2026年9月10日、ブエルタ・ア・エスパーニャ2026は第18ステージを迎えました。エル・プエルト・デ・サンタ・マリアからヘレス・デ・ラ・フロンテーラまでの32.1km個人タイムトライアル(インディヴィデュアル・タイムトライアル/ITT)という、総合争いを左右する「決戦の1日」です。ステージ優勝はステファン・キュング(トゥドール・プロサイクリング)。そして最大の焦点だった総合首位争いでは、エンリク・マス(モビスター)が渾身の走りで赤いリーダージャージ「マイヨ・ロホ(ラ・ロハ)」を堅守しました。残りは山岳3ステージ。9月13日のグラナダでのフィナーレへ、いよいよ大詰めです。
● ステージ優勝はキュング。2位トーンリーにわずか2.27秒差の大接戦を制し、TT2勝目。
● マスはロリッチに33秒失うも、総合首位を堅持。リードは約1分37秒に。
● ロリッチが2位に浮上、ガルは3位へ後退。表彰台争いが再び動いた。
コース紹介:バルコニーではなく“空力”の勝負
第18ステージは、スペイン南部アンダルシア地方を舞台にした個人タイムトライアル(ITT)。スタートは、闘牛場(プラサ・デ・トロス)の内側からランプ(発射台)を下るブエルタらしい演出で始まりました。コースは獲得標高わずか約190mのフラットレイアウトで、テクニカルなコーナーも少なく、絶対的なパワーとエアロ(空気力学)ポジションに優れた選手が有利な設定です。実際、優勝したキュングの平均時速は約54.4km/hに達しました。
| 区間 | エル・プエルト・デ・サンタ・マリア → ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ |
|---|---|
| 距離 | 32.1km(個人タイムトライアル/ITT) |
| 獲得標高 | 約190m(ほぼ平坦) |
| コース特性 | 直線的で高速。パワーとエアロ(空気力学)が物を言う純タイムトライアル向き |

ステージ優勝者:ステファン・キュング(トゥドール)
序盤スターターのイーサン・ハイターが最初の基準タイムを打ち立てると、それを塗り替えたのが2位に入る23歳のスコットランド人カラム・トーンリー(レッドブル)でした。トーンリーは前を走る選手を追い抜く快走で35分25秒をマークし、一時はホットシート(暫定首位の椅子)に着席。しかし後発のキュングが中盤で差を築き、35分22秒82でフィニッシュ。トーンリーをわずか2.27秒抑えて優勝を決めました。キュングにとってはブエルタでのタイムトライアル2勝目です。3位にはホアオ・アルメイダ(UAEチーム・エミレーツ)が入りました。
ステージ結果(上位5名)
| 順位 | 選手 | チーム | タイム / 差 |
|---|---|---|---|
| 1 | ステファン・キュング | トゥドール・プロサイクリング | 35:22.82 |
| 2 | カラム・トーンリー | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +2.27秒 |
| 3 | ホアオ・アルメイダ | UAEチーム・エミレーツ | +8.78秒 |
| 4 | プリモシュ・ロリッチ | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +18.55秒 |
| 5 | ワウト・ファンアールト | チーム・ヴィスマ・リースアバイク | +約19秒 |
※参考:総合首位マスはステージ12位。ロリッチには33秒を失いました。
レースハイライトと注目記事
この日の主役は間違いなく総合首位のエンリク・マスでした。タイムトライアルは元々マスの「弱点」とされ、4度のブエルタ王者ロリッチに大きく時間を奪われるとの下馬評が支配的。ロリッチは巨大な68丁のチェーンリング(ペダル側のギア)を投入し、マスは64丁で対抗しました。
最初の中間計測(インターミディエイト・チェック)でロリッチはマスから22秒を奪い、2つ目の計測点では差は36秒に拡大。バーチャル総合(暫定の総合順位)でロリッチが2位に浮上する場面もありました。しかしマスは終盤で崩れず、逆に最後の数kmで約3秒を取り返してフィニッシュ。失ったのは33秒に留まり、事前予想をはるかに上回る「人生最高のタイムトライアル」で赤ジャージを守り切りました。
一方、この日最も痛手を負ったのがフェリックス・ガル(デカトロン)。ロリッチに1分28秒を失い、総合2位から3位へと転落しました。ブレイクアウェイ(先頭からの逃げ)が存在しないタイムトライアルは、GC(ジェネラル・クラシフィケーション=総合成績)の力関係がそのまま数字に出る「嘘のつけない1日」。その特性が、表彰台争いを大きく揺さぶった格好です。
各賞(ジャージ)の状況
第18ステージ終了時点の主要4賞と、チーム・敢闘賞の状況を整理します。ブエルタの各賞ジャージは、総合=赤(マイヨ・ロホ/ラ・ロハ)、ポイント=緑、山岳=水玉、新人=白です。
- 総合(マイヨ・ロホ):エンリク・マスが堅持。2位ロリッチへのリードは約1分37秒。
- 山岳(水玉ジャージ):サンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン)がリード。平坦TTのため変動なし。
- ポイント(緑ジャージ):ワウト・ファンアールトがステージ5位で11点を加算し、首位を維持。
- 新人(白ジャージ):オスカー・オンリー(ネットカンパニー・イネオス)がリードを拡大し盤石。
- 敢闘賞:個人タイムトライアルのステージには、逃げが発生しないためデイリーの敢闘賞は設定されません(総合敢闘賞は大会終了時に決定)。
レース結果一覧(第18ステージ終了時点)
総合成績(GC) 上位5名
| 順位 | 選手 | チーム | タイム / 差 |
|---|---|---|---|
| 1 | エンリク・マス | モビスター | 60:45:58 |
| 2 | プリモシュ・ロリッチ | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +1:37 |
| 3 | フェリックス・ガル | デカトロン CMA CGM | +3:01 |
| 4 | リチャル・カラパス | EF エデュケーション・イージーポスト | +5:17 |
| 5 | オスカー・オンリー | ネットカンパニー・イネオス | +6:03 |
チーム総合成績 上位5チーム
| 順位 | チーム | タイム / 差 |
|---|---|---|
| 1 | デカトロン CMA CGM | 182:40:29 |
| 2 | XDS アスタナ | +56:34 |
| 3 | EF エデュケーション・イージーポスト | +1:13:46 |
| 4 | グルパマ・FDJ ユナイテッド | +1:15:24 |
| 5 | バーレーン・ヴィクトリアス | +1:16:07 |
山岳賞(水玉ジャージ) 上位3名
| 順位 | 選手 | チーム | ポイント |
|---|---|---|---|
| 1 | サンティアゴ・ブイトラゴ | バーレーン・ヴィクトリアス | 69 |
| 2 | ワウト・ファンアールト | チーム・ヴィスマ・リースアバイク | 40 |
| 3 | エンリク・マス | モビスター | 24 |
ポイント賞(緑ジャージ) 上位3名
| 順位 | 選手 | チーム | ポイント |
|---|---|---|---|
| 1 | ワウト・ファンアールト | チーム・ヴィスマ・リースアバイク | 306 |
| 2 | マシュー・ブレナン | チーム・ヴィスマ・リースアバイク | 239 |
| 3 | アレッサンドロ・ロメーレ | XDS アスタナ | 171 |
新人賞(白ジャージ) 上位3名
| 順位 | 選手 | チーム | タイム / 差 |
|---|---|---|---|
| 1 | オスカー・オンリー | ネットカンパニー・イネオス | 60:52:01 |
| 2 | ヤコブ・オムルゼル | バーレーン・ヴィクトリアス | +0:57 |
| 3 | レオ・ビゾー | デカトロン CMA CGM | +12:33 |
次戦・第19ステージの見どころ
第19ステージは、ベレス・マラガからペーニャス・ブランカス(エステポナ上部)へ向かう210.8kmの山頂フィニッシュ。フィナーレのカテゴリー1「ペーニャス・ブランカス」は距離18.8km・平均勾配6.5%で、10%を超える急坂も待ち構えます。タイムトライアルで約1分37秒差にまで詰め寄られたマスと、逆転を狙うロリッチ。マス対ロリッチの直接対決が、いよいよ山で再燃します。

J SPORTS 放送・配信予定
ブエルタ・ア・エスパーニャ2026は、J SPORTS 4およびJ SPORTSオンデマンド(Amazonプライムビデオ チャンネルからも視聴可)で全ステージを生中継・ライブ配信。以下は日本時間の生中継スケジュールです。
| ステージ | 生中継(日本時間) |
|---|---|
| 第19ステージ | 9月11日(金)21:50〜(英語コメンタリー版は20:10〜) |
| 第20ステージ | 9月12日(土)21:50〜(英語コメンタリー版は19:15〜) |
| 第21ステージ(最終・グラナダ) | 9月13日(日)23:10〜 |
※放送終了時刻は番組ページにより表記差があるため、最新の詳細はJ SPORTS公式サイトでご確認ください。
出典:CyclingUpToDate、Cyclingnews、ProCyclingStats、La Vuelta公式(lavuelta.es)、J SPORTS公式。順位・タイムは第18ステージ終了時点。放送予定はJ SPORTS公式に基づく。