ウクライナ・ロシア戦争 2026年09月28日 速報|モスクワ大規模ドローン攻撃と「相互エネルギー停戦」提案、原油高騰の連鎖
最終更新:2026年09月28日(JST)/本記事はアルジャジーラ(Al Jazeera)を軸に、CNN・FOX・BBC・AFP・ロイターの報道と、ウクライナ・ロシア・米国・イラン各当局の公式発表を突き合わせて構成しています。日本国内メディアの報道は判断材料から除外しています。
2026年09月28日(日本時間)速報サマリー
信頼度ラベルの見方:🟢=複数ソースで確認済み/🟡=単一ソースまたは当事者の公式主張/🔵=編集部による分析・解説。各段落の冒頭に付けています。日付は原則として現地報道の日付で、時刻が分かるものは(JST)で🔵日本時間を併記しています。
🟢 直近の焦点は「攻撃の応酬」と「動き出した外交」が同時進行している点です。9月26日にはロシアとウクライナの相互攻撃で少なくとも計10人が死亡したとアメリカ・ABCやワシントン・タイムズなど複数の海外メディアが報じました。内訳は、ロシアの攻撃によるウクライナ側の死者が4人、ウクライナの攻撃によるロシア側支配地域(ザポリージャ)で3人、ロシア南部クラスノダール地方で3人です。前線が大きく動くというより、後方のインフラと市民生活を狙い合う消耗戦の様相が続いています。
🟢 その一方で、9月22日の国連総会(ニューヨーク)を機に、米国を仲介役とした対話の可能性が改めて浮上しました。ゼレンスキー大統領とトランプ大統領は約40分間会談し、ゼレンスキー氏は「相互エネルギー停戦」を提示。プーチン大統領も和平案の存在自体は否定していません。ただし双方の前提条件には大きな隔たりがあり、停戦合意には至っていません。
🔵 編集部の見立てとして、いま最も注視すべきは「戦場」と「市場」の連動です。ウクライナがロシアの製油所を狙う戦術は、ロシアの戦費を削る効果を狙う一方で、世界のディーゼル・原油需給を引き締める副作用を生んでいます。ここに米イランのホルムズ海峡危機が重なり、原油価格は年初来で6割近く上昇しました。ウクライナ戦争が「ローカルな地上戦」から「グローバルなエネルギー戦」へと性格を変えつつあることが、今回のサマリーの通底したテーマです。
主な動きの時系列(日本時間)
| 日付 | 主な出来事 |
| 9月16日 | 米下院が「リンゼー・グラム対ロシア制裁法」を可決し大統領へ送付(上院は8月7日に86対11で可決済み)。 |
| 9月20日 | ロシア議会選の最終日に、ウクライナがモスクワへ過去最大級のドローン攻撃。モスクワ地域で少なくとも3人死亡、主要製油所が損傷。 |
| 9月22日 | 国連総会でトランプ・ゼレンスキー会談(約40分)。ゼレンスキー氏が「相互エネルギー停戦」を提案、パトリオット追加を要請。 |
| 9月24日 | ロシア軍のミルMi-8ヘリがカリーニングラードからポーランド領空へ42秒間侵入。ポーランドが戦闘機を緊急発進。 |
| 9月25日 | ロシアの攻撃でウクライナ6州に新たな停電。プーチン大統領が「和平案は全てテーブル上にある」と発言(25〜26日)。 |
| 9月26日 | 相互攻撃で計10人死亡。トランプ大統領が「取引しろ」と両首脳に呼びかけ。 |
| 9月27日 | ゼレンスキー大統領「ロシアに戦争終結の意思なし。国際圧力の強化を」。トランプ大統領がSNSで対NATOの動画を投稿。 |
ウクライナによるロシア攻撃(ドローン等)
🟢 今回の局面を象徴するのが、9月20日にウクライナが仕掛けたモスクワへの大規模ドローン攻撃です。ロシア国防省とアルジャジーラの報道によれば、9月19日(土)以降にロシア側が迎撃したドローンは1,600機超に達し、うち約450機がモスクワに向けられました。この攻撃はロシアの3日間の議会選挙の最終日にあたり、モスクワのソビャニン市長は「選挙妨害を狙って明確に計画された前例のない攻撃だ」と非難しました。
🟢 標的は軍事施設だけではありません。モスクワの主要な製油所が損傷し、21階建ての集合住宅も被弾して約400人が避難したと報じられています。ゼレンスキー大統領は「ロシアの主要な石油関連施設が攻撃された。これは戦争マシンを支える数十億ドルにあたる」と述べ、攻撃がロシアの戦費に打撃を与える狙いであることを明確にしました。アルジャジーラのモスクワ特派員は「この4年半の紛争で、これほど大きな数字は見たことがない」とコメントしています。
🟢 攻撃はその後も続いています。9月26日にはロシア南部クラスノダール地方の2つの工業施設で火災が発生し、イリスキー製油所が標的になったと現地のコンドラチェフ知事が認めました。同日の攻撃だけでクラスノダール地方で3人が死亡しています。ウクライナは前線から離れた後方のエネルギー拠点を長距離ドローンで狙う戦術を強め、ロシアの石油精製能力そのものを削りにかかっています。
🔵 編集部の分析では、この「製油所ハンティング」はウクライナにとって諸刃の剣です。ロシアの外貨収入と国内燃料供給を同時に圧迫できる一方、後述のとおり世界の燃料価格を押し上げ、仲介役であるトランプ政権の不満を招く要因にもなっています。攻撃の規模が「過去最大級」を更新し続けている点は、ウクライナが数の面で攻勢を維持していることを示す一方、ロシアの防空を飽和させる消耗戦の激しさも物語っています。
ロシアによるウクライナ攻撃と市民生活
🟢 ロシア側も連日、ミサイルとドローンでウクライナ全土を攻撃しています。9月26日にはウクライナ側で少なくとも4人が死亡。ザポリージャでは住宅の倒壊で女性2人が、スーミでは2人が命を落とし、首都キーウでも住宅・オフィスビルに被害が出て複数の負傷者が確認されました。ロシア軍は巡航ミサイル、弾道ミサイル、滑空爆弾、ジェット推進型ドローンを組み合わせて使用しているとみられます。
🟢 市民生活への直接的な打撃は、電力インフラへの攻撃という形で表れています。ウクライナの送電会社ウクレネルゴは9月25日、ロシアの攻撃によりドニプロペトロウシク、ドネツク、ザポリージャ、ハルキウ、オデーサ、ミコライウの6州で新たな停電が発生したと発表しました。同社は「早朝に新たな停電が確認され、緊急の修復・復旧作業がすでに進行中だ」と説明しています。悪天候の影響も重なり、スーミ・ポルタバ両州では約150の集落が停電しました。
| 日付 | 地域 | 主な被害(ウクライナ側) |
| 9月20日 | キーウ州ほか | 子ども3人を含む4人死亡、5地区で31か所が損壊 |
| 9月25日 | 6州(ドニプロ等) | エネルギー施設攻撃で広域停電、消費は前日比5.3%減 |
| 9月26日 | ザポリージャ/スーミ/キーウ | 計4人死亡(女性2人・スーミ2人)、首都で複数負傷 |
🔵 冬を前にした電力網への攻撃は、過去2回の冬と同様、市民にとって最も過酷な局面になり得ます。ウクレネルゴが「高出力の家電は太陽光発電が効率的に働く11時〜15時に使い、16時〜22時は同時使用を避けて」と具体的に呼びかけている事実は、電力が「いつ使えるか分からない資源」になりつつある現実を映しています。編集部としては、今後の停電の頻度と各国の防空支援(特にパトリオット供与)の進み具合が、この冬の市民生活を左右するとみています。
ゼレンスキー大統領・キーウの動き
🟢 ゼレンスキー大統領は9月22日、国連総会に合わせてニューヨークでトランプ大統領と約40分会談しました。会談後の発言でゼレンスキー氏は「我々はエネルギー停戦の用意がある。ロシアが我々のディーゼルや製油所を攻撃しないのであれば」と述べ、相互停止を条件とする「エネルギー停戦」を提示。同時に、冬に向けたパトリオット地対空ミサイルの追加供与を要請し、ドイツ向けの将来分と米国の在庫分を融通し合う案も提案しました。
🟡 一方でゼレンスキー氏は、対ロシア圧力を緩めるべきではないと繰り返しています。9月27日に公開した動画メッセージでは「ロシア指導部には戦争を終わらせる真剣な意思が見えない」「モスクワは従来の戦略をなぞっている」と指摘。米議会を通過した「リンゼー・グラム法」などの経済的な圧力の枠組みを挙げ、国際的な圧力メカニズムの拡大を求めました。これは当事者本人の公式主張として受け止める必要があります。
🔵 発言を並べると、ゼレンスキー氏の戦略は「停戦の入り口は開けておくが、圧力は緩めない」という二段構えに見えます。エネルギー停戦の提案は、市民の電力を守りつつ国際世論に「和平に前向き」と示す狙いがあり、他方でロシア攻撃を止める条件を「ロシア側の停止」に紐づけることで、主導権を手放さない構図です。ゼレンスキー氏が「10月は外交活動が活発になる」と予告した点からも、当面は軍事と外交を同時に動かす展開が続きそうです。
プーチン大統領・モスクワ/ロシア国内
🟡 プーチン大統領は9月26日、和平交渉について「(提案は)全てテーブルの上にある。全て可能だ。だが彼らがやった全てのことを踏まえれば、我々が何をすべきかは慎重に考えねばならない」と発言しました。これはロシア大統領本人の公式主張です。対話の可能性は否定しないものの、直ちに交渉に応じる姿勢ではなく、あくまで「報復と条件付き」であることが読み取れます。
🟡 プーチン氏はまた、ウクライナ側の攻撃を強い言葉で非難しました。「始めたのは彼らの方だ。あらゆる前線で。これは子どもの遊びか」「彼らにはロシアの報復攻撃を思い知らせ、いかなる挑発も結果を生まないと理解させるべきだ」と述べ、議会選のさなかにモスクワが攻撃されたことが交渉の機運を損なったとの認識を示しました。強硬な報復論と交渉容認論が同居している点が、現在のロシアの公式スタンスの特徴です。
🔵 編集部の見立てでは、プーチン氏の「テーブル上にある」という言い回しは、交渉の扉を開けたというより、交渉の主導権とタイミングを自分の手元に置くための表現に近いと考えられます。選挙という国内事情の直後であること、そしてウクライナの製油所攻撃が国内燃料供給に影を落としていることを踏まえると、ロシアは軍事的な報復を先行させつつ、和平の枠組みでは「時間を稼ぐ」戦術を取る可能性があります。
NATOとロシアによるウクライナ以外への圧力
🟢 戦火の周縁で、NATO加盟国の空域を巡る緊張が高まっています。9月24日には、ロシア軍のミルMi-8ヘリコプターがカリーニングラード方面からポーランド領空へ約350ヤード(約320メートル)、42秒間にわたって侵入。ポーランド軍が戦闘機を緊急発進させました。前日23日にはポーランド機がバルト海上空でロシアのイリューシンIl-20偵察機を迎撃、24日早朝にはルーマニアがウクライナ方面から飛来した不明機に対しF-16戦闘機2機を発進させています。
🟡 ポーランドのコシニャク=カミシュ国防相は「これらは孤立した事案ではなく、恒常的な圧力の一要素だ」と警告。トゥスク首相も、ロシアが「事故」を装ってドローンやミサイルをNATO領内に飛ばし、同盟の結束を揺さぶる可能性があるとの情報に言及しました。一方でエストニアのツァフクナ外相は「ロシアの軍はウクライナにいる」と述べ、NATOへの差し迫った攻撃を過度に警戒することには慎重な見方も示しています。
🔵 編集部としては、こうした領空侵犯が偶発か意図的かの判断は現時点で確定できず、続報を要すると考えます。ただ、頻度が増していること自体が、戦争がウクライナ一国の問題にとどまらず、ヨーロッパの安全保障全体に波及していることを示す重要なシグナルです。NATOの防空即応態勢がどこまで「試されている」のかは、今後の焦点となります。
外交:米国の仲介とトランプ大統領のSNS投稿
🟢 トランプ大統領は仲介役として前面に立っています。9月26日には両首脳に対し「取引しろ。彼(ゼレンスキー氏)にはプーチン氏と決着をつけてほしいし、プーチン氏にも彼と決着をつけてほしい」と述べ、早期の合意を促しました。ただし過去には「両国がエネルギー施設への攻撃停止で合意した」とトランプ氏が主張した直後にキーウ側が「そのような合意は把握していない」と否定するなど、仲介の実効性には不透明さも残ります。
🟡 トランプ氏のSNS発信も活発です。9月27日に投稿された動画では、NATO加盟国、とりわけスペインとの摩擦が取り上げられ、トランプ氏は「NATOは張り子の虎だ。彼らは全く助けにならなかった。むしろ逆で、わざわざ助けないようにしてきた」と述べています。防衛費増額の要求や、米軍の欧州駐留を見直す「NATO3.0」構想への言及もあり、同盟内の温度差が浮き彫りになりました。
🔵 編集部の分析では、トランプ外交は「ウクライナ・ロシア双方に妥協を迫る」姿勢と、「NATO同盟国への負担要求」を同時に進める二正面構成になっています。仲介者でありながら同盟内の結束に揺さぶりをかける手法は、短期的にはロシアに有利に働く可能性もあり、ゼレンスキー氏が国際圧力の維持を訴え続ける背景には、この不確実性への警戒があるとみられます。
原油価格と経済への影響
🟢 戦争の影響が最も分かりやすく世界へ波及しているのが原油価格です。市場データによれば、ブレント原油は9月28日時点で1バレル=105.82ドルと、前日比+1.44%(約1.50ドル高)。月間で+16.94%、年初来では+57.73%という大幅な上昇となっています。全米平均のガソリン価格も1ガロン=4.49ドルと、1か月前の4.10ドルから上がりました。
| 指標 | 直近値 | 変化 |
| ブレント原油 | 105.82ドル/バレル(9月28日) | 前日比 +1.44% |
| ブレント原油(月間) | — | +16.94% |
| ブレント原油(年初来) | — | +57.73% |
| 全米平均ガソリン | 4.49ドル/ガロン | 前月4.10ドルから上昇 |
🔵 この価格上昇の主因は、ウクライナ戦争と米イラン危機の「二重の供給不安」です。ウクライナによるロシア製油所への攻撃はディーゼルの供給を細らせ、そこへ後述のホルムズ海峡を巡る緊張が重なりました。市場ではトランプ政権がディーゼルの輸出制限を検討しているとの観測も流れ、値動きを一段と不安定にしています。ウクライナの一撃が、巡り巡って各国の給油所の価格に跳ね返る——戦争と生活の距離が、かつてなく縮まっていることを示す数字です。
米国・イランをめぐる公式情報
🟡 原油高のもう一つの震源が、ホルムズ海峡を巡る米イランの対立です。トランプ大統領はイランが示した「7日以内の海峡再開」提案を拒否し、「彼らは取引したがっている。ひどく負けているからだ」と主張。米国が海峡を「完全に支配している」とし、この封鎖を「史上最大の封鎖」と表現しました。さらに海峡を「トランプ海峡(Trump Strait)」と名付けた画像を投稿し、「イランは核兵器を持てない」と改めて強調しています。いずれも米側の公式主張である点に留意が必要です。
🟡 イラン側も強硬です。ペゼシュキアン大統領は国連演説の内容を急きょ修正してテヘランの立場を「明確に」擁護したと伝えられ、革命防衛隊(IRGC)の報道官は封鎖解除や資産凍結解除を含む「7つの条件」が満たされるまで戦い続けると表明しました。海峡の商業航行はコンフリクト前より約75%減の水準にとどまり、米中央軍(CENTCOM)は122隻の商船を封鎖手続きのために誘導したとされます。サウジアラビアはホルムズ海峡を通行料なしで元の状態に戻すよう求め、オマーンは仲介を続ける意向を示しています。
🔵 一見するとウクライナ戦争と別個の話に見えますが、両者は原油市場を通じて密接につながっています。ホルムズ海峡の混乱で世界のエネルギー供給に不安が広がるほど、ロシア産原油の相対的な価値が上がり、対ロシア制裁の効き目が鈍りかねません。逆に、米国が中東の火種を早期に鎮められれば、ウクライナ支援やロシアへの経済圧力に振り向ける余力が増します。中東情勢は、ウクライナ戦争の帰趨を左右する「もう一つの前線」として注視すべきです。
まとめ:押さえておきたい3つの注目点
主な参考ソース(海外一次情報)
・アルジャジーラ(Al Jazeera):モスクワへの大規模ドローン攻撃/エネルギー停戦に関するゼレンスキー発言
・ABCニュース:相互攻撃で計10人死亡
・CNN:議会選最終日のモスクワ攻撃
・キプロス・メール(ロイター配信):プーチン大統領の和平案に関する発言
・ウクルインフォルム/ウクレネルゴ:6州で新たな停電
・スターズ・アンド・ストライプス:ロシア機のポーランド領空侵犯
・FOXニュース:ホルムズ海峡を巡る米イラン情勢
・トレーディング・エコノミクス:ブレント原油価格
・トランプ大統領SNS投稿(Trump's Truth):9月27日の動画投稿
取材・数値についての注記:本記事はアルジャジーラを軸に、CNN・FOX・BBC・AFP・ロイター・ABC、およびウクルインフォルムやウクレネルゴなど現地情報、各国当局の公式発表を突き合わせて構成しました。死傷者数や被害規模は発表主体や時点によってばらつきがあり、本記事では確認できた最新の数値を採用しています。「リンゼー・グラム法」については、上院可決(8月7日)と下院送付までは複数ソースで確認できましたが、大統領による署名・成立の有無は本稿時点で確認できず、続報扱いとします。日付は現地報道の日付を基本とし、会談時間など時刻が判明する事象は日本時間(JST)換算の考え方で記載しています。日本国内メディアの報道は判断材料から除外しました。数値・固有名詞に誤りがあれば、続報で訂正します。