2026年7月18日 速報 / 国際報道まとめ・忖度なし
ウクライナ侵攻5年目、ゼレンスキー政権が電撃改造 — 国防相更迭・ドローン戦優勢・ロシア燃料危機
ロシアによるウクライナ侵攻は開戦から5年目に入り、戦場と政治の両面で節目となる動きが続いている。本稿では日本国内の報道は用いず、Al Jazeera(アルジャジーラ)、Reuters(ロイター)、AFP、BBC、CNN、Fox、および欧米各紙、そしてウクライナ・ロシア双方の公式発表とSNS発信をもとに、2026年7月18日時点の最新状況を整理する。
信頼度ラベルの見方 🟢 複数ソースで確認済み / 🟡 単一ソースまたは当事者の主張 / 🔵 編集部による分析・見解
【サマリー】7月18日のウクライナ情勢
🟢 ゼレンスキー大統領が7月12日に着手した大規模な内閣改造は、7月16日に議会(最高会議)が新首相コレツキー氏を承認し、新内閣を発足させたことで一つの山を越えた。一方で人気の高かった国防相フョードロフ氏の更迭には、キーウ(キエフ)市内で抗議デモが起きるなど政権への不満も表面化している。
🟢 戦場では、ウクライナのドローン(無人機)による長距離攻撃がロシアの製油所を相次いで直撃し、ロシア国内で燃料不足が深刻化。他方、ロシアの地上部隊による前進はほぼ停止状態にある。ロシアは報復としてキーウなどへの大規模ミサイル・ドローン攻撃を続けており、7月16〜17日夜にも大規模な攻撃が行われた。
国防相フョードロフ氏を電撃更迭
🟢 ゼレンスキー大統領は7月15日、軍指導部との協議を経て、ミハイロ・フョードロフ国防相の解任を決定した。フョードロフ氏は在任わずか約6か月。デジタル変革(デジタルトランスフォーメーション)担当相として「スマホの中の国家」構想を主導し、国防相就任後はドローン増産や兵士給与の引き上げ、ロシア側によるスターリンク(Starlink=衛星インターネット)利用の遮断などを進めた、政権内でも数少ない与野党双方から評価される人物だった。
🟡 解任の背景について、大統領は与党「国民の僕」会派の会合で、フョードロフ氏と軍総司令官シルスキー氏との間に「解消不能な組織的対立」があったと説明したと、ウクライナ・プラウダは伝えている。
🔵 短期間で成果を上げた閣僚をあえて外した判断には、軍と政権中枢の主導権争いが影を落としているとみられる。
🟢 これに対し、空軍副司令官イェリザロフ氏が抗議して辞任を表明。退役軍人や活動家がキーウでの平和的な抗議を呼びかけ、7月16日には複数都市でデモが発生した。
🟡 ゼレンスキー氏は後に、抗議した市民は「正しいことをした」と述べ、軍と国防当局の結束を訴えたと欧州メディアは報じている。
新首相コレツキー氏と新内閣の顔ぶれ
🟢 7月16日、最高会議は国営エネルギー企業ナフトガスの前最高経営責任者(CEO)セルヒー・コレツキー氏(48)を新首相として承認した。賛成は318票中289票。ビジネス畑出身でエネルギー分野の実務手腕を買われた人選で、ゼレンスキー氏は「厳しい冬を乗り切る managerの経営者」と位置づけている。前首相スヴィリデンコ氏は7月14日に議会で解任されていた。
| 役職 | これまで | 7月18日時点 |
| 首相 | スヴィリデンコ氏(7/14解任) | コレツキー氏(7/16承認・289票) |
| 国防相 | フョードロフ氏(更迭) | クリメンコ氏起用案は票不足、フマラ氏が暫定 |
| 国家安全保障・国防会議書記 | — | クリメンコ氏を任命へ(7/17表明) |
| 内相 | クリメンコ氏 | ヴィヒウシキー氏 |
出典:Ukrainska Pravda、Kyiv Independent、New Voice of Ukraine、France24、Il Sole 24 Ore ほか(人事は流動的)
戦況:ロシアの前進はほぼ停止、ドローン戦は優勢
🟢 米戦争研究所(ISW)などの分析によれば、2026年上半期におけるロシアの支配地の純増はわずか97平方キロメートル。ロシア軍は東部ドネツク州の残る約2割の制圧を年内目標に掲げるが、現在のペースでは達成に十数年を要する計算だと指摘されている。
🟡 ウクライナ軍は、6月だけでロシア側におよそ3万9,490人の損耗が生じ、開戦以来の累計は米戦略国際問題研究所(CSIS)推計で約140万人に達したとしている。
🟢 ウクライナはドローン(無人機)を使った長距離攻撃でロシアの製油所やエネルギー拠点を集中的に叩いている。7月上旬にはシベリア・オムスクの露最大級の製油所を約3,000キロ先から初めて攻撃し、開戦以来最も深い長距離打撃だと特殊作戦軍が発表した。
🔵 ゼレンスキー氏はこれを「長距離制裁(long-range sanctions)」と呼び、戦争の実感をその発端であるロシア本土に届けるべきだ、という論法で正当化している。
| 指標 | 数字(国際報道の推計) |
| 停止したロシアの製油能力 | 最大28%(WSJ推計) |
| 製油量(侵攻前→現在) | 約520万→約380万バレル/日(21年ぶり低水準) |
| 上半期のロシア支配地拡大 | 純増97平方キロメートル(ISW) |
| ロシア軍の損耗 | 6月に約3.9万人/累計約140万人(CSIS) |
| ガソリン備蓄(露) | 約170万トン(前年比マイナス4%/プーチン氏発言) |
出典:ISW、CSIS、WSJ、Oxford Institute for Energy Studies、The Moscow Times、OilPrice ほか
ロシアの燃料危機とプーチン氏の近況
🟢 ウクライナの製油所攻撃が続いた結果、ロシア国内では40以上の地域とクリミアで燃料販売の制限が広がり、クリミアでは燃料の非常事態が宣言された。給油所には長い車列ができ、一部では個人向け販売が停止する事態も起きている。
🟡 ロシアはカザフスタンからのAI-92ガソリン約5万トンの輸入について水面下で交渉しているとロイターが報じ、インドの名も取り沙汰されている。
🟡 プーチン大統領は6月末、燃料の「一定の不足」を認めつつも、備蓄は約170万トン(前年比マイナス4%)で「危機的ではない」と強調。停戦提案を拒否し、ウクライナのドネツク州からの撤退、NATO加盟断念、軍縮などを条件に掲げて戦争継続の姿勢を崩していない。
🔵 ゼレンスキー氏との会談についても「モスクワに来い」と事実上拒む構えで、クレムリンは当面の交渉再開の見通しを否定している。編集部としては、経済的圧力が外交を動かすかどうかが今後の最大の焦点だとみている。
ザポリージャ原発の技師死亡と7月16〜17日夜の攻撃
🟡 ロシアの国営原子力企業ロスアトムは7月15日、ロシア管理下にあるザポリージャ原発の主任技師ヤコブレフ氏が、エネルホダル近郊でドローン攻撃を受けて運転手とともに死亡したと発表した。ウクライナ外務省はこれを「根拠がない」として関与を否定。🟢 国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は、加害者を名指ししないまま「原発とその運営陣への容認できない攻撃であり、核の安全を著しく脅かす」と非難した。
🟢 7月16〜17日夜にかけては、ロシアがクリミアとロシア本土から大規模攻撃を実施。ウクライナ側の発表では、対レーダーミサイルX-31P、X-59/69誘導ミサイル、そしてジェット推進型を含むシャヘド型ドローン約130機(ゲルベラやイタルマスなどの囮=おとりドローンを含む)が使われた。各地で着弾が確認された。
🟡 これに先立つ7月15日には、フォンデアライエン欧州委員長がキーウを訪問し、ウクライナの実戦知見とEUの生産能力を結ぶ「ドローン協定」に署名している。
モスクワとキーウの「今」
🔵 キーウでは、連夜の空襲で市民が地下鉄駅に避難する日常が続く一方、内閣改造をめぐる抗議デモが街頭を埋めるなど、戦時下でも政治が生々しく動いている。国防相更迭に対する市民の反応は、ゼレンスキー政権の「頻繁な人事シャッフル」への不満の表れとも読める。
🔵 モスクワでは、製油所火災による煙が市街の空を覆う場面が伝えられ、給油の車列や燃料制限が市民生活に影を落とす。クレムリンはフョードロフ氏更迭を「誰が国防相でも違いはない」(ペスコフ報道官)と軽視してみせたが、そのドローン戦略がロシア本土を痛打してきた事実こそが、この余裕ぶった論評の裏側にある。
編集後記 — 忖度なしの視点
🔵 5年目のこの戦争は、「地上での押し合い」から「後方インフラを削り合う長期消耗戦」へと性格を変えつつある。ウクライナはドローンでロシアの燃料と外貨収入を叩き、ロシアはミサイルで都市と士気を叩く。数字だけを見ればウクライナの戦場での立ち位置は開戦以来もっとも良いが、その足元でゼレンスキー政権は人事の混乱と国内世論の反発という別の火種を抱えている。戦況・政局・経済のどれか一つでも均衡が崩れれば、交渉のテーブルは一気に近づくかもしれない。引き続き一次情報を追い、忖度なしで検証していく。
※本記事はAl Jazeera、Reuters、AFP、BBC、CNN、Fox、ISW、CSIS、The Moscow Times、Kyiv Independent、Ukrainska Pravda、New Voice of Ukraine、France24、Il Sole 24 Ore、World Nuclear News など国際報道および当事国の公式発表・SNS発信をもとに編集部が再構成したものです。人事・戦況は流動的であり、最新の一次情報での確認を推奨します。