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【2026年10月28日 速報】イスラエル総選挙は決着せず ネタニヤフ53・野党48・アラブ系19議席の膠着

2026年10月28日 速報
イスラエル総選挙は決着せず ガザ「停戦」下の死者1500人超、ヘブロンで5000人が家を追われる
国際報道・各国政府の一次発表のみを突き合わせて整理した、24時間の動き。

10月27日に投票が行われたイスラエル総選挙は、開票が8割を超えた28日時点でもどちらの陣営も過半数に届いていません。同じ48時間のあいだに、ガザ地区では「停戦」下の死者が1500人を超え、ヨルダン川西岸のヘブロンでは5000人近くが自宅から退去させられました。選挙の数字と現場の数字を、国際通信社と国連・各国政府の発表だけで並べます。

記事中の信頼度表示 🟢=複数の独立した報道で確認/🟡=単一ソースまたは当局の一方的な主張/🔵=編集部による分析・文脈づけ

24時間で何が起きたか

🟢 イスラエル中央選挙管理委員会は28日、約500万票を数えた段階の暫定集計を公表しました。ネタニヤフ首相の与党ブロックが53議席、ガディ・アイゼンコット氏が率いる野党ブロックが48議席、アラブ系政党が合計19議席です。過半数は61議席で、どちらのブロックも単独では届いていません。

🟢 ガザ地区では27日までの24時間に6人が死亡し、32人が負傷したと保健省が発表しました。昨年10月の停戦発効以降の死者は1500人を超えています。

🟢 ヨルダン川西岸のヘブロンでは、イスラエル軍の大規模作戦が5日目に入り、5000人近くが家を離れました。国連人権高等弁務官のフォルカー・テュルク氏は「集団処罰は国際法の重大な違反だ」と述べています。

🟢 アメリカのトランプ大統領は28日、自身の支持表明がネタニヤフ氏の数字を押し上げたと主張しました。選挙結果については「引き分け、あるいは勝利かもしれない」と述べ、ネタニヤフ氏とはまだ話していないとしています。

総選挙の結果 第26代クネセト(Knesset、イスラエル国会)の勢力図

🟢 以下はイスラエル時間28日午後の中央選挙管理委員会集計にもとづく暫定議席です。開票が進むにつれて数字は動いており、確定集計は30日(金)、正式公表は11月4日の予定です。

陣営 政党 議席 合計
与党ブロック リクード(ネタニヤフ氏) 26 53
シャス(超正統派) 7
統一トーラー・ユダヤ主義 7
オツマ・イェフディト(ベングビール氏) 7
宗教シオニズム党(スモトリッチ氏) 6
野党ブロック ヤシャル(アイゼンコット氏) 21 48
ビヤハド(ベネット氏・ラピド氏) 12
民主党(ゴラン氏) 8
イスラエル・ベイテヌ(リーベルマン氏) 7
アラブ系政党 統一アラブ名簿(ジョイント・リスト) 12 19
ラアム(アッバス氏) 7

※ 出口調査および開票初期にはアルジャジーラが54対47対19、ハアレツが56対64などの数字を報じており、集計の進行とともに変動しています。本表は28日午後の中央選挙管理委員会データにもとづくエルサレム・ポスト報道です。

🟢 投票率は77.7%で、1999年以来の高さでした。2022年の前回選挙から7.1ポイント上昇しています。軍内の投票率は現地時間午後5時の時点で68%を超え、6万人以上が投票のために国外から帰国しました。

🟢 最大の変化はアラブ系政党です。現在の10議席から19議席へとほぼ倍増し、過去最高水準に達しました。アラブ系住民が多い町では28日未明に花火が上がったと報じられています。🔵 ベングビール国家安全保障相が戸別訪問で票を掘り起こす一方、アラブ系有権者の投票率が跳ね上がったことが、与党ブロックが過半数に届かなかった直接の要因です。ネタニヤフ氏陣営がアラブ系有権者を警戒する形で展開した選挙運動が、かえって動員につながったという見方が現地報道で出ています。

連立交渉は42日間 組閣できなければ再選挙

🟢 イスラエルでは有権者は政党に投票し、政党が連立を組んで首相を立てます。単独で61議席を取った政党はこれまで一度もありません。確定集計の後、ヘルツォグ大統領が各党首と協議し、組閣の見込みが最も高いと判断した人物を指名します。指名を受けた人物には最大42日間が与えられます。

🟢 ネタニヤフ氏とアイゼンコット氏による挙国一致内閣は現状では見込みが薄い状況です。アイゼンコット氏はネタニヤフ氏の下で閣僚を務めることも、首相を交代で務める「ローテーション政権」も拒否しています。野党ブロックの他の党首も、ネタニヤフ氏が率いる連立への参加を否定しました。

🟢 民主党のヤイル・ゴラン党首は28日、アラブ系政党を含めれば野党側は65議席になると主張しました。「ネタニヤフは負けた。私は120まで数えられる。65は55より多い。イスラエルの民主主義とはそういうものだ」と述べ、アラブ系市民との連携による「変革政権」を呼びかけています。

🟢 統一アラブ名簿のユーセフ・ジャバリーン代表はX(旧ツイッター)で、ネタニヤフ政権を退場させる道を開く用意があると表明しました。同会派のアフマド・ティビ議員は軍放送に対し、野党ブロックに勇気があれば組閣は可能であり、手を差し伸べる用意があると語っています。ラアムのマンスール・アッバス党首も、野党側と自党で61議席に届くことを期待すると述べました。

🔵 ここに最大の矛盾があります。アイゼンコット氏もネタニヤフ氏も、これまでアラブ系政党との連立を明確に否定してきました。つまり両陣営とも、数字の上では鍵を握っている19議席に手を出せない構造にあります。元イスラエル外交官のアロン・ピンカス氏はアルジャジーラに対し、必要なときだけ票を当てにして普段は蚊帳の外に置くやり方には代償が伴うと指摘しています。少数与党政権、交代制の首相職、そして再選挙。現時点で残っている選択肢はこの三つです。組閣に失敗すれば、ネタニヤフ氏の現内閣が暫定政権として残ります。

ネタニヤフ氏の動向と発言

🟢 ネタニヤフ氏は出口調査の公表後、エルサレムの支持者集会で「リクードが最大政党だ。誰も我々には対抗できない」と述べ、「国民的右派政権」の樹立を呼びかけました。右派ブロックには決定的な多数があるとも主張しています。挙国一致内閣には言及しませんでした。

🟢 同氏はさらに、イスラエルのテレビ各局が野党有利の予測を流すことで自陣営の支持者の投票意欲をそごうとした、と批判しました。アラブ系政党との連立については「恥であり不名誉だ」と明確に否定しています。

🟢 ネタニヤフ氏は収賄・詐欺・背任の3件で起訴され、2020年から公判が続いています。現職首相として裁判を受けた初のケースです。2025年11月に大統領恩赦を申請しましたが罪は認めておらず、ヘルツォグ大統領は2026年4月、恩赦を判断する前に司法取引の努力を尽くすべきだとして判断を先送りしました。恩赦は出ていません。

🔵 この裁判が、組閣交渉の裏側を規定しています。公判中の身では国会議員や閣僚を務めることができないため、ネタニヤフ氏にとって政界に残る道は首相職しかない、というのが現地アナリストの共通した見立てです。首相でいられなくなった瞬間に政治生命が終わる構造になっているため、同氏が「引き分け」以上の譲歩に応じる動機は乏しいことになります。

🟡 極右勢力との関係も不安定です。ベングビール国家安全保障相は10月18日、ネタニヤフ氏がヨーロッパ各国の高官に対し、次期政権にオツマ・イェフディトを入れないと約束したと主張しました。リクードはこれを「スピン」だと否定し、ネタニヤフ氏はその後のロドでの集会で、ベングビール氏は次期政権に入り閣僚ポストを得ると述べています。🟢 一方でネタニヤフ氏は選挙戦で、ベングビール氏が国家安全保障相に留任することも、同氏が求めていた国防相ポストを得ることもないと公言しました。

🟢 スモトリッチ財務相は支持者に対し、自党が7議席を獲得する見込みだと述べ、ヨルダン川西岸での入植地拡大を続けると改めて表明しました(暫定集計では6議席)。ベングビール氏は「政治地図に存在すらしていなかった政党だ」と自党の歩みを誇りました。

ガザ地区 「停戦」下で死者1500人超

🟢 アメリカが仲介した停戦が2025年10月10日に発効してから1年が経ちましたが、死者は増え続けています。以下は発表機関ごとの数字です。出典が異なるため完全には一致しません。

時点 内容 発表元
10月27日までの24時間 死者6人、負傷32人 ガザ保健省
10月25日時点 停戦後の死者1554人、負傷5573人 ハアレツ(ガザ保健省集計)
10月22日時点 停戦後の死者1538人、負傷5498人 アルジャジーラ(ガザ保健省集計)
9月29日〜10月12日 死者57人、負傷319人 国連人道問題調整事務所
2023年10月以降の累計 死者7万4561人、負傷17万5727人 ガザ保健省(10月27日)
停戦後の頻度 平均90分に1人が死亡または負傷 イスラミック・リリーフ

🟢 直近の個別事案です。10月25日、ガザ市のイスラム大学の建物への攻撃で3人が死亡しました。26日には、ハンユニス西部のアルマワシ地区にある避難民キャンプへの空爆で7歳の少女を含む4人が死亡し、同日ガザ市レマル地区へのドローン攻撃で1人が死亡しています。パレスチナ民間防衛隊のマフムード・バサル報道官は、26日までの24時間で11人が死亡し50人が負傷したと述べました。

🟢 27日には、北部ジャバリア難民キャンプで28歳の男性が射殺され、ラファのアルマワシ地区ではドローン攻撃で1人が死亡しました。イスラエル海軍の艦艇が、ガザ市西部のシャティ難民キャンプ付近の海岸に向けて実弾と砲撃を加えたとも報じられています。🟡 同日には、アルマワシで撃たれて負傷していた6歳の少女が死亡しました。

🟡 イスラエル国防軍は、26日までの週末にハマスおよびイスラム聖戦の構成員を殺害したと発表しています。軍は個別の攻撃対象について「テロ工作員」だったとする声明を出す一方、停戦発効後に実施した攻撃の総数や殺害したとする人数の全体像は公表していません。

🟢 支配地域も動いています。国連の調査委員会によれば、イスラエルの実効支配はガザ全体の53%から少なくとも60%へと拡大しました。26日には、中部デイル・アルバラ東部で戦車と装甲ブルドーザーが「イエローライン(Yellow Line、停戦で引かれた管理境界の通称)」の西側へ前進したと、現地の治安筋がAFPに証言しています。

国連調査委員会の認定と、崩れたままの医療・住環境

🟢 国連の独立調査委員会は10月26日、停戦後もイスラエル軍による「ジェノサイド(集団殺害)行為」が続いているとする報告書を公表しました。委員会は、イエローライン付近に近づいたり越えたりしたパレスチナ人への発砲で、少なくとも196人(うち子ども43人)が死亡したとしています。ヨルダン川西岸についても、戦争犯罪と人道に対する罪、および「絶滅行為」に当たると認定しました。

🟢 同委員会は、ヨルダン川西岸での空爆による死者が2008年から2023年10月6日までの15年間で6人だったのに対し、2023年10月7日から2026年9月30日までの約3年間で254人に達したとしています。ハマスはこの報告書を歓迎し、責任追及を求めました。イスラエル政府は従来、この委員会の活動を反イスラエル的だとして一貫して否定しています。

🟢 人道状況の指標も改善していません。イスラエルの人権医師団の報告によれば、停戦から1年が経った時点で、ガザにある36の病院のうち完全な稼働状態にあるものは一つもありません。国連人道問題調整事務所は、100万人近くが冬の洪水リスクにさらされており、資金不足によって食糧支援プログラムの大幅な削減を余儀なくされていると警告しています。

🟢 10月10日の停戦1年の節目には、人道・人権団体など100以上の組織が共同声明を出し、この停戦は「名ばかりのもの」だと述べました。🔵 1年で1500人超という数字は、停戦前の最も激しい時期と比べれば低い水準です。ただし「停戦」という言葉が通常意味するもの、つまり戦闘の停止とは明らかに異なる状態が続いているということでもあります。

ヨルダン川西岸 ヘブロン封鎖で5000人が自宅を失う

🟢 発端は10月23日(金)でした。ヘブロン近郊の軍検問所でパレスチナ人の武装した2人が発砲し、イスラエル兵2人が死亡、3人が負傷しました。ネタニヤフ首相はヨルダン川西岸全域の「完全封鎖」を命じ、軍・警察・治安機関による大規模な「対テロ作戦」が始まりました。

🟢 避難を強いられた人の数は日を追って増えています。25日時点でパレスチナ当局が2700人以上(うち数百人は子ども)、26日に国連が3000人超、27日にニュー・アラブが5000人近くと報じました。ヘブロン市のユーセフ・ズハイル・アルジャバリ市長は、市へのすべての出入口が封鎖され、人々は市内に入ることも出ることもできず、生活のあらゆる面が影響を受けていると述べています。

🟢 作戦の中心はデイル・バッハとアルジャルダ地区で、数十棟の建物が解体されました。27日には住民が抗議集会を開きましたが、軍は作戦継続のためとしてスタングレネードを使って解散させました。アルジャジーラの取材班も、ファルシュ・アルハワ検問所付近で解体作業を撮影中にスタングレネードを撃ち込まれています。テュルク国連人権高等弁務官は「集団処罰は国際法の重大な違反だ」と声明を出しました。

🟢 オリーブ収穫期と重なったことで、入植者による襲撃も激増しています。パレスチナ入植地・分離壁抵抗委員会は10月だけで、イスラエル軍または入植者によるオリーブ農家・農地・樹木・農機具への襲撃を409件記録したとしています。国連人道問題調整事務所の集計では、2週間でヨルダン川西岸のパレスチナ人5人が死亡、240人以上が負傷し、収穫関連の入植者襲撃160件で人的・物的被害が出ました。記録的な件数の家屋解体により96人が住居を失っています。

🟢 10月17日には、オリーブ農家を訪問していたヨーロッパの外交官らが、タイベ村近くで入植者に暴行を受けました。フランスの市長も含まれています。🔵 ヘブロンはパレスチナ経済の中心都市の一つです。ガザ戦争で疲弊した西岸経済にとって、この封鎖と解体の影響は軍事作戦の期間を超えて残ります。南部ヘブロン地域では入植者がパレスチナ住民の土地を整地してテントを張り、新たな拠点の設営を進めているとも報じられています。

検証 「イスラエルとイランが戦争になる」という噂について

🔵 まず前提を整理します。「これから戦争になるかもしれない」という噂の形で流通していますが、イスラエル・アメリカとイランの戦争は2026年2月28日にすでに始まっており、10月27日で開戦242日目です。噂ではなく、進行中の事実です。検証すべきは「開戦するかどうか」ではなく、「大規模な攻撃の第二ラウンドがあるかどうか」です。

🟢 経緯です。6月17日にパキスタンの仲介で米・イラン両大統領が戦争終結の覚書に署名しましたが、7月8日にイランがホルムズ海峡で商船への攻撃を始めたことで停戦は崩壊しました。その後は全面的な戦闘ではなく、海上での妨害と経済封鎖を中心とした低強度の対立が続いています。10月22日にはイスラム革命防衛隊が、湾内で4隻のタンカーを攻撃し、さらに3隻が機雷に接触したと主張しました。

🟢 一方で、イランの核施設への攻撃は7月7日を最後に報告されていません。10月26日から27日にかけて、アメリカ・イスラエルによるイラン領内への攻撃も確認されていません。つまり、戦闘の実体は「止まってはいないが、拡大もしていない」状態です。

🟡 第二ラウンドをめぐる報道は、いずれも匿名情報にもとづくものです。英フィナンシャル・タイムズは10月21日、ネタニヤフ氏が10月初めに軍へイランへの新たな攻撃準備を指示したが、トランプ大統領がアメリカの中間選挙前の再開に反対したと報じました。ニューヨーク・タイムズは、ヘグセス国防長官が訪問先のイスラエルでネタニヤフ氏と攻撃再開について協議し、エネルギー施設・核施設・ミサイルおよびドローン兵器が候補に挙がったと報じています。🔵 どちらも当事者による公式確認はなく、現時点では「準備されているが実行されていない計画」として扱うのが妥当です。

🟢 公の発言は強硬です。ネタニヤフ氏は選挙戦で、トランプ氏とともに「イランの核の脅威を恒久的に取り除く」と述べ、必要ならアメリカとは独立して行動する用意があるとしました。敵を打倒するために必要な作業の9割は完了したとも主張しています。トランプ大統領は10月27日、イランとの停戦は「時間の無駄」であり戦争は間もなく終わると述べ、ナタンズ核施設近くの地下施設「ピッケル山(Pickaxe Mountain)」への攻撃に言及しました。

🟢 イラン側も応じています。軍参謀長のアリ・アブドラヒ氏は、新たな攻撃があれば「これまでとは異なる、より厳しい」対応になると警告しました。イスラム革命防衛隊の報道官は、自国のエネルギー関連施設が標的にされた場合、イスラエルに壊滅的な報復を行うと述べています。最高指導者が編集長を任命する保守系紙ケイハンは、地下施設が攻撃された場合はイスラエルの核施設を狙うべきだと主張しました。

🟢 外交も動いています。10月26日、サウジアラビア・パキスタン・トルコが2026年8月に結んだ「メッカ共同防衛協定」の代表団がテヘランでイラン高官と会談し、新たな米・イラン停戦について協議しました。サウジのハリド・ビン・サルマン国防相、パキスタンのアシム・ムニル陸軍参謀長、トルコ国家情報機構のイブラヒム・カリン長官が出席しています。

🟢 レバノン方面にも火種があります。レバノンの治安筋はロイターに対し、ヒズボラが6月の停戦以降、イランからの資金で指揮統制系統・ドローン・爆発物の再建を進めており、イスラエルとの戦争の可能性に備えて3か月間準備を続けてきたと述べました。🔵 選挙後のイスラエルが暫定政権状態に入るなら、少なくともその期間は大規模な新作戦を始めにくくなります。逆に言えば、組閣が決着した直後がもっとも注意すべきタイミングです。

シリアとトルコ もう一つの前線

🟢 トルコ外務省は10月5日、声明第190号を公表し、イスラエルがクネイトラのいわゆる「スファ53ライン」沿いで活動を再開して1974年の兵力引き離し協定を損なおうとしていると強く非難しました。シリア領内に新たな既成事実を作る試みだとして、国際社会に対しイスラエルの撤退を実現する措置を求めています。

🟢 緊張が表面化したのは8月18日です。イスラエル空軍がシリア北西部のアブ・アルドゥフール空軍基地を攻撃しました。トルコ外務省は声明第160号でこれを「シリアのインフラと能力を直接標的にした無謀な侵略の継続」と非難しています。トルコとシリアは同基地へのトルコ軍部隊の展開計画を否定しましたが、攻撃の数日前にトルコ軍将校が軍事協力のため同基地を訪問していたことは認めました。

🟢 エルドアン大統領は10月20日の演説で、イスラエルがシリアを不安定化させようとしていると述べ、トルコが「火の輪」に囲まれていると警告しました。署名された合意にもかかわらずパレスチナへの攻撃が続いているとも批判しています。

🟢 トルコとイスラエルの関係は事実上断絶しています。トルコは経済関係を断ち、イスラエル船の入港と領空通過を禁止しました。イスラエルはトルコから外交要員を引き揚げ、アンカラの大使館は閉鎖されたままです。🔵 アメリカのトム・バラック駐トルコ大使がアブ・アルドゥフール攻撃を「地域の安定を前進させない不必要なエスカレーション」と批判したことは注目に値します。アメリカの同盟国同士が、シリア上空で衝突回避メカニズムすら持たないまま向き合っている状態です。

アメリカとEUの公式姿勢

🟢 トランプ大統領は28日朝、自身のソーシャルメディアに、アーヴィング・シュワルツ氏の発言を引用する形で投稿しました。自分がネタニヤフ氏を支持したことで流れが完全に変わり、決定的な敗北になるはずだったものが「大逆転の引き分け、あるいは勝利」になったという内容です。その後、記者団には「出口調査の数字は間違っていたと聞いている」「現時点ではまだ早いが、引き分けか勝利のように見える」と述べ、ネタニヤフ氏とはまだ話していないとしました。

🔵 アメリカの大統領がイスラエルの選挙で特定の候補への選好を公言したのは、これが初めてです。選挙前にはトランプ氏が、ネタニヤフ氏が政権を維持できなければ「アメリカが自分たちでこの仕事をしなければならなくなる」とも述べており、イランをめぐる次の判断と選挙結果が明示的に結び付けられました。

🟢 EUは10月15日、国連安全保障理事会の中東公開討論で加盟国を代表する声明を発表しました。ハマスなど非国家武装勢力の恒久的な武装解除、イスラエル軍のガザからの完全撤退、そして暫定的な国際安定化部隊の展開を求める内容です。ガザの民間人の死者数は「容認できない」と明記しました。EUはラファ国境支援ミッションとパレスチナ警察支援ミッションを通じて和平計画の実施に貢献する用意があるとしています。

🟢 EUはまた、イスラエルがガザ領域の70%を管理するとした方針を明確に拒否し、東エルサレムを含むE1地区での入植地拡大の撤回を求めています。国際法上違法であるという立場です。人道支援についてはキプロス海上回廊を含む即時かつ妨げのないアクセスと、国連機関(パレスチナ難民救済事業機関を含む)が独立して活動できる環境の確保を要求しました。

🔵 EUの要求とガザの現状との距離は、この1年でほとんど縮まっていません。撤退どころか支配地域は53%から60%に拡大し、国際安定化部隊の展開も実現していません。ベングビール氏が「ヨーロッパ各国への約束」を暴露した件が事実なら、EUの圧力がイスラエル国内政治に一定の作用を及ぼしてはいることになりますが、現時点では本人の主張にとどまります。

これから1週間で見るべきポイント

1. 10月30日(金)の確定集計 兵士票と在外票の反映で議席が1〜2動く可能性があります。与党ブロックが54〜55まで伸びるか、野党側が49に乗るかで、交渉の力関係が変わります。正式公表は11月4日です。

2. ヘルツォグ大統領の指名 各党首との協議を経て誰を指名するか。指名後は42日のカウントダウンが始まります。

3. アラブ系19議席の扱い 野党ブロックがこの19議席と公式に組むかどうかが、イスラエル政治の最大のタブーに触れる判断になります。ゴラン氏とティビ氏はすでに扉を開けていますが、アイゼンコット氏の姿勢はまだ明確ではありません。

4. ヘブロン作戦の終結時期 選挙前に始まった作戦が選挙後も続くかどうかは、暫定政権の裁量の広さを測る指標になります。

5. アメリカ中間選挙後のイラン 11月のアメリカ中間選挙が、報じられている「攻撃再開の時期的制約」の節目とされています。選挙後の数週間が焦点です。

🔵 最後に一つ。今回の選挙では投票した有権者の3分の2以上がネタニヤフ氏の与党ブロック以外に投票しました。それでも同氏は最大政党の党首であり、現職の首相であり、組閣に失敗した場合は暫定首相として残ります。選挙は終わりましたが、誰が決定権を握っているかという問題は、まだ何も決着していません。

参照した一次情報・国際報道

アルジャジーラ/ロイター/AFP/AP通信/CNN/CBSニュース/ユーロニュース/エルサレム・ポスト/ハアレツ/タイムズ・オブ・イスラエル/ニュー・アラブ/アナドル通信/TRTワールド/タイム誌/英フィナンシャル・タイムズ/ニューヨーク・タイムズ(報道内容の引用)/イラン・インターナショナル

公式発表:イスラエル中央選挙管理委員会/イスラエル首相府/イスラエル国防軍/ガザ保健省/パレスチナ民間防衛隊/国連人権高等弁務官事務所/国連人道問題調整事務所/国連独立調査委員会/欧州対外行動庁および欧州理事会/トルコ共和国外務省(声明第160号・第190号)/アメリカ大統領の公開投稿

※ 本記事は日本国内メディアの報道を参照せず、欧州・中東・アメリカの報道機関および各国政府・国際機関の公表資料のみを突き合わせて作成しました。死傷者数は発表機関によって集計方法と時点が異なるため、数字を併記しています。開票途中の議席数は確定値ではありません。

  • この記事を書いた人

はぼぞう

旅と砂漠と写真と女性を愛する60歳ちょっと過ぎたの「元金融系システム屋」です。 現在は、社内SEのアルバイト件システム構築やってます。 シンガー 森口博子とアーティスト 中村中の大ファン

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