2026年10月24日 速報(JST 06:30時点)
トランプ氏「もう一度エピック・フューリーも」と再攻撃を示唆/原油ブレント116ドル台・WTIは再び100ドル超え/フーシ派がサウジの空港・石油施設を連続攻撃
イランと米国の戦争は、2月28日の米・イスラエルによる攻撃開始から約8か月。6月の覚書(メモランダム)でいったん枠組みができたものの、ホルムズ海峡での船舶攻撃をきっかけに対立が再燃し、10月はイエメンのフーシ派によるサウジアラビア攻撃も加わって、中東全体の緊張がもう一段高まっています。この記事では、アルジャジーラを軸に、米欧メディアとイラン国内メディアの最新情報を整理しました。
🔵 信頼度ラベルの見方:🟢=複数ソースで確認済み/🟡=単一ソースまたは当事者の公式主張/🔵=編集部による分析・解説。各段落の冒頭に付けています。日付は原則として現地報道の日付で、時刻が分かるものは(JST)で日本時間を併記しています。
ひと目でわかる最新ポイント
| 項目 | 最新状況 |
| 米国の姿勢 | トランプ氏が「もう一度ちょっとしたエピック・フューリー(作戦名)をやるかもしれない」と発言。ホワイトハウスは「中間選挙(11月3日)前には攻撃しない」と説明 |
| イランの姿勢 | 革命防衛隊が「攻撃的・非対称」な防衛ドクトリンへの転換を表明。一方で「7日間でホルムズ海峡の航行を回復する案」も提示 |
| ホルムズ海峡 | 革命防衛隊が「7隻に被害」と主張。10月は3月以来もっとも船舶攻撃が多い月に |
| サウジ・フーシ派 | ダンマームのキング・ファハド国際空港への攻撃で2人死亡。アラムコが東部本社の職員に退避指示 |
| 原油価格 | ブレント約116.7ドル(+約3%)、WTI約103.3〜103.4ドル(+約4%)。WTIは100ドルを再び上回る |
| 欧州 | 国際エネルギー機関(IEA)トップが「今年の冬、欧州は楽ではない」と警告。ガス貯蔵率は約72% |
原油価格:ブレント116ドル台、WTIは100ドルの節目を再び突破
| 指標 | 価格(1バレル) | 前日比 | 時点 |
| ブレント(国際指標) | 約116.6〜116.7ドル | +約3.4〜3.5ドル(+3.0〜3.1%) | (JST:2026/10/24 06:00頃)10月23日の取引終了時点 |
| WTI(米国産) | 約103.3〜103.4ドル | +約3.8〜4.0ドル(+3.8〜4.0%) | (JST:2026/10/24 06:00頃)10月23日の取引終了時点 |
🟢 原油先物は10月23日(現地)に大きく上昇しました。複数のリアルタイム相場サイト(oilprice.com、investing.com)を突き合わせると、ブレントは116ドル台後半、WTIは103ドル台で取引を終えています。ブレントは約5か月ぶりの高値水準です。WTIは前日(22日)に99ドル台で終えていたため、23日に100ドルの節目を再び上回った形です。
🟢 上昇の背景として各社が挙げているのは、フーシ派によるサウジの石油施設・空港への連続攻撃と、ホルムズ海峡で再び相次ぐ船舶被害です。参考までに、開戦前日の2月27日のブレントは72.48ドル、ピークは4月30日の126.41ドルでした(アルジャジーラ集計)。
🟡 米国エネルギー情報局(EIA)のスポット価格は、先物より1営業日遅れて公表されます。そのため一部サイトでは「ブレント115ドル台」など、先物とずれた数字が表示されることがあります。この記事の数字は先物の終値ベースです。週末は市場が閉まっているため、次に動くのは週明け(JST:2026/10/26 朝)以降です。値動きが速いので、公開時点で最新の相場をあらためて確認してください。
トランプ大統領の発言とSNS
🟢 トランプ大統領は10月23日(現地)、フロリダ州フォートマイヤーズでの選挙集会で「もう一度、ちょっとしたエピック・フューリーをやるかもしれない。あるいは彼ら(イラン)が合意するかだ」と話しました(JST:2026/10/24 午前)。エピック・フューリーは、2月に始まった対イラン軍事作戦の名前です。フォックス・ニュース、タイムズ・オブ・イスラエル、AFP(フランス24)などが報じています。
🟡 同じ集会でトランプ氏は「イランの帰りにキューバを片付ける。そのあとルビオ(国務長官)を送って取引をまとめさせる」とも語りました(タイムズ・オブ・イスラエル)。22日にはサウスカロライナ州の集会で「もうテヘランとは交渉していない」「近いうちに何かが起きる」と話しています(アルジャジーラ)。
🟡 トランプ氏は今月、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に、欧州がディーゼルの「大量」放出に合意したと投稿しました。これを受けてG7は、4か月で計1億バレルの協調放出を確認しています(CBSニュース、10月2日)。10月14日にも動画投稿がありますが、23日時点で、対イラン攻撃を明言する新しい投稿は確認できていません。
🔵 「中間選挙前には攻撃しない」というホワイトハウスの説明と、トランプ氏の「もう一度」という発言は、圧力をかけつつ交渉の余地も残す二面作戦と読めます。ロイター/イプソスの調査では、支持率は開戦前の40%から31%に下がっています(アルジャジーラ)。選挙を前に、軍事行動の時期は慎重に選ばれる可能性があります。
米国政府の公式動向
🟢 選挙後の攻撃計画が報道される:ABCニュースは10月23日、米軍とイスラエル軍が11月3日の中間選挙後に共同攻撃を再開する計画を作成したと報じました。アトランティック誌も、トランプ氏が選挙直後の「数日間の攻撃」を検討していると伝えています。ホワイトハウスは「中間選挙前にイランを攻撃することはない」とし、米当局者は「決定はしていない」と説明しています(ラジオ・フリー・ヨーロッパがまとめ)。
🟢 サウジから外交官を退避:国務省は10月21日、フーシ派の攻撃を受け、在サウジアラビア公館の緊急要員以外の職員と家族に国外退避を命じました。ロイターは、ほかの湾岸の公館からも家族を退避させる計画があると報じています(アルジャジーラ)。
🟡 ルビオ国務長官:「和平合意は非常に難しい」「イランは商船への攻撃をやめなければならない」と述べ、核兵器の取得につながるいかなる合意も支持しないとの立場を示しました。
🟡 ベッセント財務長官:10月23日、イラン最大の原油積み出し拠点であるハールク島の衛星画像をSNSに投稿し、タンカーが一隻もいない状態を示しました。ブルームバーグの分析では、8月下旬以降、同島に接岸したタンカーはありません。
🟢 増派:空母セオドア・ルーズベルトの打撃群と第13海兵遠征部隊など約1万人が、11月末までに中東に到着する見込みです。一方で、イランの安価なドローンに繰り返し対応した結果、高価な迎撃ミサイルが不足しているとの報道もあります(アルジャジーラ、CBS)。
イラン政府・革命防衛隊の公式発表
🟢 「攻撃的ドクトリン」への転換:イラン革命防衛隊は10月22日(JST:2026/10/22)、防衛ドクトリンを「攻撃的かつ非対称的」なものに切り替えたと発表しました。報道官のホセイン・モヘビ氏は「以前は防御的だった」と述べ、米国が再び攻撃すれば、周辺国への侵攻や米軍が使う基地への攻撃もありうると警告しました。ミサイル保有量は2025年6月の「12日間戦争」時の1.5倍になったとし、「すべての爆弾の父」を近く公開するとも主張しています。
🟡 最高安全保障委員会:モフセン・レザイ書記は「イランは外交を望むが、戦争が続いても対応を続けられる」と述べました。
🟡 外務省報道官:エスマイル・バガイ報道官は10月23日、11世紀の歴史家ベイハキーの「ライオンが守る砦」の逸話をSNSに投稿し、「そこにライオンが住んでいることを彼らは知らなかった」と、米国にイランを甘く見るなと警告しました(イラン国営プレスTV)。
🟡 大統領:ペゼシュキアン大統領は10月16日、核兵器の保有を求めていないとあらためて否定し、対話の用意があると表明しました。一方で、ウラン濃縮は核拡散防止条約(エヌピーティー)で認められた権利だという立場は変えていません。
ホルムズ海峡と紅海:船舶への攻撃が再び増加
🟡 革命防衛隊の海軍は10月22日、ペルシャ湾北部で「違法な原油の積み替え」をしていたとする4隻を攻撃し、さらに海峡の西側で3隻が機雷に触れたと発表しました。独立した確認はまだ取れていません。
🟢 英国海事貿易機関(ユーケーエムティーオー)によると、10月は3月以降でホルムズ海峡での船舶攻撃がもっとも多い月になっています。16日までの1週間で10件の攻撃があり、1隻が沈没しました。サウジのジュバイル沖でも、小型ボートからロケット弾が撃たれるなどの被害が出ています。
🟡 イラン議会の委員会は、ホルムズ海峡の「イランによる管理」と通航料の徴収を定める法案を前に進めています。本会議と護憲評議会の承認が必要で、まだ成立していません(CBS、10月2日)。
🟢 紅海の出入口にあたるバブ・エル・マンデブ海峡では、フーシ派がサウジと関係する船舶への攻撃を警告しています。IEAは、ホルムズとバブ・エル・マンデブの両方で航行が不安定になったことで、欧州向けの液化天然ガス(LNG)の輸入が大きく減ったと指摘しています。
🟡 海運データ会社ケプラーによると、パイプラインなど海峡を通らないルートの活用で、イランを除く中東からの原油輸出は開戦前の水準をいったん上回りました。ただし約4割はホルムズを迂回しており、コストと攻撃のリスクは高いままです。
フーシ派とサウジアラビア:空港・石油施設への攻撃が拡大
🟢 10月21日(現地)、サウジ東部ダンマームのキング・ファハド国際空港が攻撃を受けました。サウジ民間航空庁によると2人(サウジ人1人、インド人居住者1人)が死亡、8人が負傷しました。空港は翌22日に運航を再開しています。同じ日には、アラムコのシャイバ油田に向かったドローンを迎撃した際の破片で2人が死亡しました(アルジャジーラ、ロイター、AFP)。
🟢 ロイターとAFPによると、アラムコは10月22日、東部ダーラン本社に残っていた職員に退避を指示しました。同本社は10月上旬にも攻撃を受けています。
🟡 フーシ派は10月22日、過去48時間でキング・ファハド空港、アブハ国際空港、リヤドの国防省、ヤンブーのアラムコ施設などを攻撃したと主張しました。サウジ主導の連合軍は、リヤドとメディナの上空でドローン4機を撃墜したと発表しています。
🟢 10月10日には、リヤドのキング・ハーリド国際空港への攻撃で12人が死亡し、300人以上が負傷しました。フーシ派とイエメン政府(サウジが支援)の戦闘は7月に再開し、イエメン大統領評議会のアリミ議長は10月4日、フーシ派の支配地域をすべて奪還する作戦を宣言しています。国連人口基金によると、14万5千人以上が避難を強いられています。
🟡 サウジと連携する国々の動きもあります。エジプトのシシ大統領は「要請があればサウジを防衛する」と表明しました。米国はサウジとカタールにパトリオット防空システムを2基追加で配備しています(アクシオス)。イエメン政府の外相は、イランが申し出た仲介を「イランは当事者だ」として拒否しました。イラン自身は、フーシ派の攻撃への関与を否定しています。
和平交渉:「7日間案」はあるが、対話は停滞
🟡 イランは「7日間でホルムズ海峡の航行を回復する」案を提示しています。条件は、米国による港湾封鎖の解除、石油制裁の緩和、凍結資産の解除、そしてすべての戦線での停戦です。アラグチ外相は10月18日、「条件が満たされれば海峡は再開する」と述べました(CBS)。
🟡 一方でトランプ氏は「もう交渉していない」とし、ルビオ氏も合意は非常に難しいとの見方です。アラグチ外相は10月上旬、「軍事的な解決はない」としながらも、交渉は行き詰まっていると認めています。6月17日の覚書で枠組みはできましたが、イランによる船舶攻撃を理由に、米国は軍事作戦を再開しました。
🔵 双方とも、和平の条件を示しつつ軍事的な準備も進めている状況です。米国の中間選挙(11月3日)とイスラエルの総選挙(10月27日)という二つの選挙が、交渉や軍事行動の時期に影響する可能性があると、複数のアナリストが指摘しています(アルジャジーラ)。
EU・英国の動き
🟢 EU首脳会議:10月15〜16日にブリュッセルで開かれたEU首脳会議は結論文書で、イランによる中東各国への攻撃を非難しました。イランとその支援を受ける武装組織に対し、「さらなる攻撃と不安定化させる行為を控える」よう求めています。EUは5〜6月にも、ホルムズの航行の自由を妨げた個人・団体への制裁の枠組みを拡大しています。
🟢 エネルギー危機の警告:IEAのビロル事務局長は10月23日、「今年も来年も、欧州の暮らしは楽ではない」と警告しました。EUのガス貯蔵率は約72%で、通常の約90%を大きく下回り、ガス価格は2月から約140%上昇しています。EUのエネルギー相は、家庭や企業に消費の抑制を求めることも検討していると報じられています。
🟡 英国:英国のディーゼル価格は10月、初めて1リットル2ポンドに達しました。英国空軍フェアフォード基地をめぐる事件では、英首相が「イランが関与した強い兆候がある」と述べ、イランは否定しています。米国防総省は10月4日、同基地に置いていた米爆撃機をすべて本国に戻したと確認しました(CBS)。英国は開戦当初から、攻撃作戦には加わらず、基地の使用は「防衛目的に限る」としています。
イラン国内:通貨の暴落と原油輸出の停止
| 指標 | 数値 | 出典 |
| 通貨リアル(対ドル) | 1ドル=250万リアル超で過去最安値(年初は約150万) | フォーチュン(10月) |
| インフレ率 | 90%近く | フォーチュンほか |
| 経済成長率 | 3〜6月期に前年比マイナス10.1% | アルジャジーラ |
| 原油の積み出し | 9月は輸出ターミナルでの積み込みゼロ(1979年の革命以降で初) | ケプラー |
| 戦争被害の推計 | 直接・間接で2700億ドル(4月時点のイラン政府推計) | アルジャジーラ |
🟢 米国の海上封鎖が7月中旬に再開されてから、イランの原油輸出はほぼ止まっています。海上にあった在庫も10月中旬には尽きる見通しで、国家予算の約3分の1を占める石油収入が大きく減っています。ペゼシュキアン大統領は、中国にある資金が引き出せない状態だと認めました。
🟡 物価高も深刻です。アルジャジーラは10月23日、新しい電子機器は入ってくるものの、政府の手数料と米国の制裁で価格が急騰していると報じました。10月21日にはパキスタンとの国境の2か所で商業取引が止まり、数百台のトラックが足止めされています。イラン国営のタスニム通信は、世界の生活費の上昇は「米国の侵略」によるものだとする記事を配信しています。
🔵 政治面では、1月の抗議デモへの弾圧に対する市民の怒りが今も残っています。最高指導者ハメネイ師が2月に殺害されて息子のモジタバ師が後を継いだあと、強硬派と革命防衛隊の影響力が強まったと分析されています。戦争中に抗議デモが起きていないことを「政府への支持」と見るのは早計だ、という専門家の指摘もあります。
イスラエルと周辺地域
🟢 イスラエルのネタニヤフ首相は、イランの体制を倒すという公約をあらためて掲げています。10月27日の総選挙を前に、トランプ氏はネタニヤフ氏の再選を支持しました。ヨルダン川西岸では10月23日、ヘブロンでの銃撃戦でイスラエル兵2人が死亡しました。ネタニヤフ氏は「大規模作戦」と西岸の「完全封鎖」を準備していると述べています(アルジャジーラ)。
🟡 同じ23日、ヨルダンでは教会への銃撃で数人が死亡しました。イラクの外相は、戦争でイラクが失った石油輸出収入は約600億ドルにのぼると述べています。
今後の注目点(編集部の見方)
🔵 1. 10月27日のイスラエル総選挙と11月3日の米中間選挙:米・イスラエルの攻撃計画は「選挙後」と報じられています。二つの選挙の結果が、軍事行動の時期を左右する可能性があります。
🔵 2. 週明けの原油相場:WTIが100ドルを保てるか、ブレントが120ドルに近づくかが焦点です。週末にフーシ派やホルムズで新たな攻撃があれば、週明けに一気に値が動くこともありえます。
🔵 3. 11月1日の産油国会合:サウジやロシアなど主要産油国が11月の生産を据え置くと決めたあとの会合で、増産に動くかどうかが注目されます。
🔵 4. 「7日間案」への米国の答え:封鎖の解除と海峡の再開を交換する案に、米国がどう応じるか。交渉の再開につながるかどうかの分かれ目になりそうです。
主な情報源
アルジャジーラ(2026/10/22〜23の各記事・ライブブログ)、CBSニュース(ライブ更新 10/2〜18)、フォックス・ニュース、タイムズ・オブ・イスラエル、AFP(フランス24経由)、ロイター(各社の引用を含む)、ラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティ、フォーチュン、イラン・インターナショナル、タスニム通信、プレスTV、oilprice.com、investing.com
※この記事は(JST:2026/10/24 06:30)時点の情報をもとに作成しています。戦況や相場は短時間で大きく変わるため、最新情報は各報道機関の発表をご確認ください。