宇宙から届いた謎の信号「Wow!シグナル」は、発見から半世紀近くが経つ今も未解明のままです。
最新の解析が示す新たな位置情報と強度の改訂は、この信号がやはり地球外に起源を持っている可能性を強めています。
この記事では、再調査の成果や、地球外生命探査の歩みを簡単にまとめてお届けします。
目次
Wow! シグナルの基本データ
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観測日時:1977年8月15日
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発見装置:オハイオ州立大学の「Big Ear」ラジオ望遠鏡
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電波の強度パターンを見た観測者ジェリー・エフマンが、記録紙に“6EQUJ5”と書き込み、さらに「Wow!」という手書きの注を書いたことが名前の由来です。
SlashGear+12ウィキペディア+12Reddit+12 -
持続時間は72秒。地球の自転に応じて強度が増減したため、宇宙からの信号である可能性が注目されてきました。
ウィキペディア
2508.10657] Arecibo Wow! II: Revised Properties of the Wow! Signal from Archival Ohio SETI Data
https://arxiv.org/abs/2508.10657
最新調査で新たにわかったこと
2025年8月公開のプレプリント研究では、過去未公開だった膨大な観測データを再解析し、Wow!シグナルの特性が新たに更新されました。
arXiv+1
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天体の位置を従来より狭く修正
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ピークの強度は250 Jy以上と、これまでよりも大幅に強力
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周波数は1420.726 ± 0.005 MHzと約1420 MHz(水素線)近辺
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小さな**冷たい水素雲(HI雲)**による自然現象の可能性が高まったという見解も示されています。
ウィキペディア+6arXiv+6Phys.org+6
この分析は、「人工的な電波」ではなく「自然発生的な天体現象」の説明として、最も精緻なデータとなりました。
地球外生命探査(SETI)の足取り
起源と参加型プロジェクトの登場
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SETI@home:一般人のPCの余力を使って宇宙信号を解析する草の根プロジェクト(1999〜2020)。20年以上にわたるデータ処理を支援し、膨大な解析を支えました。
Reddit+14ウィキペディア+14The Independent+14WIRED+1 -
現在はより高性能なBreakthrough Listenが主流。大規模GPUを駆使することで、より迅速・包括的な信号解析を実現しています。
seti.berkeley.edu
過去の再観測試み
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VLAやUniversity of Tasmaniaなど複数の望遠鏡で、70年代以降もWow!シグナルの再現を試みたが、再検出には至らず。
YouTube -
2022年には2MASSカタログからSunに似た恒星が探索候補として提案されましたが、今のところ成果はなし。
ウィキペディア
なぜまだまだ謎が深いのか?
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“一度だけ”の検出で再現がないため、本当に「人工的な通信」だったのか判断できない。
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周波数が水素線に近いことから、**自然現象(例:マグネター爆発+HI雲反応)**という説明にも説得力あり。ウィキペディア+3The Independent+3YouTube+3Phys.org
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最新研究では**“スーパーラジアンス現象”**という、高密度なHI雲が強烈に発光する現象も考慮されています。
まとめ:Wow!シグナルは未解明だが、自然由来の可能性がより現実味
謎 | 最新の見解 |
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起源 | 再分析により自然由来の可能性が高まりつつある |
再検出 | 依然として行われていない |
探索の展望 | SETI@home → Breakthrough Listenで観測精度向上中 |
Wow!シグナルは「地球外生命の証拠」としての期待に応えつつも、依然として未解決。
今後ロボット望遠鏡や新技術が鍵を握るかもしれません。
ひとりごと
「地球外生命の証拠」といえば、名作「コンタクト」
単なるSF映画だけではなく、宗教、政治、社会情勢などを組み合わせた映画になっていて、主人公の最期の言葉に宇宙のすべてが表されている。
これは、ぜひ見てほしい映画です。
参考リンクまとめ
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最新研究「Arecibo Wow! II…」
WIRED+2seti.berkeley.edu+2YouTubeThe Independent+7arXiv+7arXiv+7 -
宇宙的説明の提案「Arecibo Wow! I…」
arXiv -
天体現象説「冷たい水素雲のフレア」
IFLScience -
Wow!シグナルの基礎@Wikipedia
ウィキペディア -
最新非エイリアン説報道(Independent)
The Independent -
SETI@homeとBreakthrough Listenの流れ
WIRED+1