターボエンジンの鼓動が、俺の胸を高鳴らせた。

「サエキくん、門を開けて」

ボディガードの男が無言で従う。

俺は慎重にクラッチを繋ぎ、住宅街をゆっくりと抜けた。

「ここは静かにね」

レイコさんの声が耳元で甘く響く。

広い道に出た瞬間、彼女が小さく笑った。

「いいわよ、トバして」

アクセルを踏み込んだ。

瞬間、RENAULTは獣のように跳ね上がった。 ターボが一気にブーストし、背中をシートに押しつけるような加速。軽い車体と強烈なトルクが、俺を興奮の渦に飲み込む。ハンドルは敏感に反応し、風を切り裂くような疾走感が全身を駆け巡った。

レイコさんは助手席で髪をなびかせ、楽しげに笑っている。 白いワンピースの裾が少し捲れ、滑らかな太ももが露わになっていた。彼女は俺の横顔をじっと見つめながら、艶やかな声で囁いた。

「品川に向かって」

カーラジオもない車内で、響くのはエンジンの咆哮と、俺たちの荒い息遣いだけだった。

この危険で甘いドライブが、俺とレイコさんの関係を、決定的に変えることになるとは、まだ知る由もなかった。


次回予告 レイコと品川の高級ホテルで二人きり。 童貞の俺は、ここで年上の女にすべてを捧げてしまうのか――。

次章 第3話 「20歳の大学生が年上の女性に導かれた夜」

お楽しみに……

  • この記事を書いた人

はぼぞう

旅と砂漠と写真と女性を愛する60歳ちょっと過ぎたの「元金融系システム屋」です。 現在は、社内SEのアルバイト件システム構築やってます。 シンガー 森口博子とアーティスト 中村中の大ファン

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