※本ページはプロモーションが含まれています

私小説

【新宿の恋】第8話「リョウコ」|秘密

2026年4月17日

この物語は、自分が、20歳のときの父親の死によって、はじまった、ドラマのような2年間のお話です。

実際にあった出来事に多少の演出とエロチックな要素を加味したものでフィクションはあるものの実体験した奇妙な物語です。

昭和57年、渋谷の夜。考古学教室の地味な同級生・リョウコが、雑踏の中でそっと腕を掴んできた。カラオケ、終電、戸越銀座の古びたアパート——そして朝。「恋じゃない」と涙をこぼしながらも体を重ねたリョウコが抱えていた秘密とは。神原タツヤの青春が、また一つ深みへと沈んでゆく

【新宿の恋】第8話「リョウコ」

二次会はカラオケ

一次会も終わり、二次会に移動する。

ナツコは、クラスの女子に連れられて帰宅した。

帰り際に「私、神原さんと行くからね」と叫ぶ。もう呂律が回っていない。

店の外に出ると、一度も話したことのない小柄な人が近づいてくる。

「神原さん、二次会出られますか?」

「えっと、確かサイトウさんでしたよね」

彼女の名前は、サイトウ・リョウコ。授業で呼ばれていたので記憶にあった。

しかし、地味でおとなしい学生が多い考古学教室でいつも隅に座っていることぐらいしか記憶にない。

「ユウスケが、次を決めているので自分も行くつもりだよ」

夜のバイトが中心になっているので、たまには学生らしく過ごさないといけないと思っていた。

「私も行っていいですか?」

か細い声でリョウコは話した。

「参加は自由だからね。行きましょう」

雑踏の中で消え入りそうなリョウコは、はぐれないように自分の腕を掴んできた。

「二次会参加する人は、俺についてきて」

ユウスケが幹事役で、女子5人、男子6人でカラオケ店に向かう。 カラオケ店は、1980年代から映像付きのカラオケが出始めたので、カラオケブームの走りだった。

昭和のこの時代、風営法もないので深夜近くなっても渋谷は人が多く、パルコPart3ができたあたりから若者が増えつつあった。

リョウコは、雑踏に巻き込まれないように自分の右腕をしっかり掴んでいる。

大学の講義以外は、サークルも部活もやっていない自分は、極端に知り合いが少ない。

考古学教室も参加するだけなので、ユウスケとナツコ以外とはあまり話したこともない。

リョウコについてもあまり知らないし、挨拶ぐらいしかしたことがなかった。

カラオケ店に到着。狭い部屋に7人が押し込められた。 自然に男女で身体が密着する。

自分の横にはリョウコが座り、隣にはナツコの友人のミキが座る。

リョウコのスカートから覗かせている白い太ももにドキッとする。

童貞だったらこれだけで、男のものは熱り立つだろう。 いや、漏れてしまうかもしれない。

酒とツマミを頼んで宴が始まった。

交互に歌いながら大騒ぎ。 オフコース、松山千春、ユーミン、もんた&ブラザーズ、山口百恵などなど盛り上がる。

酒が回るにつれて大胆になってくる女性陣。一方、考古学教室の男たちはおとなしい。

「神原くん、ナツコとはどこまでいったの?」

ナツコの友人のミキが話しかけてくる。

「どこまでって、何もないよ」

「ナツコの気持ちわかってるよね。きちんとしなさいよ」

お酒のせいか大胆になってくるミキ。

「ナツコに興味がないなら狙っちゃおうかな」

ミキは、真顔でこちらを見つめてくる。

「神原くんって、講義以外で見かけないから、興味持ってる子が多いよ」

「そんなにもてるようなイケメンじゃないけど」

自分は決して美男子ではなく、背も高くない。

「わかってないなあ。オンナはね、安らぎを与えてくれる男がいいんだよ」

ミキはかなり酔っているようだ。

「俺って、安らげる?」

と笑って返すと

「神原くんの匂いに惹かれるんだよね」

レイコと同じことを呟き、首筋に顔を近づけてクンクンと匂いを嗅ぐ。

隣にいるリョウコがうなずく。

酒が入るにつれて大胆になってくるカラオケボックス。

一組がいきなりキスを始めた。

「あの二人、付き合ってるんだ」

ユウスケが近くに来て囁く。

二人は、少しずつ大胆になってディープキスを始める。

一気に空気が変わった。女性たちは目が釘付けになり、男たちは股間を気にしだしている。

「あんたたち、他でやりなさいよ」

ミキの声で二人は離れる。

キスを交わしていた二人は先に帰り、5人が残された。

終電が近づく。

「そろそろお開きにしようか」

ユウスケの声で解散。気まずい雰囲気のまま渋谷の街に紛れてゆく。


リョウコ

ユウスケは、「ミキを送ってゆく」と言って渋谷の街に消えた。

自分とリョウコは、終電間近の渋谷駅に急ぐ。

切符を買って改札を通過。

リョウコは五反田方面、自分は池袋。

『深夜だから危ないよな。送って行こう』

下心がないわけではないけれど、前日にレイコとの情事の後なので、そこまで逼迫していない。

「神原さん、今日は楽しかった。ありがとう」

手を振って反対ホームに向かうリョウコ。

「送って行くよ」

と自分はリョウコの後を追った。

「電車、なくなっちゃうよ」

リョウコが心配するのをよそに、

「急がないと乗り遅れるよ」

手を繋いでホームを駆け上がる。

人が溢れそうなホームをかき分け、山手線に乗り込む。 終電近くの電車は混んでいて、汗と体臭と酒の匂いが混じっている。

ぎゅうぎゅうに混んでいる車内。

リョウコを抱きかかえるように守ると、彼女は離れないように自分の背中に手を回す。

混んでいるから仕方がないとはいえ、リョウコの胸の膨らみと髪の香りを感じて男のものが反応する。 『ヤバい。きっとバレてるな』

リョウコの顔を見ると、平静を装っているように見える。 二人は、押し出されるように五反田駅のホームに吐き出された。

「送ってくれてありがとう。もう大丈夫」

リョウコは、足元が少しふらついている。

「どのあたりに住んでるの?」 「戸越銀座」

五反田で池上線に乗り換え、2つ目の戸越銀座である。

「心配だから送らせて」

リョウコは微笑んで手を引っ張り、池上線の改札に向かう。

ガタゴトと揺れる池上線の車内。山手線ほど混んではいない。二人は手を繋いで黙っていた。 深夜の戸越銀座は、駅前の商店街を過ぎると、暗く静かな住宅街が続く。

「ここに住んでるの」

古びた二階建てのアパートだった。

「もう電車ないし、タクシーは高いし、駅前で飲んで始発待つわ」

そう言って帰ろうとすると、

「お金もったいないから泊まって行っていいよ」

リョウコはそう言うと自分の手を握り、1階の一番奥の自分の部屋の前に引っ張って行く。

リョウコは、ドアを開けて自分を部屋に招き入れた。 四畳半とキッチンの質素な部屋で、テレビとテーブル、それと大きな三面鏡しかない。化粧品の香りが強かった。

リョウコは、冷蔵庫からコーラを取り出してくる。

「喉、乾いたよね」

気まずい雰囲気が漂う。

「泊めてくれて助かった。タクシー代、結構高いし、飲み屋に行ってもこれ以上飲めないからね」

当たり障りのない会話が続く。

「泊めてくれるのは嬉しいんだけど、女性一人暮らしの部屋に入れるって大丈夫?」

ニコッと笑って、

「神原さんだから、大丈夫」

「それって、俺が襲わないって意味かな?」

「ううん。抱かれてもいいって思ったから」

リョウコは言った。

「わたしね、ヘルスで働いてるの」

考古学教室でいつも片隅で静かに勉強している彼女から想像できない告白だった。

「神原さんは、バーで働いてるから大丈夫と思って話したんだけど、引いちゃいますか?」

同じ水商売の世界で働いている自分と同じ「ニオイ」を感じているのだろう。

「驚いた?」

じっと目を見つめてくるリョウコ。

「少しね。でも人っていろいろなことを抱えて生きてるからさ。話してくれてありがとう」

「神原さんって、大人だね」

そう言ってリョウコは、唇を合わせてくる。 貪るように舌を絡めて唾液を吸い合う激しいキスである。

こうなると、もう止められない。 貪るようにキスを続けながら、お互いに服を脱がし合う。

脱いだ服は、畳の隅に投げ捨てた。 ブラジャーのホックを外すと、小ぶりな乳房が現れた。ゆっくりと周辺から、外側から中央に向かって指で刺激を続けてゆく。

「お布団、出そうか」

下着姿になったところで、リョウコが呟く。

押し入れから布団を取り出して、敷布団とシーツを敷いた。 ほとんど裸の二人で淡々と行う作業が、肉欲に支配された獣から人へと戻してゆく。

電気を消した。 闇に支配された中で、情欲の行為が再開された。

リョウコは折れそうなほど細い身体で、胸は小ぶりでモデルのようだ。 細い腕が首に絡んでくる。それを合図に、性愛の行為が再開する。

二人の汗から、雄と雌の匂いが発せられている。

生き物としての本能を呼び覚ますかのように、互いの身体を擦り合わせ、揉みしだき、舌を吸い、唾液を啜る。

残っていた布の最後の一枚を取り去り、リョウコの女の部分を探る。 愛液が溢れ出し、両太ももまで濡れている。

導かれるようにリョウコの女陰の割れ目から中指を侵入させた。 「ひっ」 と声を上げてしがみついてくる。

セックスの先生でもあるレイコから教えられたマナーや性技など、『どうでもよくなっていた』。

自分は完全に情欲に支配されている。

リョウコの中は熱く、粘液が溢れ、中指が引き込まれる。 壁の上側を探るとザラッとした部分を見つけた。 中指の第一関節を曲げて、ゆっくりと圧迫を加える。

「アァ、だめ……つらい、逝きそう」

大声で叫ぶリョウコの口を塞いだ。

『隣に聞こえる』

咄嗟の判断だった。 リョウコは、陰茎を強く握りしめる。

「欲しい。奥まで欲しい」

情欲に支配された女の瞳に、獣のような男の顔が映っていた。

「ちょっとまって。コンドームつけるから」

枕元に投げ捨てた鞄に手を伸ばした。 その手をリョウコが制する。

「大丈夫。ピル飲んでるから」

「いや、それはだめだよ」

振り払うように手を伸ばす。

「私を信じて。タツヤさんのが欲しい」

正直、ヤバいと思った。

「私を信じて。そのままのタツヤさんが欲しい」

泣きそうなリョウコの声に負けた。 愛撫していた指を引き抜き、熱り立った男根を粘液でぐちゃぐちゃになったリョウコの中に突き入れる。

「あっ、入ってくる」

膣の奥まで一気に突き入れると、亀頭が中の突起に当たるのを感じる。

陰茎が熱い膣壁に覆われ、奥へ奥へと引き込まれる。 リョウコの膣奥を十分に感じてから、一気に入り口付近まで引き抜く。

「いやぁ、抜かないで」

リョウコが苦しそうにもがき、腰を押し上げてくる。

そのタイミングで一気に貫いた。

「アッ」「逝くわ」

と低く叫んで身体を硬直させた後に、腹部から腰にかけて痙攣を繰り返した。 同時に膣壁が蠢き、強い収縮で硬直しきった陰茎を刺激してくる。

体の奥からこみ上げてくる精を放出したい欲望を、ぎりぎりで抑え込む。

リョウコは大きく息を吐いて、

「気持ちいい。逝ったかも」

と、教室の片隅で消え入りそうにしていたリョウコとは違う女性がそこにいた。

「リョウコ、気持ちいいよ」

もキスをすると、

「うれしい。でも、まだ出してないよね」

と微笑んだ。 リョウコに溺れそうだ。

リョウコは、これまで情愛を交わしてきた女性と感じ方が違う。 身体の相性というのは、こういうことなのだろうか?

「私が上になっていい?」

彼女は、一度繋がりを解いた。 リョウコの膣から解放された陰茎は、多量の分泌液でぬらぬらとしている。

仰向けになった。

「入れるね」

リョウコは、男根を掴んで自分の陰裂に導き、腰を下げる。 先程まで空気中に置かれた男根が、温かい膣内へ誘導されてゆく。

リョウコが一気に腰を落とす。

すでに濡れている膣壁を押し分けて、陰茎が奥まで飲み込まれた。

「タツヤさんが、入ってる」

見上げる彼女の乳房を掴むと、膣壁が陰茎を掴むように圧がかかる。 乳首を摘むと「ぅ」と小さく声を上げて、さらに陰茎を強く締め付けた。

陰茎を飲み込んだ膣壁の感触を楽しむかのように腰を揺らし、ゆっくりと抽送を開始する。 愛液に濡れた陰茎がいやらしい光沢を放ち、出し入れするたびにいやらしい音を発している。

「いい、気持ちいい」

リョウコは言葉にするたびに快楽に包まれているようで、腰の上下が激しくなってゆく。

二人の股間で「クチャ、クチャ」といやらしい音がしている。

リョウコは、ホットスポットを見つけたらしく、上下ではなく小刻みに前後へ揺するように動かし始める。

亀頭が膣壁のザラッとした場所を突いているのを感じると、急激に射精欲求が上昇してきた。

「リョウコ、気持ち良すぎて逝きそうだよ」 声をかけると、前に倒れてきてキスを交わす。

「いいよ。わたしの中で出して。タツヤさんが欲しい」

この言葉に反応して、熱り立ったものが破裂しそうに膨張する。

腰を振り続けるリョウコも、苦しそうに表情が変わってくる。

「私も逝きそう。一緒に」

そう言って深く腰を落とし、前後に揺する。

身体の奥から精液が駆け上るのを感じる。

「いくよ。もう我慢できない」

リョウコの腰をがっちりと掴む。

その瞬間を迎えた。

「うぅ、出るぅ」

リョウコの膣の最奥に精液が飛び出してゆく。

同時に、頭の奥で快感の渦が爆発した。 気が遠くなるような甘美の瞬間が訪れた。

『ドクッ』 『ドクッ』

精液は、数度に分けて発射。 気絶しそうな快楽に支配される。

「あっ、熱い」

絶叫するリョウコ。

弓なりに身体を仰け反らせて痙攣した。

射精された精液を押し包むように膣壁が蠢き、陰茎を掴んで離さない。

尿道に残った精液を搾り取られる快感に溺れた。

リョウコは、自分の上に倒れ込み、ぜいぜいと激しい呼吸をしている。

どのぐらい時間が経ったのだろうか?

「うれしい。タツヤさんが入ってきた」

リョウコの声で意識が戻ってきた。

「すごく気持ち良かった」

「私も死にそう」

微笑むリョウコに、これ以上ない幸福を感じていた。

「このまま、朝まで繋がっていたい」

リョウコは、顔を胸において呟く。 性器が溶け合うような感覚になっていて、自分の男根がどうなっているかわからない。

リョウコを抱きしめて、頭を撫でていた。

朝の光が射し込んでいるようで目が覚めた。 リョウコは、横に寝ている。 激しいセックスだったので、二人とも意識をなくすように寝ていたらしい。

初夏とはいえ、裸で寝ているのは少し寒い。

「おはよう」

リョウコが起き出して耳元で囁く。

昨夜の激しいセックスのときに見せた女の顔ではなく、教室の片隅で消え入りそうなリョウコに戻っていた。

酔っていたとはいえ、リョウコとの激しい行為は夢のようで、これまでにない快楽を与えてくれた。

「シャワー浴びてきたら」

浴室からリョウコがバスタオル一枚を身体に巻いて出てきた。

促されてシャワーを浴びる。

自分はリョウコと付き合うことになるのか? それとも一夜限りの関係なのか?

頭の中が整理できていない。

ただ一つだけ確実なのは、セックスの相性が良いということだ。

混乱した頭をシャワーの冷水で冷やす。 浴室から出ると、Tシャツとショートパンツのリョウコが座ってテレビを見ている。

あわてて身支度をして、隣に座る。

「お腹すいたね」

とリョウコが顔を近づけてくる。

「近くに食べるとこある?」

「よく行く中華屋さんならあるけど」

「うん、そこに行こう」

今で言うところの町中華に向かう。 睡眠時間は短いけれど、深く眠ったのでそれほど疲れてはいない。

セックスは、最高の睡眠薬——というのは本当らしい。

リョウコに連れられて中華屋に入る。

「いらっしゃい」

元気なおばちゃんという感じの声が響く。

「おばちゃん、こんにちは」

リョウコは、よくこの店に来ているようだ。

「あら、リョウコちゃん。彼氏連れてきたね」

おばちゃんの声に、

「違うよ、大学のクラスメイトだよ」


秘密

「タツヤさん、何を食べますか?」

丸いスチールのテーブルに向かい合わせに座り、油でペタペタするようなメニューを渡される。

「ええと、チャーハンとラーメンにするよ」

「おばちゃん、チャーハンとラーメン、2つずつ。ひとつは半チャーハンにしてね」

大きな声でリョウコが注文すると、 「はいよ」 おばちゃんは大きく応えた。

やがて出来上がり、二人で黙々とラーメンとチャーハンを食べて店を出る。

「タツヤさん、部屋に寄る?」 手を繋いで、リョウコが寄り添うように歩く。

「日曜はバーも休みだし、暇だからな」

リョウコの部屋に戻る途中、雑貨店の前の自動販売機でコーラを買う。 1982年当時の自動販売機は、お金を入れて瓶を引き抜くというスタイルが主流だった。

部屋に入ると、リョウコはキスを求めてきた。 舌を捻じ込み唾液を貪るようなキスで、さっき食べた中華の味がする。

唇を離すと、

「泊まってくれてありがとう。嬉しかった」

リョウコは、視線を外して、

「でも、恋じゃない」

リョウコと付き合うと思っていた自分にとって、意外な言葉だった。

「私のような汚れた女では、タツヤさんに申し訳ない」 涙を溜めて目を見つめてきた。

「私、風俗のバイトしてるから」

小さなテーブルに向かい合わせに座って、リョウコの話が続く。

「両親のお店がうまくいかなくて、授業料が払えないし、勉強はしたいんだ」

そこまで言うと、リョウコは涙をぼろぼろと畳にこぼした。

「だから、タツヤさんとは付き合えない」

何もできない無力な自分が情けない。

悔しくて、自分も泣いた。

沈黙が続く。

自分にできることは、リョウコを抱きしめることしかできなかった。

「こんな私で良かったら、時々抱いてください」

無言で唇を求め合い、服を乱暴に脱がし合う。

前戯もしないで、まっすぐにリョウコを貫いた。

狂ったように求め合い、激しくリョウコを貫いた。 激しい、獣のようなセックスだった。

リョウコは幾度かの絶頂を迎え、何度目かの絶頂で、リョウコの膣内に精液を吐き出した。 繋がったまま、沈黙の時が流れてゆく。

興奮の余韻が引いてゆく。精液と愛液にまみれた陰茎を引き抜いた。

「また、抱いてください」

とリョウコが囁く。

私は、眼から涙が溢れ出し、リョウコの顔を濡らす。

「ごめん。俺、なんと言えばいいかわからない」

20歳の男には、重すぎる現実だ。

脱ぎ散らした服を着ながら、

「誰にも言わないで」

とリョウコは言った。

「うん」 と答えると、

「秘密を打ち明けることができて、少し気が楽になった」

と微笑む。

温くなったコーラを飲んで、沈黙が続く。

「軽井沢、行くんでしょ」
リョウコが沈黙を破る。

「まだわからないけど、クルマは俺が出さないとユウスケはペーパーらしいしね」
昨夜の飲み会のことを思い出す。

「私は行けないから、楽しんできて」

少し間を置いてから、意外なことを言ってきた。

「ナツコは、タツヤさんのことが好きだから、気持ちを受け止めてあげて」

微笑んでリョウコは言った。

「えっ?」

「それはわからない。でも、今は、リョウコが好きだ……」

話が終わる前に唇を塞がれた。

『それ以上は言わないで』

という意思表示だと悟った。

夕方、リョウコの部屋を出た。

リョウコは、買い物があるからと言って、駅まで一緒に行くこととなった。

手を繋ぎ、恋人同士のように歩いているけれど、自分の心の中は複雑で混乱していた。

リョウコとの関係がどうなるか、先はわからない。

できることは、明るく振る舞うぐらいしかない。


次回予告

ユウスケとミキ、ナツコとタツヤは、軽井沢へ。

次回【新宿の恋】第9話「軽井沢」 お楽しみに

聴く読書の世界をお楽しみください

  • この記事を書いた人

はぼぞう

旅と砂漠と写真と女性を愛する60歳ちょっと前の現役ITエンジニア シンガー 森口博子とアーティスト 中村中が大好きです。

-私小説
-, ,

Copyright© インドからミルクティー , 2026 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.