【2026年10月29日 速報】(JST:2026/10/29 06:32 時点)
米国・イスラエルとイランの戦争は、2月28日の開戦から約8カ月が過ぎました。ここ数日は「11月3日の米中間選挙のあと、米国が短く激しい攻撃を再開するのではないか」という報道が市場と中東各国を揺らしています。一方で、カタールの仲介案やイランの「7日間計画」など、外交の動きも続いています。ホルムズ海峡、紅海とイエメン、和平交渉、原油価格、イラン国内の暮らしまで、最新の状況を整理しました。
🔵 信頼度ラベルの見方:🟢=複数ソースで確認済み/🟡=単一ソースまたは当事者の公式主張/🔵=編集部による分析・解説。各段落の冒頭に付けています。日付は原則として現地報道の日付で、時刻が分かるものは(JST)で日本時間を併記しています。
きょうのポイント
| 項目 | 最新の状況 |
| 米国の動き | 🟢 中間選挙後の「短期集中型」の対イラン攻撃に備えるよう、湾岸諸国に伝えたと報道(JST:2026/10/28) |
| ホルムズ海峡 | 🟢 商船の通航は事実上止まったまま。10月は船舶への攻撃が開戦以来最多 |
| 原油 | 🟢 ブレント115ドル台、WTI102ドル台で清算(JST:2026/10/29 早朝)。ともに100ドル超え |
| イエメン・サウジ | 🟢 フーシ派がリヤド、タイフ、アデンなどを相次ぎ攻撃。サウジ側の空爆で14人死亡との報道も |
| 和平交渉 | 🟡 カタールが新たな草案を提示と報道。イランは「新提案はない」と否定するなど情報が交錯 |
| イラン国内 | 🟢 年間インフレ率73.6%、食品は前年比121.8%上昇(ロイター) |
米国の動き:中間選挙後の「攻撃再開」報道
🟢 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、米政府が複数の湾岸アラブ諸国に対し、11月3日の中間選挙後にイランへの「短く、激しい」軍事作戦があり得るとして備えるよう伝えたと報じました(JST:2026/10/28)。この報道は、ザ・ナショナル紙、フォックス・ニュース、リグゾーンなど複数の媒体が引用しています。トランプ大統領はまだ最終判断をしていないとされます。
🟢 トランプ大統領は10月27日(現地)、テキサス州での集会から戻る途中、記者団に「イランは取引をしたがっているが、引き延ばしている。選挙を待っているのかもしれないが、それは彼らの助けにはならない」と述べました(JST:2026/10/28)。中間選挙後の攻撃について問われると「何でもあり得る」と答えています。
🟢 ロイターが入手した米国防総省の内部資料によると、イラン戦争の米国の戦費はすでに470億ドルを超え、7月時点の見積もりを25%以上上回りました。最大の項目は弾薬の補充で、290億ドルを超えています(フォックス・ニュース、ABCニュース)。
🟡 ベッセント財務長官は10月27日(現地)、イラン政府の暗号資産(クリプト)を追跡し、凍結していると述べました(JST:2026/10/28)。米中央軍はこれまでに、海上封鎖によってイランの石油輸出収入に250億ドルの損失を与えたと主張しています(アルジャジーラ)。
🟢 米情報機関の10月23日付メモは、イランが国外の米政府関係者を標的にする動きを大幅に強めていると警告しています(アクシオス報道、ABCニュース・アルジャジーラが引用)。アルジャジーラによると、米国はサウジアラビアに駐在する外交官の多くに退避を命じたとも伝えられています(🟡)。
ホルムズ海峡:事実上の「封鎖」が続く
🟢 ホルムズ海峡は商船にとって事実上閉ざされた状態が続いています。英海事貿易作戦機関(UKMTO)は、10月16日までの1週間で少なくとも12件の船舶攻撃を確認し、10月は開戦以来もっとも攻撃が多い月になっています(アルジャジーラ、USニューズ)。
🟡 イラン革命防衛隊(IRGC)は、10月22日夜から23日にかけてタンカー7隻が攻撃を受けたか機雷に触れ、24日には超大型タンカー2隻が機雷に触れたと発表しました。10月27日には、海峡の東側でタンカーが機雷に触れて炎上したとイラン国営メディアが伝えましたが、海事当局による確認はありません。
🟢 通航量のデータは大きく食い違っています。米中央軍は「1週間で400隻、原油1億バレルが通過した」と主張する一方、IMFのポートウォッチ(船舶位置信号=AISに基づく集計)では10月18日の通航はわずか4隻でした。信号を切って航行する船もあるため、実態はこの中間にあるとみられます。タンカーの戦争保険料は戦前の約32倍とされています。
🟡 イラン軍のアブドラヒ参謀総長は、米海軍の艦艇がイラン領海や周辺に近づくことは許さないと警告しました(JST:2026/10/24)。最高安全保障委員会に近いヌール・ニュースは「米国がイランの要求を受け入れた場合に限り、海峡は再開される」と伝えています。イラン国営放送は、米国の海上封鎖の解除を含む条件が満たされれば「4〜5日で再開できる」としています。
🟢 アラブ首長国連邦(UAE)のシャルジャ首長国では、油流出の恐れから海岸が一時閉鎖されました(アルジャジーラ、イラン・インターナショナル)。
原油価格(最新)
| 指標 | 価格(1バレル) | 前日比 | 時点(JST) |
| WTI(米国産・12月物)清算値 | 102.78ドル | +2.9% | 2026/10/29 03:30 |
| ブレント(国際指標・12月物)清算値 | 115.32ドル | +1.3% | 2026/10/29 03:30前後 |
| WTI 時間外(参考・約11分遅れ) | 101.22ドル | +1.32ドル | 2026/10/29 06:40頃 |
| ブレント 時間外(参考・約11分遅れ) | 115.03ドル | +1.15ドル | 2026/10/29 06:40頃 |
🟢 10月28日(現地)のニューヨーク市場で、WTIは2.9%高の102.78ドル、ブレントは1.3%高の115.32ドルで取引を終え、2日続いた下落から反発しました(リグゾーン/ブルームバーグ)。日中は一時2%以上上昇し、アジア時間にはブレントが115.59ドルをつけました(CNBC、ロイター)。WTI・ブレントとも節目の100ドルを上回ったままです。
🟢 上昇の背景は、中間選挙後の米攻撃再開報道と、フーシ派によるサウジアラビアの石油施設への攻撃主張です。ブレントは10月23日(現地)に約117ドルと4月以来の高値をつけています。スイスの金融大手UBSは、ブレントが年末まで110ドル前後で推移すると予想しています(ザ・ナショナル)。
🔵 情報源によって数値に1〜数ドルの差があります(限月の違いや更新の遅れのため)。値動きが速いため、公開時点で再確認をお願いします。
フーシ派とサウジアラビア:紅海・イエメン情勢
🟢 イエメンのフーシ派は、7月に2022年からの停戦が崩れて以降、サウジアラビアへの「海上封鎖」を宣言し、船舶や領土、石油施設への攻撃を続けています。10月26日(現地)には、リヤドのキング・ハーリド国際空港に弾道ミサイルを発射しました(JST:2026/10/26 16:03)。サウジ軍は迎撃し、イエメン国内のミサイル保管・発射拠点を攻撃したと発表しました(ABCニュース)。
🟡 フーシ派は10月27日(現地)、日量55万バレルの処理能力をもつサウジのラスタヌラ製油所を弾道ミサイルで攻撃したと主張しましたが、サウジ側は確認していません。アブハ国際空港へのドローン攻撃も主張していますが、同様に未確認です。
🟢 サウジ主導の連合軍は、10月27日夜から28日朝(現地)にかけて、タイフに向けて発射された弾道ミサイルを迎撃したと発表しました(ザ・ナショナル、フォックス・ニュース)。
🟢 10月28日(現地)には、イエメン政府側の拠点アデンの空港敷地内にフーシ派のミサイルが着弾し、運航が停止しました(AFP、ロイター、アルジャジーラ)。フーシ派のサリー報道官は、空港にサウジ軍の輸送機がいるとして「直ちに退避せよ」と呼びかけていました。同じ日、フーシ派系のアルマシーラは、北西部ジャウフ州の市場とガソリンスタンドへのサウジ側の空爆で14人が死亡、10人が負傷したと報じています(🟡死者数はフーシ派側の発表)。
和平交渉:カタール案・7日間計画・テヘラン協議
🟢 ロイターなどによると、カタールの仲介者が10月25日(現地)、戦争終結に向けた新たな草案をイランに提示し、イランは週末までに回答する見通しとされます。ただしアルジャジーラによると、イラン当局者は28日、カタール案を「受け入れられない」とし、核問題で柔軟性は示さないと述べたと伝えられています。
🟡 一方、イラン・インターナショナルによると、イラン側は「カタールから新たな提案は出ていない」と説明しています。アラグチ外相は、イランが示した「7日間で戦闘を終わらせる計画」について仲介者と「緊密に連絡を取っている」と述べ、国営IRNAは「米国は7日間案を受け入れたが、追加条件を求めた」とする外相の発言を伝えています。
🟢 10月26日(現地)、テヘランでパキスタン、サウジアラビア、トルコ(いわゆる「メッカ防衛協定」の3カ国)とカタールの外交官が、イラン高官と協議しました。サウジからはハーリド・ビン・サルマン国防相が出席しましたが、ロイターによると合意には至りませんでした(アルジャジーラ)。
🔵 国際危機グループのアジジ氏は、最大の壁は「どちらが先に約束を果たすか」という順序の問題だと指摘しています。米国は核の譲歩を先に求め、イランは自国の条件が先に満たされることを求めています。6月に署名された「イスラマバード覚書」はあるものの、交渉は停滞したままです。
欧州・英国の動き
🟡 10月23日(現地)、イスタンブールでトルコ、サウジアラビア、パキスタン、エジプトの外相が、英国、フランス、ドイツ、イタリアと会合を開きました。米国とイランは参加していません。トルコのフィダン外相は「イランへの軍事介入は決して解決策ではない」と述べ、ドイツのワーデフール外相は地域の不安定化の責任はイランとフーシ派にあるとしました(アルジャジーラ)。
🟢 欧州連合(EU)は6月以降、ホルムズ海峡の通航妨害を理由に革命防衛隊海軍などへの制裁を発動・拡大しています。カラス外交安全保障上級代表は「航行の自由は譲れない」との立場を示しています。
🟡 英国では予算責任局(OBR)が、イラン戦争に伴うエネルギー価格の上昇を理由に、2027年のインフレ率見通しを2%から3.4%に引き上げました(イラン・インターナショナル)。
イラン国内:経済・社会・政治
🟢 ロイターが10月28日(現地)に伝えた公式データによると、イランの年間インフレ率は73.6%、9月の消費者物価は前年同月より90%近く高く、食品・飲料は121.8%上昇しました。家賃は32.8%上昇しています。通貨リアルはこの1年で価値の半分以上を失いました。
| 指標 | 数値 |
| 年間インフレ率 | 73.6% |
| 食品・飲料(前年比) | +121.8% |
| 3人家族の最低生活費(月) | 約336ドル |
| 平均月収(自由市場レート換算) | 約92ドル |
| 失業率(春・公式) | 9.1%(15〜24歳は約4人に1人) |
🔵 トランプ大統領は「イランのインフレ率は301%」と述べていますが、イランの公式統計やロイターの報道とは大きな開きがあります。数字の受け止めには注意が必要です。
🟡 各地では年金生活者による経済苦境への抗議も続いています(イラン・インターナショナル、10月18日)。一方、政府は親政府集会を「戦時の市民防衛」と位置づけ、学校には28日夜の集会に生徒を参加させるよう指示が出たと伝えられています。
🟡 モジタバ・ハメネイ最高指導者は3月以降、公の場に姿を見せていません。テレグラムに掲載された記録によると、司法府のモフセニエジェイ代表と米国・イスラエルへの賠償請求について協議しました(ABCニュース)。核分野では、ロシアと小型モジュール炉(SMR)の開発に関する議定書の締結が近いとし、ロスアトムは11月にブシェール原発の建設要員を200人に増やす予定とされます。
米国・イランの公式発表
| 発信元 | 主な内容 |
| 米中央軍(クーパー司令官) | 🟡「海峡を管理しているのは米国と地域のパートナーであり、イランではない」 |
| 米財務省(ベッセント長官) | 🟡 イラン政府の暗号資産を追跡・凍結中 |
| イラン外務省(バガーイー報道官) | 🟡 サウジ、トルコ、パキスタンとの安全保障協議をテヘランで開催と発表(JST:2026/10/26) |
| イラン外務省(アラグチ外相) | 🟡 仲介者と緊密に連絡。地域の安全は外国軍なしで地域国が担うべき |
| イラン革命防衛隊 | 🟡 米国の新たな攻撃にはより強く反撃。民間インフラが再び攻撃されれば海底ケーブルも標的にすると警告 |
トランプ大統領のSNS・発言
🟡 今回の調査では、10月27〜28日(現地)にトゥルース・ソーシャルでイランに関する新たな投稿は確認できませんでした。主な発信は集会や記者団への発言です。
🟡 テキサス州ラボックの集会では「イランは1979年からアメリカに戦争を仕掛けてきた」「(戦争は)私が終わらせたいときに終わる」と述べました。テキサス州の集会では、原油の流れが増えたとして、ホルムズ海峡を自分の名前に改名する案にも触れています(フォックス・ニュース、ANI)。
🟢 トランプ大統領は10月8日(現地)、中間選挙前にはイランを攻撃しないと述べていました(CNN、CNBC、アルジャジーラ)。今回の発言は、選挙後の選択肢を残した形です。
今後の注目点(編集部分析)
🔵 最大の焦点は、11月3日(JST:11/4)の米中間選挙の後に米国が攻撃に踏み切るかどうかです。湾岸諸国への事前通告が報じられたことで、地域では緊張が一段と高まっています。
🔵 次に、イランがカタール案にどう回答するか(週末までの見通し)と、7日間計画をめぐる米国の「追加条件」の中身です。イスラエル総選挙(10月27日)はネタニヤフ首相がアイゼンコット氏をわずかにリードしていますが、組閣の見通しは立っておらず、対イラン政策にも影響しうる要素です(🟡リグゾーン/ブルームバーグ、開票90%超時点)。
🔵 原油は、ホルムズ海峡の通航回復が見えない限り高止まりしやすい状況です。サウジの石油施設への被害が実際に確認されれば、価格がもう一段上がる可能性もあります。
主な出典
Al Jazeera(10/24)/
Al Jazeera(10/28)/
Al Jazeera Live(10/27)/
Al Jazeera(10/17)/
Fox News/
ABC News/
The National/
Rigzone/
OilPrice.com/
RTÉ(AFP・Reuters引用)/
Reuters(イラン経済)/
Iran International/
IRNA/
ANI/
Straits Live/
CNN(10/8)
※本記事は公開情報をもとに編集部がまとめたものです。戦況・価格は刻々と変わるため、最新の情報もあわせてご確認ください。