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日本のニュースに出てこないニュース

2026年11月04日 速報|ロシアがウクライナ全土の電力網を大規模攻撃、キーウ断水 アブダビ3者協議は10日から

最終更新:2026年11月04日(JST)07:00台/本記事はアルジャジーラ(Al Jazeera)を軸に、CNN・FOX・BBC・AFP・ロイターの報道と、ウクライナ・ロシア・米国・イラン各当局の公式発表を突き合わせて構成しています。日本国内メディアの報道は判断材料から除外しています。

この記事のまとめ(3つのポイント)
1 ロシアが冬を前に大規模なエネルギー攻撃。無人機289機・弾道ミサイル17発・巡航ミサイル59発(ゼレンスキー大統領発表)で発電所や変電所を攻撃しました。DTEK社の火力発電所3カ所が止まり、キーウでは断水と路面電車の運休が起きています。前日2日にはザポリージャ州の支援物資配布所への爆撃で少なくとも33人が死亡しました。
2 ウクライナもロシア領内へ過去最大級の無人機攻撃。ロシア国防省は「一晩で856機を撃墜」と発表しました。ヤロスラブリの製油所で火災が起き、クリミアでは停電が広がっています。
3 外交は11月10〜11日のアブダビ3者協議へ。クレムリンは代表団長をメジンスキー大統領補佐官と発表しました。一方、米軍のイラン・ケシュム島攻撃と米中間選挙で原油相場は乱高下しています。ブレント第2限月(2027年2月限)は一時100ドルを割り込み、101ドル台で推移しています。

🔵 信頼度ラベルの見方:🟢=複数ソースで確認済み/🟡=単一ソースまたは当事者の公式主張/🔵=編集部による分析・解説。各段落の冒頭に付けています。日付は原則として現地報道の日付で、時刻が分かるものは(JST)で日本時間を併記しています。

2026年11月04日(日本時間)速報サマリー

🟢 ロシア軍は現地時間11月3日未明(日本時間3日午前)、ウクライナ全土のエネルギー施設に大規模なミサイル・無人機攻撃を行いました。ゼレンスキー大統領はX(旧ツイッター)で「主な標的はエネルギー、つまり発電施設と変電所だった」と書き、標的になった地域としてオデーサ、チェルカースィ、ジトーミル、ビンニツャ、ハルキウ、ドニプロ、チェルニウツィー、チェルニヒウ、リウネの9州を挙げました。アルジャジーラ、フォーブス、ウクライナのTSNは、少なくとも10州でエネルギー施設が被害を受けたと伝えています。ウクライナの送電会社ウクルエネルゴは「1日で20回以上、エネルギー施設が攻撃された」と発表しました。

🟢 民間エネルギー大手DTEKは、稼働中の火力発電所5カ所のうち3カ所が発電を止めたと発表しました。同社は「破壊は大規模だ。発電所は発電を停止した」とコメントしています。キーウでは上水道設備が電源を失って断水が起き、3日夕方からは路面電車とトロリーバスが止まりました。ジトーミル州では3日朝の時点で18万人以上が停電していると、ブネチコ州知事が明らかにしました。

🟢 前日の2日(月)には、南部ザポリージャ州の前線に近い村コミシュワハで、学校跡を使った人道支援物資の配布所と近くの避難所が爆撃されました。ウクライナ側の発表で死者は少なくとも33人、行方不明者は約50人です。韓国SBSがAFP・BBCの報道として伝えたところでは、3トン級の航空爆弾が少なくとも9発投下されました。ゼレンスキー氏は「ロシアがこの戦争で起こした最大級の虐殺の一つ」と非難しています。

🔵 編集部の見方:米国が11月10〜11日のアブダビ3者協議を発表した直後に、大規模攻撃が重なりました。ロシアは交渉前に圧力を強めて、エネルギーと民間の士気という「冬のカード」を交渉材料にしようとしている可能性があります。一方、ウクライナもロシアの製油所への攻撃を強めており、10月中旬に事実上崩れた「エネルギー停戦」を立て直すことが、協議の最初の試金石になりそうです。

主な動きの時系列(日本時間)

日時(JST) 主な出来事
11月2日 午後 🟢 ザポリージャ州コミシュワハの支援物資配布所(学校跡)と避難所を爆撃。死者は少なくとも33人(現地2日・月曜)
11月3日 07:29頃 🟡 トランプ大統領がTruth Socialで、イランとの合意は「起こり得る」と投稿(米東部時間2日17:29)
11月3日 04:59〜11:00 🟡 ロシア国防省が、モスクワへ向かった無人機66機を撃墜と発表(モスクワ時間2日22:59〜3日05:00)。一晩の合計は856機と主張
11月3日 07:35頃 🟡 ラトビア東部バルビ、ルザ両自治体の屋内退避警報を解除(現地00:35)。NATOのバルト領空警備機が緊急発進
11月3日 午前〜昼 🟢 ロシアがウクライナのエネルギー施設を大規模攻撃(キーウ時間3日未明〜朝)。ハルキウの病院で73人が負傷
11月3日 11:48頃 🟢 米軍がイラン南部ケシュム島周辺を限定攻撃したと米メディアが報道(米東部時間2日21:48)
11月3日 20:30 🟢 ベルリンでメルツ独首相がゼレンスキー大統領を軍の儀礼で歓迎し、会談(現地12:30)
11月3日 21:41 🟡 インタファクス通信がペスコフ大統領報道官の発言を配信。「安全保障は相互的でなければならない」、代表団長はメジンスキー氏(モスクワ時間15:41)
11月3日 22:45 🟡 ブレント期近(2027年1月限)が一時100.80ドルまで下落。10月8日以来の101ドル割れ(タス通信、モスクワ時間16:45)
11月4日 03:32 🟡 ウクルインフォルムがゼレンスキー氏のベルリン安全保障会議での演説を配信(キーウ時間3日20:32)
11月4日 04:30 🟢 原油先物の清算値。ブレント1月限103.60ドル(1.17ドル安)、WTI12月限96.09ドル(0.37ドル安)
11月4日 朝 🔵 米中間選挙は投票・開票が進行中で、本稿時点で大勢は判明していません

ウクライナによるロシア攻撃(ドローン等)

🟡 ロシア国防省は、2日夜から3日朝にかけて「固定翼型のウクライナ無人機856機を、15地域とモスクワ州、クリミア、黒海上空で撃墜した」と発表しました。ロシアの週刊紙「論拠と事実(АиФ)」が地域ごとの発表をまとめたところ、ブリャンスク州217機、クルスク州168機、ヤロスラブリ州124機、ベルゴロド州123機、モスクワ州66機、カルーガ州65機、スモレンスク州42機、トゥーラ州38機です。モスクワ方面の66機は、前の晩の同じ時間帯(19機)の3倍以上でした。ただしこれらはロシア側の主張で、独立した検証はできていません。

🟢 攻撃の中心はヤロスラブリでした。エフラエフ州知事は、製油所「スラブネフチ・ヤノス(ヤロスラブリネフテオルグシンテズ)」で火災が起き、従業員2人が破片で負傷して入院したと発表しています。ロイター、アルジャジーラ、フォーブスがそろって伝えました。フォーブスによると、この製油所の原油処理能力は年間約1500万トンです。ニジニ・ノブゴロド州ではニキチン知事が「大規模な無人機攻撃で産業施設が深刻な被害を受けた」と認めました。1日にはクストボのルクオイル系製油所でも火災が確認され、米シンクタンクの戦争研究所(ISW)が位置を特定した映像を検証しています。

🟡 ゼレンスキー大統領は、ロシア南部ロストフ州でミサイル製造に関わる工場を攻撃したと発表しました。ベルゴロド州シェベキノでは無人機が車に当たり、男性1人が肩と胸に破片を受けて入院しました(同州当局)。空港への影響も広がり、カザン、ニジニ・ノブゴロド、サラトフ、ペンザなど地方空港と、モスクワの4空港で一時発着が制限されました。

🔵 背景として、トランプ大統領が10月11日に「エネルギー停戦」で合意したと発表したあと、ウクライナは3日間だけ製油所への攻撃を止めました。しかしロシアがウクライナの電力施設への攻撃を続けたとして、10月15日にリャザン製油所を攻撃して再開しています。ゼレンスキー氏は英フィナンシャル・タイムズに「(製油所攻撃の)制約は外れた。もう終わりだ」と語っていました。今回の856機という数字は、ウクライナの長距離無人機の生産量が増えていることを示しています。ロシアの燃料供給をめぐる攻防は、冬に向けて激しくなりそうです。

ロシアによるウクライナ攻撃と市民生活

🟢 ハルキウでは3日未明、大きな病院に航空爆弾(写真説明ではミサイルとも)が当たり、73人が負傷しました。ゼレンスキー氏は「73人が負傷した」とし、心臓病棟が被害を受けたと説明しています。テレホフ市長はテレグラムで、窓ガラス1000枚以上が割れたと報告しました。フォーブスによると、患者200人以上がほかの病院へ移されています。市内の大規模な発電所も被害を受け、暖房、給湯、一部の公共交通が止まりました。

🟢 首都キーウでは、上水道事業者キーウボドカナルが「主要な給水施設が電源を失った」と発表し、一時的に断水しました。ポンプを再起動して配管に水を満たし直す必要があり、復旧には時間がかかります。クリチコ市長は緊急停電への切り替えを発表しました。3日夕方からは路面電車とトロリーバスが止まり、一部の路線はバスで代替しています。電源や通信を確保できる「不屈のポイント(Пункти незламності)」も各地に設けられました。DTEKは「キーウの状況が最も厳しく、現時点では停電スケジュールを組めない」としています。

🟡 シュミハリ・エネルギー相は、フメリニツキー原子力発電所の安定運転に欠かせない変電所が無人機3機の攻撃を受けたとし、「欧州の原子力安全への脅威だ」と訴えました。被害の詳しい状況や、国際原子力機関(IAEA)の評価は、本稿時点で確認できていません。

地域 主な被害(現地3日中心) 出典
ザポリージャ州コミシュワハ 支援物資配布所と避難所を爆撃。死者は少なくとも33人、行方不明は約50人、救出5人。救助隊員2人と警察官4人も死亡(2日) ウクライナ当局、アルジャジーラ、フォーブス、SBS
ハルキウ 病院が被弾し73人負傷。窓1000枚以上が割れ、患者200人以上が転院。発電所も被害 ゼレンスキー氏、テレホフ市長、フォーブス
ドニプロ 死者1人、負傷17人。火力発電所、外来診療所、病院、警察署が損傷 フォーブス
キーウ 断水、緊急停電、路面電車とトロリーバスの運休 キーウボドカナル、クリチコ市長、TSN
ジトーミル州 18万人以上が停電 ブネチコ州知事、アルジャジーラ
オデーサ州 計画停電を導入。DTEKの配電網が大きく損傷 アルジャジーラ、Time News
スーミ州 全10グループが停電。水は時間を区切って、低い水圧で供給。2日には63歳男性が死亡、12歳少女を含む7人負傷 TSN、フォーブス
ドネツク州スロビャンスク 航空爆弾2発で68歳女性が死亡、6人負傷(2日) フォーブス

🔵 市民生活と経済への影響も深刻です。ウクライナ国家統計局によると、9月の鉱工業生産は前年同月比9.2%減、1〜9月は1.9%減でした。フォーブス・ウクライナは、2026年に入ってから鉱業・金属関連の施設が少なくとも30回攻撃され、高炉7基が損傷または破壊されたと伝えています。10月29日にはドニプロ中央駅のホームにジェットエンジン型の無人機が当たり、15人が死亡しました。発電所、鉄道、病院を同時に狙う攻撃が続いており、冬の間ずっと電力不足と物流の混乱が重なるおそれがあります。

ゼレンスキー大統領・キーウの動き

🟢 ゼレンスキー大統領は3日、ベルリンを実務訪問しました。メルツ首相は首相府の中庭で軍の儀礼をもって迎えました(現地12:30、JST20:30)。ウクルインフォルム、キーウ・インディペンデント、ウクラインスカ・プラウダによると、会談の議題は防空、エネルギー支援、そして米国主導の交渉に向けた連携です。両首脳は昼食会と共同会見(現地14:00、JST22:00)に臨み、ゼレンスキー氏はシュタインマイヤー大統領や連邦議会議長とも会う予定でした。メルツ氏は訪問前から「ゼレンスキー大統領への強い支持を示したい」と話していました(ロイター)。ただ、パトリオットの追加供与など具体的な支援の発表は、本稿時点で確認できていません。

🟡 ゼレンスキー氏はベルリン安全保障会議で演説し、「世界における米国の役割は、さらに小さくなるかもしれない」と述べました。そのうえで「欧州にはドイツに代わる存在はない」と、ドイツが欧州の安全保障で主導的な役割を担い続けるよう求めました。米国の支援には感謝しつつ、「ドイツ、ほかの欧州諸国、EUがいなければ、ロシアはもっと多くのウクライナの都市や村を破壊していただろう」とも語っています(ウクルインフォルム、キーウ時間3日20:32配信)。

🟡 一連の攻撃について、ゼレンスキー氏は「ロシアが緊張緩和も、本当の正義も望んでいないことの新たな証拠だ」と非難しました。ロシアが米中間選挙に合わせて大規模攻撃を準備しているという情報機関の警告を、事前に公表していたことも明らかにしています。さらに、ロシアが弾道ミサイル迎撃弾の不足につけ込んでいるとして、防空の強化を求めました。シビハ外相は、スポーツ仲裁裁判所(CAS)がアイスホッケーの主要国際大会へのロシア復帰を命じたことに対し、「ロシアにふさわしいのは非難と孤立と報いであって、国際的な体面の回復ではない」とSNSに書いています。

🔵 アルジャジーラのキーウ特派員オードリー・マカルパイン氏は、米中間選挙を「ウクライナ人にとって近年で最も重要な選挙と言える」と表現しました。トランプ政権の発足後、目立った米国の軍事支援パッケージは出ていません。ゼレンスキー氏が今回ベルリンで欧州の役割を強調したのは、米議会の勢力図がどうなっても、資金と防空は欧州に頼るという現実に合わせた布石と読めます。

プーチン大統領・モスクワ/ロシア国内

🟡 プーチン大統領は3日、民族間関係評議会の会合に出席しました。2026年の「ロシア諸民族の統一の年」の成果を振り返り、「12月31日で何かが終わるわけではない」として、取り組みの継続を政府に指示しています(ヴェドモスチ、РИАノーボスチ)。地方当局には、民族間の問題やリスクに「タイミングよく、適切に」対応するよう求めました。報道を確認した範囲では、この会合でウクライナ情勢や交渉について直接の発言はありませんでした。4日はロシアの祝日「国民統一の日」で、関連行事での発言が注目されます。

🟢 クレムリンのペスコフ報道官は国営「ベスチ」のインタビューで、アブダビでの3者協議を10〜11日に開くと確認しました。ロシア代表団はメジンスキー大統領補佐官が率います(インタファクス、イズベスチヤ、EADaily)。ペスコフ氏は安全保障の保証について「相互的なものでしかありえない」と述べ、「安全保障は分割できない」という原則がロシアの立場の柱だと強調しました。欧州の参加については「合意された3者の形式だ」として否定しています。また、11月18〜19日に中国で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、プーチン氏とトランプ氏が「何らかの形でやりとりすると考えられる」とも語りました。

🟡 ロシアの市民生活にも戦争の影響が出ています。クリミアでは3日夜の攻撃のあと半島全体で電力が制限され、エフパトリヤでは停電と水圧低下が起きています。セバストポリでも給電が制限されましたが、スケジュールは示されていません。クリミア橋は約8時間通行止めになり、再開後に約240台の車列ができました(АиФ)。連邦反独占庁(ФАС)は石油製品の不当な値上げをめぐって76件の調査を始めています(プロフィリ誌)。ルーブル相場は1ドル=80.97ルーブル前後です。インタファクスはまた、ペスコフ氏が「ウクライナ軍の動員の問題は深刻になっていく」と述べたと報じました。

🔵 クレムリンは、交渉の場にはつきながら、条件面では「相互の安全保障」「欧州は参加させない」という従来の主張を変えていません。欧州が加わらない形式は、ウクライナが求める欧州主導の安全保障の枠組みとぶつかります。アブダビで実際にどこまで歩み寄れるかは、依然として不透明です。

NATOとロシアによるウクライナ以外への圧力

🟢 ポーランドは、ロシアの飛び地カリーニングラードとの国境で大規模な警備作戦を始めました。ボロン警察庁長官によると、作戦は2日から少なくとも8日まで続き、ワルミア・マズールィ県とポドラシェ県に警察の対テロ部隊と特殊部隊GROMを送り込んでいます。トゥスク首相は数週間前から、情報機関が「破壊工作や、より深刻な挑発」、たとえば「武装した人物のポーランド領への侵入」の可能性を示していたと説明しました。そのうえで「挑発の試みは阻止できた。もしそれが狙いだったならば」と述べつつ、「もちろん完全に確かめることはできない」とも付け加えています(CBS)。3日午後の時点で、ポーランド当局は具体的な証拠を公表していません。

🟡 ラトビアでは2日から3日にかけての夜、正体不明の飛行物体が東部の国境地帯に入りました。軍はバルビとルザの住民に屋内退避を呼びかけ、NATOのバルト領空警備任務の戦闘機が出動しました。警報は現地00:35(JST3日07:35)ごろ解除され、物体はバルビに落ちたとみられて捜索が続いています。1日にも別の物体が国境を越え、ラトビアの迎撃用ドローンは撃墜できませんでした。ウクライナはロシアの電子戦で無人機が航路を外れていると主張し、ロシアはウクライナがNATOの領空を使っていると主張しています。どちらが正しいかは、現時点では確かめられていません(Defence Matters)。

🟡 英国では、英保安局(MI5)のマッカラム長官が「ロシアは依然として最大の脅威だ」と述べ、モスクワは「NATO条約第5条(集団防衛)の発動ラインの下にとどまるよう注意している」と指摘しました。今週は英海軍がスコットランド北方沖でロシアの情報収集船を捕捉したとも報じられています(CBS)。BBCによると、英国とフランスは、和平が成立した場合にウクライナへ部隊を送ることを想定し、欧州12カ国の約3000人が参加する演習をポーランドで主導します。

🔵 ほかにも、EUの少なくとも6カ国で数十のスーパーの冷蔵設備がネットワークから切り離される事案がありました(ポリティコ)。ウクライナでは、エネルギー停戦が終わったあとに空襲警報アプリがサイバー攻撃を受け、誤った警報が流れています(アルジャジーラ)。スーパーの件は本稿時点で攻撃者が特定されていないため、ロシアの関与と決めつけることはできません。ただ、「第5条の下」で物理的な破壊工作、ドローン、サイバー攻撃を組み合わせるグレーゾーンの圧力が、交渉の時期に合わせて強まっているように見えます。

外交:米国の仲介とトランプ大統領のSNS投稿

🟢 ウィトコフ米特使は2日夜(米東部時間)、Xで、米国・ロシア・ウクライナの協議を11月10〜11日にアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで開くと発表しました。議題は「戦後の安全保障の取り決め、緊張緩和、人道面の取り組み、和平への次の段階」です。アルジャジーラによると、プーチン氏は10月21日にサンクトペテルブルクでウィトコフ氏と会い、この3者協議に応じていました。3者がそろう協議は、米国とイスラエルが対イラン戦争を始める前の2月以来、約9カ月ぶりです。ウィトコフ氏は、今週ブリュッセルでフランス、ドイツ、英国、EU、NATOの代表と会い、ウクライナの安全の保証、戦後の欧州の安全保障体制、復興に向けた経済の機会について話し合うとしています。

🟡 人道面では、メラニア・トランプ大統領夫人が仲介し、10月23日にホワイトハウスが発表した、ロシア占領下のヘルソン州オレシキでの局地停戦(住民の避難と支援物資の搬入が目的)が足場になっています。ロシアのプロフィリ誌は、メラニア夫人がオレシキの停戦をテーマにしたロシア・ウクライナ代表との会合で発言するとホワイトハウス報道室が明らかにした、と伝えました。AP通信は、コミシュワハへの攻撃がこの局地停戦の期限切れの直後に起きたと報じています。

🟡 トランプ大統領のSNS(Truth Social)では、2日(米東部時間17:29、JST3日07:29)にイランについて「合意は起こり得る」「イランはできるだけ早い決着を望んでいる」と投稿したことが確認できます(CBS)。一方、ウクライナとロシアを直接取り上げた11月2〜3日の新しい投稿は、本稿時点で確認できていません。トランプ氏は以前、ロシアへの制裁の一部免除について「ロシアを愚かにも交渉の場から追いやることはしたくない」と投稿しており、この姿勢は変わっていないとみられます。

🟢 イラン情勢も大きく動いています。ウォール・ストリート・ジャーナルやCBSによると、米軍は2日、イラン革命防衛隊が米軍機を銃撃したことへの対応として、ホルムズ海峡のケシュム島周辺を限定的に攻撃しました。イランのガリババディ外務次官は3日、「正当な自衛の権利を保持している」と表明しました。最高安全保障委員会のレザイ書記は、米国の回答を「説得力がない」とし、イランの7つの条件が満たされない限りホルムズ海峡は再開しないとXに書いています。バガイ外務省報道官は「ボールは米国側にある」と述べました。カタールの仲介団はテヘラン入りしており、36時間以内に双方の回答を見込んでいます。ロシア側は、米国がイランに核攻撃する可能性があると結論づける根拠はない、との立場を示しました(インタファクス見出し)。

🔵 米国の仲介は、ウクライナとイランの「二正面」で同時に進んでいます。中間選挙の結果によっては、議会の対ロシア制裁やウクライナ支援の予算の扱いが変わる可能性があります。ただ、外交は大統領の権限が大きいため、アブダビ協議の枠組みそのものがすぐに変わる可能性は低いとみられます。

原油価格と経済への影響

🟢 原油相場は、米軍のケシュム島攻撃と和平への期待という相反する材料で大きく揺れました。2日にブレントは7.63%(8.66ドル)急落し、104.77ドルで取引を終えました。3日のブレント期近(2027年1月限)は、一時107.24ドルまで上がったあと100.80ドルまで下がり、値幅は6ドルを超えました(オイルプライス・ドットコム、タス通信)。清算値は103.60ドル(1.17ドル安)で、10月7日以来の安値です(ロイター、ブルームバーグ)。

🟡 本記事の基準とする第2限月(期先)のブレント2027年2月限は、JST4日早朝の時点で101.52ドル(0.18ドル安)でした。この日の値幅は98.20〜104.03ドルで、取引時間中に一時、節目の100ドルを割り込みました(オイルプライス・ドットコムの先物一覧)。WTI期近(2026年12月限)は、取引最終日(11月中旬)まで余裕があるため期近を採用しています。清算値は96.09ドル(0.37ドル安)で、10月14日以来の安値です。清算後の気配は96ドル台後半です(リグゾーン掲載のティッカー)。

指標(限月) 価格(米ドル/バレル) 前日比 時点(JST)
ブレント 第2限月(2027年2月限)※本記事の基準 101.52 −0.18 11月4日 早朝
ブレント 期近(2027年1月限)清算値 103.60 −1.17(約−1.1%) 11月4日 04:30
ブレント 期近(2027年1月限)3日の日中安値 100.80 −3.72%(その時点) 11月3日 22:45
WTI 期近(2026年12月限)清算値 96.09 −0.37(約−0.4%) 11月4日 04:30
(参考)ブレント 2日の清算値 104.77 −8.66(−7.63%) 11月3日 04:30

🟡 市場関係者の見方は分かれています。CIBCプライベート・ウェルスのレベッカ・バビン氏は「行ったり来たりが続き、テクニカルな売買が値動きを大きくするだろう」と話しています。TDセキュリティーズのライアン・マッケイ氏は「高止まりが続く局面」とみて、ブレントの適正価格を90〜100ドルと推計しました。そのうえで、ロシア・ウクライナ戦争が未解決であることが上振れ要因になりうると指摘しています。需給面では、サウジアラビア、UAE、イラク、クウェートの10月の輸出が前月より10%増えて日量1500万バレルを超えました。イランの輸出は事実上止まっています。中東産原油の指標であるドバイ原油の期近の価格差は、先物のほうが高い「コンタンゴ(順ざや)」に転じ、供給がだぶつき気味であることを示しています(ブルームバーグ/リグゾーン)。

🔵 ロシアの製油所への攻撃が続けば、ロシア国内のガソリン・軽油の不足と価格高騰(FASの76件の調査)につながります。国際的には、軽油など石油製品の需給を引き締める方向に働きます。一方で、イランとの合意でホルムズ海峡が再開すれば、ブレントは100ドルを下回る水準へ下がる可能性があります。値動きが非常に速いため、公開時点で最新の相場を確認してください。

その他の注目トピック

🟢 米中間選挙(3日投票):JST4日朝の時点で、投票と開票が続いています。米司法省が「非市民に送られた」と主張するカリフォルニア州の郵便投票2万票の保留を、連邦最高裁は認めませんでした(ニューヨーク・タイムズ)。上下両院の勢力がどうなるかは、今後の対ウクライナ支援や対ロシア制裁法案の行方を左右します。

🟡 キーウの展示会産業も打撃を受けています。国際展示センターは10月の展示会3件を中止し、年内の再開を見送りました。展示会場「パルコビー」は9月に2度攻撃を受けて営業を止めています。業界の損失は数千万フリブニャ規模と推計されます(フォーブス)。国内の展示会市場の約9割がキーウに集まっていたため、ビジネスイベントや中小企業の商談の場が失われています。

🟡 ホルムズ海峡周辺では3日、オマーン北東沖でタンカーが2発の飛翔体を受けて機関室が損傷しました。インド船籍の船「アル・ジュスフィ」も攻撃を受け、乗組員1人が死亡、13人が救助されています(英海事貿易作戦局=UKMTO、CBS)。UKMTOによると、10月の商船攻撃は30件で、月間の最多を記録しました。イエメンでは親イラン勢力フーシ派がアデンの約80キロ手前まで迫っています(ロイター)。

まとめ:押さえておきたい3つの注目点

押さえておきたい3つの注目点
1 アブダビ3者協議(11月10〜11日)でエネルギー停戦を立て直せるか。ロシアは「相互の安全保障」と「欧州は参加させない」を譲っていません。人道分野(オレシキ型の局地停戦や捕虜交換)で具体的な成果が出るかが、最初の判断材料になります。
2 冬のエネルギー戦が本格化。ウクライナの火力発電所3カ所の停止とキーウの断水、ロシア側の856機の無人機と製油所の火災は、双方がエネルギーを最大の攻撃目標にしていることを示しています。停電スケジュールと原発周辺の変電所の安全が当面の焦点です。
3 米中間選挙とイラン情勢が戦争の外枠を決める。議会の勢力図、11月18〜19日のAPECでの米ロ首脳の接触、ホルムズ海峡が再開されるかどうかが、原油価格(ブレント第2限月は100ドル前後)と対ロシア制裁の行方を左右します。

主な参考ソース(海外一次情報)

取材・数値についての注記:本記事は、各トピックについて原則2つ以上の海外報道または公式発表を突き合わせて作成しました。死者数(コミシュワハは24人→26人→29人→31人→33人と更新)や無人機の数は、発表元と時点によって異なります。本文では、確認できた範囲で最新かつ公的な数値を採用し、出典を示しています。ロシア国防省の撃墜数、ウクライナ側の戦果、イラン側の主張は当事者の発表で、独立した検証はできていません。トランプ大統領のウクライナに関する11月2〜3日のSNS投稿、メルツ首相の具体的な支援表明、フメリニツキー原発の変電所被害に対するIAEAの評価、米中間選挙の結果は、本稿時点で確認できていないため続報で扱います。原油価格は、ブレントは第2限月(2027年2月限)を基準とし、期近の清算値を参考として併記しました。WTIは期近の12月限が取引最終日まで余裕があるため、期近を採用しています。一部サイトのWTI限月一覧に整合しない値があったため、採用していません。時刻はすべて日本時間(JST)に換算しています(米東部時間+14時間、キーウ時間+7時間、モスクワ時間+6時間、ベルリン時間+8時間)。

  • この記事を書いた人

はぼぞう

旅と砂漠と写真と女性を愛する60歳ちょっと過ぎたの「元金融系システム屋」です。 現在は、社内SEのアルバイト件システム構築やってます。 シンガー 森口博子とアーティスト 中村中の大ファン

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