2026年9月20日から27日まで、カナダ・モントリオールでUCIロード世界選手権(世界自転車選手権)が開催されました。モントリオールでの開催は、1974年大会以来52年ぶりです。全13種目で、1年間「マイヨ・アルカンシエル(虹色のジャージ)」を着る新王者が決まりました。
この記事の3行まとめ
①男子エリートのロードレースは、ブランドン・マクナルティ(アメリカ)が残り約32kmからの独走で優勝。アメリカ男子の世界王者は1993年以来33年ぶり。
②女子エリートのロードレースは、デミ・フォレリング(オランダ)が歴代最長の180.1kmを制し、初のアルカンシエルを獲得。
③個人TT(タイムトライアル)は、男子のレムコ・エヴェネプール(ベルギー)が史上初の4連覇、女子のマーレン・ロイサー(スイス)が2連覇。
大会のクラス(種目)
世界選手権は、エリート、U23(アンダー23)、ジュニアの3つの年齢クラスに分かれ、それぞれ男女のロードレースと個人TT(タイムトライアル)が行われます。これに、男女3人ずつのチームで走るチームTT・ミックスリレー(mixed relay)が加わり、合計13種目です。
| クラス | 対象 | 種目 | 日程 |
|---|---|---|---|
| エリート(elite) | 男女のトップ選手(プロ) | ロードレース・個人TT | 個人TT 9/20、女子ロード 9/26、男子ロード 9/27 |
| U23(アンダー23) | 23歳以下の若手 | ロードレース・個人TT | 個人TT 9/21、女子ロード 9/24、男子ロード 9/25 |
| ジュニア(junior) | 18歳以下 | ロードレース・個人TT | 個人TT 9/22、男子ロード 9/24、女子ロード 9/25 |
| ミックスリレー | 男女混成の国別チーム | チームTT(男女各3人) | 9/22 |
※9/23は休息日でレースはありません。
コース紹介
ロードレースの舞台は、モントリオール中心部にそびえるモン・ロワイヤル(Mont Royal)を回る1周13.4km・獲得標高269mの周回コースです。全13種目のゴールは、いずれもアヴェニュー・デュ・パルク(Avenue du Parc)に置かれました。コースには、カミリアン=ウード(Camillien-Houde)の登りや、勾配が11%を超える区間があるポリテクニーク(Polytechnique)通りが含まれ、ゴール前は登り基調のスプリント(sprint)勝負になります。
| 種目 | 距離 | 内容 |
|---|---|---|
| 男子エリート ロードレース | 273.4km | ブロサール(Brossard)から約112.6kmを走った後、周回コースを12周。獲得標高は3,803m |
| 女子エリート ロードレース | 180.1km | ブロサールから約72.9kmを走った後、周回コースを8周。獲得標高は2,570m(女子エリート史上最長) |
| 男女エリート 個人TT | 39.2km | セントローレンス川沿いを走り、サミュエル・ド・シャンプラン橋やジル・ヴィルヌーヴ・サーキット周辺を通過。ゴール前に約400mの登り |
| ミックスリレー | 40.6km | 男女3人ずつが交代で走るチームTT |
※ブロサール(Brossard)は、エリートのロードレースのスタート地点です。
各クラスの優勝者
| 種目 | 優勝 | 国・地域 | 記録 |
|---|---|---|---|
| 男子エリート ロードレース | ブランドン・マクナルティ | アメリカ | 6時間17分04秒 |
| 女子エリート ロードレース | デミ・フォレリング | オランダ | 4時間45分09秒 |
| 男子エリート 個人TT | レムコ・エヴェネプール | ベルギー | 44分53秒13 |
| 女子エリート 個人TT | マーレン・ロイサー | スイス | 50分24秒44 |
| ミックスリレー | イタリア | イタリア | 51分32秒28 |
| 男子U23 ロードレース | アシュリン・バリー | アメリカ | ― |
| 女子U23 ロードレース | ヴィクトリア・クラドノヴァ | スロバキア | ― |
| 男子U23 個人TT | ライアン・ハル | オランダ | ― |
| 女子U23 個人TT | フェリシティ・ウィルソン=ハッフェンデン | オーストラリア | ― |
| 男子ジュニア ロードレース | ベンハミン・ノバル | スペイン | ― |
| 女子ジュニア ロードレース | アレハンドラ・ネイラ | スペイン | 2時間21分00秒 |
| 男子ジュニア 個人TT | ベンハミン・ノバル | スペイン | 25分17秒 |
| 女子ジュニア 個人TT | マリア・オクルチンスカ | ポーランド | ― |
※「―」は、当サイトで確認が取れた範囲では記録が未確認の項目です。確認でき次第、追記します(J SPORTS公式も参照)。
レースハイライトと注目記事
男子エリート ロードレース:マクナルティの独走が33年ぶりの米国王者を生む
レース序盤は16人が逃げ集団(ブレイクアウェイ/breakaway)を形成しました。メイン集団は、周回コースに入る直前から強豪のフランス勢が主導権を握り、ブルーノ・アルミライルが長時間にわたって先頭を牽引して逃げを吸収します。
残り90km前後から、マチュー・ファンデルプール(オランダ)とワウト・ファンアールト(ベルギー)らが飛び出して展開が一気に動きました。その後、追走集団が合流と分裂を繰り返し、優勝候補たちが入れ替わりで攻撃する大混戦になります。UAEチーム・エミレーツXRG(UAE Team Emirates XRG)のイサーク・デルトロ(メキシコ)が何度もペースを上げるなか、同じチームのマクナルティが残り約32kmで単独アタック(attack)に成功しました。
後方ではトム・ピドコック(イギリス)らが追いすがりましたが、追走側のけん制が続いて協調が生まれず、差は最後まで13秒残りました。2位はマイケル・マシューズ(オーストラリア)、3位はファンデルプールで、銀メダルは2人のスプリントで決まっています。連覇中だったタデイ・ポガチャルはブエルタ・ア・エスパーニャでの落車負傷で欠場しており、同じチームの選手が王座を引き継ぐ形になりました。
優勝候補だったエヴェネプールは12位(25秒差)、ポール・セクサス(フランス)は15位(約2分30秒差)でした。日本代表の橋川丈選手は、レース途中で棄権(DNF/ディーエヌエフ)しています。
女子エリート ロードレース:フォレリングが悲願の世界一
女子エリートとして過去最長の180.1kmで争われ、オランダが最大7人を揃えて集団を支配しました。プック・ピーテルセの牽引を受けたフォレリングが残り約38.5kmで飛び出し、いったん単独先頭に立ちます。追走集団に残り17kmで追いつかれましたが、最後は先頭に残ったカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド)との一騎打ちとなり、ゴールスプリントを制しました。3位は、終盤にアタックを仕掛けたエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)です。TT王者のロイサーは4位で、日本の阿部花梨選手は残り約77kmで途中棄権しました。
個人TT:エヴェネプールが史上初の4連覇、ロイサーは35歳の誕生日に連覇
男子エリートは、エヴェネプールが平均時速52.4kmで2位のフィリッポ・ガンナ(イタリア)に57秒差をつけて圧勝し、世界選手権個人TTで史上初の4連覇を達成しました。4勝は、ファビアン・カンチェラーラとトニー・マルティンが持つ最多記録に並ぶものです。女子エリートは、ロイサーが2位のゾーイ・バックステッド(イギリス)を40秒上回って連覇し、この日は自身の35歳の誕生日でした。
ミックスリレー:イタリアが初優勝
ガンナやロンゴボルギーニらを擁するイタリアが、この種目で初めて優勝しました。フランスが2位、スイスが3位です。初出場の日本は15位でした。
U23・ジュニアのトピック
男子ジュニアのベンハミン・ノバル(スペイン)は、個人TTに続いてロードレースも26.8kmの独走で制し、2冠を達成しました。男子ジュニアでのTTとロードの2冠は、2018年のエヴェネプールに続く史上2人目です。男子U23ロードは、19歳の誕生日を迎えたアシュリン・バリー(アメリカ)が約30kmを独走して優勝しました。
注目記事・公式情報
- J SPORTS:UCI世界選手権 男子エリート 個人TT・ロードレース
- J SPORTS:UCI世界選手権 女子エリート 個人TT・ロードレース
- シクロワイアード:マクナルティが世界選手権で32.5km独走
- シクロワイアード:フォレリングが念願のアルカンシエル獲得
- サイクルスポーツ:男子エリートのロードレース速報
レース結果一覧(1位〜5位)
男子エリート ロードレース(273.4km)
| 順位 | 選手名 | 国 | タイム |
|---|---|---|---|
| 1位 | ブランドン・マクナルティ | アメリカ | 6:17:04 |
| 2位 | マイケル・マシューズ | オーストラリア | +0:13 |
| 3位 | マチュー・ファンデルプール | オランダ | +0:13 |
| 4位 | クイン・シモンズ | アメリカ | ※確認中 |
| 5位 | イサーク・デルトロ | メキシコ | +0:14 |
※4位のタイム差は確認中です。公式の結果はJ SPORTSをご確認ください。
女子エリート ロードレース(180.1km)
| 順位 | 選手名 | 国 | タイム |
|---|---|---|---|
| 1位 | デミ・フォレリング | オランダ | 4:45:09 |
| 2位 | カタジナ・ニエウィアドマ | ポーランド | 同タイム |
| 3位 | エリーザ・ロンゴボルギーニ | イタリア | +0:04 |
| 4位 | マーレン・ロイサー | スイス | +0:08 |
| 5位 | ジュリエット・ベルテ | フランス | +0:39 |
男子エリート 個人TT(39.2km)
| 順位 | 選手名 | 国 | タイム |
|---|---|---|---|
| 1位 | レムコ・エヴェネプール | ベルギー | 44:53.13 |
| 2位 | フィリッポ・ガンナ | イタリア | +0:57.31 |
| 3位 | ポール・セクサス | フランス | +1:13.04 |
| 4位 | ブランドン・マクナルティ | アメリカ | +1:25.27 |
| 5位 | ヤコブ・セーデルクヴィスト | スウェーデン | +1:26 |
女子エリート 個人TT(39.2km)
| 順位 | 選手名 | 国 | タイム |
|---|---|---|---|
| 1位 | マーレン・ロイサー | スイス | 50:24.44 |
| 2位 | ゾーイ・バックステッド | イギリス | +0:40.11 |
| 3位 | フランシスカ・コッホ | ドイツ | +0:45.54 |
| 4位 | エリーザ・ロンゴボルギーニ | イタリア | +0:50 |
| 5位 | セドリーヌ・ケルバオル | フランス | +1:10 |
ミックスリレー(40.6km)
| 順位 | 国 | タイム |
|---|---|---|
| 1位 | イタリア | 51:32.28 |
| 2位 | フランス | +8.63※確認中 |
| 3位 | スイス | +19.90 |
| 4位 | オーストラリア | +40.48 |
| 5位 | ドイツ | +48.74 |
※フランスのタイム差は、報道により8.59秒差とする表記もあり、確認中です。
クラス別 アルカンシエル(Arc-en-ciel)の紹介
アルカンシエル(arc-en-ciel)はフランス語で「虹」を意味します。世界チャンピオンに贈られるマイヨ・アルカンシエルは、純白の地に青・赤・黒・黄・緑の5色の帯が入った特別なジャージで、王者は翌年の世界選手権までの1年間、同じ種目のレースでこれを着用できます。
| クラス・種目 | 新アルカンシエル | ひとこと |
|---|---|---|
| 男子エリート ロード | ブランドン・マクナルティ(アメリカ) | 独走で優勝。アメリカ男子は1993年以来33年ぶり |
| 女子エリート ロード | デミ・フォレリング(オランダ) | 29歳で初の世界タイトル |
| 男子エリート TT | レムコ・エヴェネプール(ベルギー) | 史上初の4連覇 |
| 女子エリート TT | マーレン・ロイサー(スイス) | 35歳の誕生日に2連覇 |
| ミックスリレー | イタリア | この種目で初優勝 |
| 男子U23 ロード | アシュリン・バリー(アメリカ) | 19歳の誕生日に約30km独走 |
| 女子U23 ロード | ヴィクトリア・クラドノヴァ(スロバキア) | 一騎打ちのスプリントを制した |
| 男子U23 TT | ライアン・ハル(オランダ) | 2005年生まれの21歳 |
| 女子U23 TT | フェリシティ・ウィルソン=ハッフェンデン(オーストラリア) | 2023年のジュニアTT王者に続く3つ目の世界タイトル |
| 男子ジュニア ロード | ベンハミン・ノバル(スペイン) | TTとの2冠は史上2人目 |
| 女子ジュニア ロード | アレハンドラ・ネイラ(スペイン) | 5人のスプリントを制した18歳 |
| 男子ジュニア TT | ベンハミン・ノバル(スペイン) | 来季ネットカンパニー・イネオス加入が決定 |
| 女子ジュニア TT | マリア・オクルチンスカ(ポーランド) | ロードでも4位に入った |
新王者たちは、来年の世界選手権が開かれるまでの1年間、レースで虹色のジャージを着て走ります。シーズン終盤には各国のレースで、その姿を見られるはずです。
※順位・タイム・各賞は、J SPORTS公式および各報道をもとに整理しています。未確認の項目は「確認中」と記載しています。