2026年8月30日、ブエルタ・ア・エスパーニャ2026は第9ステージ、ラ・ビラ・ホヨサ(La Vila Joiosa)からアルト・デ・アイタナ(Alto de Aitana)へ向かう187.4kmの山岳ステージが行われました。獲得標高約4,950mという今大会最難関の「クイーンステージ(Queen Stage/最も過酷な一日)」を制したのは、マイヨ・ロホ(Maillot Rojo/総合首位の赤いジャージ)を着るエンリク・マス(モビスター)。前日の第8ステージでタデイ・ポガチャルが落車リタイアし、いわば「棚ぼた」で受け継いだ首位でしたが、この日の勝利でその評価を一変させました。
■ 3行まとめ
- マス(モビスター)がアイタナ山頂でオンリーを競り落とし、8年ぶりのグランツール区間勝利。
- 総合はマスがロリッチに1分18秒差をつけてリードを拡大。ガルが3位に浮上。
- 逃げに乗ったブイトラゴ(バーレーン)が山岳賞ジャージを確保。翌日は今大会最初の休息日。
コース紹介
第2週最初の山場にして、今大会屈指の破壊力を持つステージ。カテゴリー山岳を6つ越え、勾配10%に達する激坂プエルト・デル・ミセラット(Puerto de El Miserat)を含む消耗戦のすえ、最後は約22kmにわたるアイタナへの登坂で決着するサミットフィニッシュ(Summit Finish/山頂ゴール)です。平坦区間はほとんどありません。
| 開催日 | 2026年8月30日(日) |
|---|---|
| 区間 | ラ・ビラ・ホヨサ → アルト・デ・アイタナ |
| 距離 | 187.4km |
| 獲得標高 | 約4,950m(今大会最多クラス) |
| 種別 | 山岳(クイーンステージ) |
| 主な山岳 | プエルト・デ・タルベナ/プエルト・デル・ミセラット(10%)/プエルト・デ・トージョス/プエルト・デ・トゥドンス/プエルト・デ・ベニファジム/アルト・デ・アイタナ(山頂ゴール) |

優勝者:エンリク・マス(モビスター)
ディフェンディングリーダーとしてスタートしたマスは、ラスト3km地点でアタック。追随できたのはオスカー・オンリー(ネットカンパニー・イネオス)ただ一人でした。残り2kmでのさらなる加速でロリッチを引き離すと、最終ストレートではオンリーの猛追をインコースで封じ、スプリントで完勝。区間タイムは5時間10分40秒でした。
マスにとってこれは8年ぶり、キャリア2勝目のブエルタ区間勝利。スペイン選手がマイヨ・ロホを着てブエルタの区間を勝ったのは、2014年アンカレスのアルベルト・コンタドール以来という、地元にとって記念すべき一勝となりました。
レースハイライトと注目ポイント
序盤から24名の大規模なブレイクアウェイ(Breakaway/先頭集団の逃げ)が形成され、最大6分以上のリードを得ました。逃げに乗ったサンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス)は総合上位を失っていたぶん、この日は山岳ポイントを次々に回収してマウンテンズジャージ(山岳賞)を確保。ロメーレ(XDSアスタナ)は自身23歳の誕生日にアタックを仕掛けるなど、逃げの中にもいくつもの「レースの中のレース」が展開されました。
残り50kmでデカトロン・CMA・CGMがコントロールを引き継ぎ、ガルのために猛烈なペースアップ。これで逃げは吸収され、総合争いが動き出します。最後はマス・オンリー・ロリッチ・ガルの4強が火花を散らし、マスの決定打が勝負を決めました。一方、元覇者セップ・クス(ヴィスマ)はアイタナで遅れ、1分44秒を失う波乱もありました。
注目|ジャージが「重なる」ときの見方(初心者向け)
ブエルタには4つのリーダージャージがあります。マイヨ・ロホ(赤・総合首位)、緑(ポイント賞)、水玉(山岳賞)、白(新人賞=25歳以下の総合最上位)です。1人の選手が複数の首位を兼ねる場合、優先度の高いジャージを着るため、実際にコース上では2番手の選手が別のジャージを着ます。例えばマスは総合首位(赤)と同時に山岳賞2位でもあるため、水玉は山岳賞首位のブイトラゴが着用。オンリーは総合4位につけながら、25歳以下トップとして白(新人賞)を着ています。
各賞ジャージの状況
- マイヨ・ロホ(総合首位):エンリク・マス(モビスター) ― 区間勝利+ボーナスタイムでリードを1分18秒に拡大。休息日を万全の状態で迎えます。
- 山岳賞(水玉):サンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン) ― 逃げで山岳ポイントを荒稼ぎし、一気にトップへ。
- ポイント賞(緑):ワウト・ファンアールト(ヴィスマ) ― 124ポイントで首位を堅持。2位ブレナンに大差。
- 新人賞(白):オスカー・オンリー(ネットカンパニー・イネオス) ― 区間2位で総合4位に浮上し、白ジャージのリードも拡大。
- 敢闘賞(Combatividad):※確認中 ― 公式発表を確認のうえ更新します(La Vuelta公式)。
レース結果一覧
■ ステージ結果(上位5名)
| 順位 | 選手 | チーム | タイム |
|---|---|---|---|
| 1 | エンリク・マス | モビスター | 5:10:40 |
| 2 | オスカー・オンリー | ネットカンパニー・イネオス | 同タイム |
| 3 | プリモシュ・ロリッチ | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +0:12 |
| 4 | フェリックス・ガル | デカトロン・CMA・CGM | +0:18 |
| 5 | クリスティアン・ロドリゲス | XDSアスタナ | +0:20 |
■ 個人総合成績(GC・上位5名)
| 順位 | 選手 | チーム | タイム差 |
|---|---|---|---|
| 1 | エンリク・マス | モビスター | 28:34:03 |
| 2 | プリモシュ・ロリッチ | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +1:18 |
| 3 | フェリックス・ガル | デカトロン・CMA・CGM | +1:39 |
| 4 | オスカー・オンリー | ネットカンパニー・イネオス | +2:20 |
| 5 | リチャル・カラパス | EFエデュケーション・イージーポスト | +3:26 |
■ チーム総合成績(上位5チーム)
■ 山岳賞(上位3名)
| 順位 | 選手 | チーム | ポイント |
|---|---|---|---|
| 1 | サンティアゴ・ブイトラゴ | バーレーン・ヴィクトリアス | 29 |
| 2 | エンリク・マス | モビスター | 24 |
| 3 | アンドレアス・レックネスン | ウノエックス・モビリティ | 19 |
■ ポイント賞(上位3名)
| 順位 | 選手 | チーム | ポイント |
|---|---|---|---|
| 1 | ワウト・ファンアールト | ヴィスマ・リースアバイク | 124 |
| 2 | マシュー・ブレナン | ヴィスマ・リースアバイク | 67 |
| 3 | アレッサンドロ・ロメーレ | XDSアスタナ | 59 |
■ 新人賞(上位3名)
| 順位 | 選手 | チーム | タイム差 |
|---|---|---|---|
| 1 | オスカー・オンリー | ネットカンパニー・イネオス | 28:36:23 |
| 2 | ヤコブ・オムルゼル | バーレーン・ヴィクトリアス | +5:45 |
| 3 | ヤーノ・ウィダール | ロット・インターマルシェ | +7:14 |
次ステージ(第10ステージ)プレビュー
8月31日(月)の休息日を挟み、9月1日(火)に第10ステージが行われます。アルカラス(Alcaraz)からエルチェ・デ・ラ・シエラ(Elche de la Sierra)へ向かう184.7kmの丘陵(Hilly)ステージ。カテゴリー3の峠を3つ含み、平坦区間はほとんどありません。逃げ切りを狙うアタッカーと、粘り強いスプリンター(Sprinter)を擁するチームとの駆け引きが見どころです。ゴール前にも登り基調が残るため、純粋なスプリンターには厳しく、今大会屈指の「逃げ切りチャンス」とも見られています。

J SPORTS 放送予定
| ステージ | 放送日時(生中継) |
|---|---|
| 第10ステージ | 9月1日(火)午後9:50 〜 深夜1:20 |
| 第11ステージ | 9月2日(水)午後9:50 〜 深夜1:20 |
・放送:J SPORTS 4/J SPORTSオンデマンドで全ステージ生中継・ライブ配信。
・8月31日(月)は今大会最初の休息日のため競技はありません。
・解説・実況:※確認中(J SPORTS公式でご確認ください)
※記録・順位は執筆時点のもの。データ出典:ProCyclingStats、CyclingUpToDate、La Vuelta公式、J SPORTS公式ほか。