ティム・メルリール(スーダル・クイックステップ)が2日連続でステージを制覇。第8ステージは、ペリグーからベルジュラックまでの平坦180.4km。逃げのリアム・スロックが残り1.3kmまで粘るドラマの末、最後はメルリールが後方から弾丸のように差し込み、ヤスパー・フィリプセンらを完璧に退けました。マイヨ・ジョーヌ(総合首位)のタデイ・ポガチャルは今日も盤石。第8ステージの全結果と、猛暑で30km短縮された第9ステージの見どころをまとめてお届けします。
コース紹介|ペリグー → ベルジュラック(180.4km・平坦)
第8ステージは、ワイン産地として名高いドルドーニュ地方を舞台にした平坦ステージ(フラットステージ)。前日のボルドー(第7ステージ)に続く、2日連続のスプリンター(短距離型の選手)向けレイアウトです。距離は180.4km、獲得標高は1,150m。数字の上では平坦ですが、道中には2つの小さな上りが設定され、逃げ(ブレイクアウェイ)にとっては絶好の「見せ場」となりました。
- 残り約78km地点:コート・ド・ドンム(4級・3.7km/平均3.3%)
- 終盤:コート・デュ・ビュイソン=ド=カドゥアン(2.2km/平均5.6%)
この日も気温は38℃前後まで上昇。選手たちはアイスベスト(冷却ベスト)などで暑さ対策をしながらのレースとなりました。フィニッシュのベルジュラックは、平坦かつスプリント向きの直線が用意され、大集団スプリント(バンチスプリント)が濃厚と見られていました。

優勝者|ティム・メルリール(スーダル・クイックステップ)
勝ったのは、前日に続いてティム・メルリール。しかし、その勝ち方は「圧巻」の一言でした。最終コーナーを12〜13番手で通過し、自らのリードアウト(発射役の先導トレイン)は既に消滅。目の前ではマチュー・ファンデルポールがフィリプセンを完璧にアシストしている——そんな絶望的な位置から、メルリールは残り約300mで爆発的に加速。まるで銃弾のように一台ずつ抜き去り、そのままフィニッシュラインへ飛び込みました。
2位にはビニアム・ジルマイ(NSNサイクリング)が半車身差、3位はオラフ・コーイ(デカトロン CMA CGM)。完璧なアシストを受けたフィリプセンは、この日も表彰台を逃す結果に終わりました。
今大会これまでのスプリント3ステージで2勝目。スプリンターによる連勝(バック・トゥ・バック)は、2023年のヤスパー・フィリプセン以来の快挙です。プロ通算では74勝目。「今、世界で最も速い男は誰か」という問いに、メルリール自身が力強い答えを示した1日となりました。
レースハイライトと注目ポイント
スタート直後に飛び出したのは、リアム・スロック(ロット・インテルマルシェ)、ヤクブ・オトルバ(カハルラル・セグロスRGA)、ティボー・グルナレック(トタルエナジー)の3人。とりわけロット勢は、前日のヴェイストロフェールに続く積極的な逃げで、今大会屈指の「レースを動かすチーム」としての存在感を放ちました。
道中の小さな上りでは、スロックとオトルバが山岳ポイント(KOM)と中間スプリント(インターミディエイトスプリント)を巡って激しく火花を散らします。プロトン(大集団)内の中間スプリントでは、XDSアスタナが好リードアウトを見せるも、フィリプセンが後方から完璧なタイミングで抜け出し、最大ポイントを奪取。マッズ・ペーデルセンらポイント賞(グリーンジャージ)争いの主役たちを抑えました。
最後まで生き残ったのはスロック。一時は独走で1分半以上のリードを築き、単独でツールの主役を食う寸前まで迫りましたが、複数のスプリンターチームが総力を挙げて追撃。残りわずか1.3km地点で、勇敢な逃げはついに吸収されました。この走りが評価され、スロックには敢闘賞(コンバティビティ賞)が贈られています。
注目トピック:最終スプリントを巡っては、ジルマイとコーイに「威圧行為」で警告が出され、ソーレン・ヴェレンスコルがジルマイの走りに強く抗議するなど、緊張感のある一幕もありました。また、翌第9ステージが猛暑のレッドアラート(危険な暑さの最高警報)を受けて30km短縮されることも、この日発表されています。
各賞ジャージまとめ(第8ステージ終了時点)
- マイヨ・ジョーヌ(総合/GC):タデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ/XRG)。第6ステージのトゥールマレー独走以降、盤石の首位。2位ヴィンゲゴーに2分42秒差をつけたまま平穏に通過しました。
- マイヨ・ア・ポワ(山岳賞):タデイ・ポガチャル(28pt)。ピレネーでの活躍でジャージを保持しています。
- マイヨ・ヴェール(ポイント賞):マッズ・ペーデルセン(リドル・トレック/228pt)。ただし連勝のメルリールが213ptまで急接近し、争いは一気に白熱してきました。
- マイヨ・ブラン(新人賞):イサク・デル・トロ(UAEチーム・エミレーツ/XRG)。総合3位につけ、白ジャージも堅持。アユソが7秒差で追います。
- 敢闘賞(コンバティビティ):リアム・スロック(ロット・インテルマルシェ)。40kmにおよぶ単独逃げが評価されました。
レース結果一覧
総合成績(マイヨ・ジョーヌ)トップ10
| 順位 | 選手名 | チーム | タイム差 |
|---|---|---|---|
| 1 | タデイ・ポガチャル | UAEチーム・エミレーツ/XRG | 24:56:17 |
| 2 | ヨナス・ヴィンゲゴー | ヴィスマ・リースアバイク | +2:42 |
| 3 | イサク・デル・トロ | UAEチーム・エミレーツ/XRG | +3:27 |
| 4 | レムコ・エヴェネプール | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +3:30 |
| 5 | フアン・アユソ | リドル・トレック | +3:34 |
| 6 | ポール・セイシャス | デカトロン CMA CGM | +3:55 |
| 7 | フロリアン・リポヴィッツ | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +4:00 |
| 8 | レニー・マルティネス | バーレーン・ヴィクトリアス | +4:21 |
| 9 | マティアス・スケルモース | リドル・トレック | +4:57 |
| 10 | マティアス・ヴァチェク | リドル・トレック | +7:10 |
チーム総合成績 トップ5
| 順位 | チーム | タイム差 |
|---|---|---|
| 1 | リドル・トレック | — |
| 2 | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +27:01 |
| 3 | UAEチーム・エミレーツ/XRG | +27:08 |
| 4 | ※確認中 | — |
| 5 | ※確認中 | — |
※チーム総合の4〜5位は複数ソースで数値が一致していないため、公式サイト(letour.fr)での確認を推奨します。確定次第、追記・修正します。
山岳賞(マイヨ・ア・ポワ)トップ3
| 順位 | 選手名 | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | タデイ・ポガチャル | 28pt |
| 2 | ヨナス・ヴィンゲゴー | 19pt |
| 3 | レニー・マルティネス | 16pt |
ポイント賞(マイヨ・ヴェール)トップ3
| 順位 | 選手名 | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | マッズ・ペーデルセン | 228pt |
| 2 | ティム・メルリール | 213pt |
| 3 | ビニアム・ジルマイ | 203pt |
新人賞(マイヨ・ブラン)トップ3
| 順位 | 選手名 | タイム差 |
|---|---|---|
| 1 | イサク・デル・トロ | — |
| 2 | フアン・アユソ | +0:07 |
| 3 | ポール・セイシャス | +0:28 |
第9ステージ コース紹介|マルモール → ユッセル
続く第9ステージ(7月12日)は、中央山塊のコレーズ県を舞台にした丘陵ステージ。当初は185.5km・獲得標高3,300mの設定でしたが、コレーズ県に「危険な暑さ」のレッドアラートが発令されたことを受け、序盤の周回コースをカットして30km短縮(約155.5km)、スタート時刻も約1時間繰り下げられました。
「マル(痛み)+モール(死)」を思わせるマルモールを発ち、「みじめ」を連想させるユッセルを目指す——名前からして過酷なこのステージは、平坦区間がほとんどなく、細かなアップダウンが延々と続く消耗戦です。カットされても、勝負どころの4つのカテゴリー山岳は健在です。
- コート・ド・ナーヴ(3級)
- スュック・オ・メ(2級・約3.9km/平均7.7%)— 最大の難所
- コート・ド・ラ・クロワ・デュ・ペイ(3級)
- モン・ベスー(4級・フィニッシュ約24km手前)
翌7月13日(月)は今大会最初の休息日。逃げ屋(アタッカー)たちにとっては、力を出し惜しみする理由がありません。単独ステージ勝利を狙った、クラシックさながらの激しいアタック合戦が予想されます。マルモール、ユッセルともにツール・ド・フランス初登場の土地です。


放送予定(J SPORTS)
今年もツール・ド・フランス全21ステージを完全生中継するのはJ SPORTS。第3ステージ以降は、各ステージのスタートから最初の1時間をYouTube公式チャンネルで無料LIVE配信しています。以下は第9ステージ以降の主なスケジュールです(日本時間)。
| 日程 | 内容 | 放送時間 |
|---|---|---|
| 7/12(日) | 第9ステージ(J SPORTS 4/オンデマンド) | 21:00 - 翌2:00 |
| 7/12(日) | 第9ステージ【現地実況・解説版】オンデマンド限定 | 20:15 - 翌3:00 |
| 7/13(月) | 第1休息日/「60分 de ツール」14:30-15:30 | — |
| 7/14(火) | 第10ステージ | 20:00 - 翌2:30 |
| 7/15(水) | 第11ステージ | 20:35 - 翌2:40 |
※放送時間・チャンネルは変更される場合があります。最新情報はJ SPORTS公式サイトでご確認ください。
スプリンター2連戦を締めくくったのは、やはり「最速の男」メルリールでした。ここからレースは中央山塊の丘陵へ。休息日を前にした第9ステージは、逃げ切りを狙うアタッカーたちの意地がぶつかる1日になりそうです。引き続き当ブログでは、全ステージの結果と見どころをお届けします。